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桜が咲く頃、私は無職になります

桜が咲く頃、私は無職になった。

先日TOEICのテストを受験し、職業欄で無職のマークシートを塗りつぶした。今までどこかふわふわとしていて仕事を辞めた感覚が無かったが、少しだけ実感が湧いた。お恥ずかしながら、次の仕事は決まっていない。

私は12月上旬から仕事を休職していた。誰だってそうだと思うが、元居た職場に戻ることが怖くてたまらなかった。休みたければ、もっと休職を延ばす選択肢もあったと思う。しかし、私はしなかった。やっぱりどこかで、安定した職場に在籍しながら働いていない自分はずるいのではないかと思っていた。4月には、復職するか退職するか決めようと思っていた。すこし元気を取り戻した時、転職活動をする怖さと復職をして働く大変さを天秤で比べた。私は退職を選んだのである。

上司への電話はとても怖かった。言いたいことを文字におこして練習した。電話を掛ける朝、緊張で口から心臓が飛び出しそうだった。終わってみると、上司は実にあっさりしていた。そりゃそうだ。休職している者は会社にとってお荷物だから辞めてくれる方が有り難いのだろう。そんなことよりも、あんなに辞める決意をして電話したのに、お話しながら気持ちがぐらついた自分自身が情けなかった。「本当に辞めたいのだよね?」と上司から言われたときは、どきっとした。

辞めた日はずっとそわそわしていた。人はこんなにも無職になると不安になるのだなと感じた。今は重い腰をあげて転職活動を始めたいと思う。まだわからないが、いつかこの選択は正しかったと思いたい。

今後のことは正直真っ暗だ。だけどひとつ言えることは、休職はして良かったと思う。

気持ちをきちんと整えて今後のことについて考えられた3ヶ月間は、本当に貴重だったと思う。休職をして得られたものとして実感していることをあげてみた。

・自分の欠点に向き合えたこと
仕事をしていて私自身へのクレームを受けたことがあった。色んなことがあって結果的に休職したのだが、私にとっては大きな心のダメージのひとつであった。私には性格がそっくりな祖母がいる。この休職期間中、私がお客様から指摘された欠点と同じところを、息子から指摘されていた。私自身クレームを受けて、直さなくてはいけないとずっと思ってきたが、祖母も同じことを言われていて私は大変ショックだった。祖母は結婚してからずっと専業主婦をしていた。社会に出て今の若さで指摘していただけたのは、幸運だったのかもしれない。これから自分の欠点を見つめ直していくのは大変つらく険しい道のりであると思うが、しっかりと社会に出て、直していかなくてはと改めて感じた出来事だった。

・自分の長所にも気づけたこと
日々好きなことをしながら過ごしているが、私は物事を継続することが得意なのかもしれない。休職期間中、アプリを使用して毎日英語の学習を好きでおこなっていた。その姿を家族がみて、「そんなに継続して出来ることは凄い」と言われた。あまり意識はしてこなかったが、確かに始めは全然上手くなかったものも継続し続けたことによって、出来るようになったという経験は多い。毎日コツコツ継続し続けられる長所は忘れずにしていきたいと思った。

・生活力がついた
以前のnoteの記事で心境の変化を書いているのだが、会社勤めしていた時よりも料理や家事をするようになった。もともと料理は社会人3年目の春、「家事をしない子は家におかない」と宣告を受け、週1で料理を作るようになった。1年前は米も炊けなかった私が、休職を境に週5で夕食を作っている。料理の楽しささえ抱いている。これは、面白い事態だと思う。この変化は私にとってとても大きく、休職を選んで良かったと思う要因のひとつである。

・自由な時間が得られた
これがやはり1番だ。私は読書が趣味なのだが読みたい本はたくさんあるのに、読む時間が足りない、と会社員時代日々思っていた。この3か月存分に読書を楽しんだ。幸せだった。社会人になってこんなに長期で休んだことがなかった為、始めはどのように休めば良いか分からなかった。しかし体調が安定してからは、好きだったもの(旅行・カメラ・読書)をとことん楽しむことが出来た。うつ病で好きだったものが分からなくなり、読書やカメラを今までのように楽しむことが出来なくなった。3か月のお休みで、自由な時間を得られたこともそうだが、本来の自分が少しだけ戻ってきたのが何よりも凄く嬉しかった。

これからのことについて不安がないと言えばうそになる。だけど、今回の経験を自分自身が長い人生の中でプラスだったと捉えられる日がいつかくれば良いと思う。

余談だが、体調が悪い中どこかまともな自分もいたのだろう。休職する前に、休職の制度について、退職金は何年目からもらえるのか、有給の制度についてなどきちんと調べてから休職を決断した。これはとても賢明だったと今は思っている。(結果的に有給消化もきちんと出来たし、ボーナスも貰った)

もうひとつ心境の変化で言えば、お金についても見つめ直した。休職期間中、給料から天引きされていた税金分を毎月振り込んでいた。こんなに税金が高かったことにびっくりし、今まで会社に頼りきりだった自分が恥ずかしかった。きちんとお金についての知識をつけなければと今回改めて痛感した。今は退職のお金関係の手続きを進めつつ、FPの勉強をしている。何事も他人任せにせず、自分自身でしっかり調べて行動することの大切さを学んだいい機会だったと思う。

これからは、転職活動を進めつつ、語学とライティングの勉強をしていきたい。もちろん引き続き、カメラ・読書・料理を楽しんでいきたいと思う。新たに挑戦したいことは、写真の文字入れとギターの弾き語り、ランニングだ。無職になり、お金は極力使わずにしたい。だからこそ今まで楽しんでいたものをもっと深く別の角度から楽しみたいと思う。ランニングだけは別の考えで、体が横に広がってしまったのと、家ばかりいて体力が落ちてしまったので、新しく始めたいと思っている。どんな新しい景色に出会えるのか今からわくわくが止まらない。

12上旬、私は無気力だった。勇気を出して心療内科に予約の電話を入れたら、一週間後まで空いてないと言われた。noteにはたくさんの休職している方の記事があった。世の中には私と同じように苦しんでいる方がたくさんいる、ひとりじゃないと思えた。今度は休職から無職になった。でも世の中には私と同じように無職の方がいっぱいいる。私はひとりじゃない。まだまだ幸先は良くないが、まずは職探しを頑張ろうと思う。

さて、無職からの卒業はいつになるだろうか?

桜が咲く頃、わたしは新しい一歩を踏み出した。

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