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一人で図書館や家で本を読んでいても大学生活はかなりリア充なんだけども。

遊び=リア充?

飲み会にコンパ、旅行に行き、友達と朝まで飲み明かす。よく想像されるモラトリアム的な大学生活である。そして、「大学生のうちは遊びなさい」なんて言われることもある。

一方で、一人で図書館に籠っていたり、家に籠もって本を読んでいたりする生活を送っている場合、どこか稀少人種のようにみられることがある。時間的猶予が大きい大学生の中のうちは特にそうみられることも多いのではないか。

今回はとりわけ一人で図書館に籠っていたり、家に籠もって本を読んでいたりする学生生活を送っている人のために、その人たちもリア充な理由とその人たちが陥りがちな罠をお知らせしたい。

そもそも人間は楽しいの感じ方が共通でない部分がある

多くの研究で取り上げられているように、人の性格には外向性、誠実性、協調性、開放性、神経質傾向といった5つの特徴があることが知られており(1)、それらの違いによって報酬を感じ方も違うのである(2)。

例えば、外向性の高い人はより外部の刺激に報酬を得やすいので、パーティーで歌を歌ったり、外にでて積極的にアクティビティをすることで楽しいという感覚を得やすいだろうし、内向的な人は逆に家の中や図書館など刺激の少ない場所で何かに没頭することで楽しいという感覚を得やすいだろう。また、開放性のある人は、人と遊ぶよりも自分のわからないことについて本を読んで探求することによって楽しいという感覚を得やすいだろうし、協調性の高い人は逆に友達と遊んでいたり、サークルで何かをしたりといったチームに属して人に貢献することによって楽しいという感覚を得やすいだろう。

つまり、言いたいのは、一人で図書館に籠っていたり、家に籠もって本を読むような生活を送っている学生がコンパ、旅行に行き、友達と朝まで飲み明かすような学生生活を送ったとて必ずしも楽しい学生生活になるわけではないのである。

学業でのパフォーマンスや仕事のパフォーマンスを決めるのは、学生時代遊んだかどうかではない

また、学業でのパフォーマンス、仕事のパフォーマンスを決定づける要因として、学生時代遊んだかどうかということが影響することは少ない学業でのパフォーマンスや仕事のパフォーマンスを決定づけるものは、流動性知能(IQなど遺伝的に大きな影響を受ける処理能力)、誠実性、メンタルの安定性(神経質傾向の少なさ)、自己コントロール能力である(3)。

つまり、学生時代遊んだかどうかというのは、そこまで現在の置かれた場所、そして将来的に影響を及ぼすことはない。むしろ、複数人でいたよりも一人でいた方が作業やタスクに集中できるという側面もあり(4)、あえて図書館や家に一人で籠るという選択が可能な人はかえって、自分が描いた将来的なゴールを達成するのに有利なようにも思える。

一番怖いのは、迎合すること

上では、一人で図書館に籠っていたり、家に籠もっていたりする大学生活は別につまらなくないし、将来的にもデメリットが少ないことを紹介したが、話は簡単ではなくそういう人は自分の大学生活に満足していながらも、「僕は楽しい」と言えず、「非リア」のように自虐することもあるだろう。

世の中には、「大学で勉強することは意味がない」といった言葉や、先ほども紹介したような「大学生のうちは遊びなさい」などという言葉が多く存在し、また最近ではSNSの発達によってそういった大学で勉強することを否定する声や飲み会にコンパ、旅行に行き、友達と朝まで飲み明かす生活を送っている人の声や様子は目にしやすくなった。

多くの他人がやっていること、また目につきやすいそういったことを正しいと感じてしまうのは人間の癖である(5)。したがって、そういった飲み会にコンパ、旅行に行き、友達と朝まで飲み明かすような学生生活を送る人々を多く目にすることで、あたかもその人たちの生活スタイルが正しく、一人で図書館に籠っていたり、家に籠もっていたりする生活を送っていることが間違っていることであると認識してしまうのである。

ただ、よく考えてみて欲しい。先ほども問うたが、自由な時間がある中で一人で図書館に籠っていたり、家に籠もって本を読んでいるような生活を選択するような人々が、飲み会にコンパ、旅行に行き、友達と朝まで飲み明かすような学生生活を送ったところで楽しいという感覚を得ることができるのだろうか?おそらくできないだろう。

一人で図書館に籠っていたり、家に籠もるような学生生活を送る人々が、彼らの生活が楽しく、彼らの生活が正しいと感じるのは認知のエラーであり、本当は自分たちの生活スタイルも彼らと同じように意義があり楽しいものなのである。

最も怖いのは一人で図書館に籠っていたり、家に籠って本を読んでいるような学生生活を送る人々が、「彼らは正しく、楽しい」という認知エラーに気がつかず、劣等感を解消するため、リア充になるために、楽しくも感じない飲み会やサークル活動に時間を費やすことである。


リア充もみんな違ってみんないい

以上、一人で図書館に籠っていたり、家に籠もっていたりする生活を送っている場合もリア充だということを示した。なぜならば、人間は楽しいの感じる部分や感じ方が違い一人で図書館に籠っていたり、家に籠もって本を読んでいる生活を送っていたとしても、コンパや旅行に行き、友達と朝まで飲み明かす生活と同様の楽しさだったり、高揚感、満足感を得られることは十分にありうるし、そういう生活を送っていたからといってキャリアや現在の学業に対してデメリットもあまりない。

一人で図書館に籠っていたり、家に籠もっていたりする生活を送っている人々が最もやってはならないことは、「彼らは正しく、楽しい」という認知エラーに気がつかず、劣等感や羨ましさから、楽しくも感じない飲み会やサークル活動に時間を費やすことである。

リア充に関してももみんな違ってみんなよく、遊ぶ人や、サークル活動や交友関係に費やす人もリア充だし、図書館や家でずっと一人で本を読んでる人だってリア充なのだ。

【参考文献、脚注】

(1)McCrae, R. R., & Costa, P. T., Jr. 2008. "The five-factor theory of personality." In O. P. John, R. W. Robins, & L. A. Pervin (Eds.), Handbook of personality: Theory and research (pp. 159–181), Daniel Nettle .2009."Personality: What Makes You the Way You Are".Oxford Univ Pr,Colin

(2)G. DeYoung,et al. 2010."Testing Predictions From Personality Neuroscience: Brain Structure and the Big Five".Psychological Science.21(6) 820–828.

(3)Michael P. Wilmota, and Deniz S. Ones.2019."A century of research on conscientiousness at work".PNAS November 12, 2019 116 (46) 23004-23010; first published October 30, 2019,James J. Heckman, Tim Kautz.2012. "Hard evidence on soft skills".Labour Economics 19 (2012) 451–464,Angela L. Duckworth etal.2019"Self-Control and Academic Achievement",Annu. Rev. Psychol. 2019. 70:373–99.

(4)Lee Shumow,et al.2008"Adolescents’ Experience Doing Homework:
Associations Among Context, Quality of Experience, and Outcomes".The School Community Journal, 2008, Vol. 18, No. 2.

(5)Solomon E. Asch.1955 “Opinions and Social Pressure,” Scientific American 193 (1955).

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