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保育本や研修って「なんか薄い」と感じる理由


1、はじめに


私は保育関連の研修や啓発本を
受けたり読んだりした際に
「いいことを言ってる、でも薄い」
「で、あなたは具体的にどうしたらいいと思うの?」

という感想をよく持ちます。


『保育者が育ち、園が機能する
 保育の質が高まる 組織マネジメント』
 著:井上眞理子

を読んでいるのですが
そこから得た考察を書いていきたいと思います。

2、なんか薄い

本著では
『保育者が献身的で有能であろうと
 園長や主任がいかに偉大であろうと
 マネジメントという骨格がなければ
 組織としての力は発揮できない』

という趣旨で書かれています

これについては大いに賛同できたのですが
肝心のマネジメントの中身が
割と薄いというか具体性のない印象を受けました

例えば
「与えられた仕事しかしない」という悩みをもつ園長は多い
という切り出しをしているのですが
そのポイントが
・組織の目的を達成するために貢献する気持ちをもつ
・必要に応じて役割は再分担する
・クラスや園全体に意識を向け、協働的な組織をつくる
とかいてありました

その「協働的な組織」とは
どのような手順や循環でできあがるか?
著者の思う組織作りのイメージ図例は?

といったものは書かれておらず
「こういう組織になるといいな」
という話が続く感じです。

3、なにかわかった気がする

特に筆者の
「システムは大事だが、雰囲気作りができなければ
 システムは形骸化する」

という意識改革や雰囲気作りを押す
趣旨の言葉にもやもやしたのですが
そこにヒントが隠れているように感じました。

それは
戦略と戦術をごっちゃで話しているから
なのではないか?

4、戦略と戦術

ここでの私の戦略の定義は
組織全体を大局的に見て
基本的な型や仕組みづくり
を行うことしています。
時計は歯車の構成や配置をするイメージ

対して戦術とは場面ごとの局所的な戦法
組織の雰囲気づくりや
コミュニケーション
意識改革
としています
時計の歯車を良く動かすための潤滑油のイメージ

これらを前提としたときに
マネジメントは前者に位置するものと私は考えます。

私が薄いと感じたのは
戦略の話をしているはずなのに
戦術で回答を出されていることに
違和感を覚えたからだと気がつきました

5、なぜこうなるのか?

こういった薄いと感じる
研修や本の内容ができるのには
理由があると考えられます。
それは著書や講師の方々の問題ではありません。

保育という正解がなく
一般の会社のように成果を定量化できない
組織に属する人間性が重要になる

組織の運営において
「これがいいと思います」
という断定的なモデリングが難しいからだと
思われます。
※あと学者さんは図式化するのは苦手なのかもしれません

だからこそ本著でも
さまざまな園での実践例の記録も収録されています

個人的な思いとしては
配置基準という実態に沿った分析や考察のもと
「私はこうだとうまくいくと思う」という
具体的な例を組織マネジメントでも保育実践でも
もっと積極的に発信してくれる

ありがたいなと思います。

6、おわりに

最後に注釈しておくと
私は著書を批判するために書いているのではなく
保育の研修や各種著書が薄くなってしまう
そこに違和感を感じる自分の
もやもやの要因をあげることを目的としています

著書自体は素晴らしいものであり
保育士から管理職になり
どういう在り方が大事なのかを知りたい
という方には
本当におススメできる本です。


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