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クラスがしんどい。 その6 生徒に直接聞いてみよう。

 今週もお仕事、お疲れ様でした。しんどいクラスに居ると、本当に心身ともに疲れますよね。心に余裕があったらお読みください。

 さて、前回はどんな話だったでしょうか。そうです、あなたの『目に見える範囲で』クラスの中の関係を見てみよう。という話でした。『クラスがしんどい。』シリーズの最初では、気になる生徒と教師であるあなたとの人間関係について書いています。今度「その1」から読んでみてくださいね。  
 そして前回からは、クラスという集団の中での関係性について考えています。気になる生徒と会話ができるようになってきたら、クラス全体に少し目を向けて、クラスの中での生徒と生徒のいろんな関係性を『目に見える範囲で』見てみましょう。休み時間や授業での生徒同士の関わり合いの中で、クラスの様子を見る。まずはそこからやってみましょう。

 前回の最後でも話しましたが、『目に見える範囲で』というのをカッコ付にして強調しているのは、あくまでそれは、あなたから見た関係性であるということです。私自身も含めて、教師ひとりがクラスを見てキャッチできる情報量には限界があります。実は、見えているようで、見えていないんです。だって、1クラス40人近い生徒と教師ひとりが、同じ教室で生活しているんです。しかも中学校では、自分の教科と道徳学活総合の時間しか教室にいません。ひとりの教師が生徒たちの関係性をすべて把握するなど、到底不可能なのです。
 だけど、担任としてクラスを任されると、周りからそれを求められているような気がしてきます。生徒は子どもとはいえ、クラスという40人が集まる組織のマネジメントを任されているわけです。ものすごく大変な仕事だと思いませんか?大変です!!
 だから、しんどいなあと思うのも当然なのです。(まあ、そこが教師の楽しさともつながるのですが。)

 だから、まずは自分一人で見なきゃいけない、と思うことをやめましょう。そして、自分だけでは到底みることができていない、できなくて当然、と考えましょう。 
 ここまで書いて慌てて否定しますが、だからと言ってクラスの関係性を自分で見ようとすることが無駄なわけではありません。生徒のふるまいから生徒同士の関係性を見ようとすることは、教師として大事なスキルだと思いますし、生徒の見取りは、生徒を理解する上での補助線のような役割になると私は思っています。その補助線が多いほど、生徒を理解するための手がかりが増えます。

 ちょっと回りくどい話になりましたが、やるべきことはシンプルです!クラスに居る自分以外の誰かに頼ること。そうです。

生徒に直接聞いてみよう。

ということなのです。「いやいや、生徒なんて周りなど何も見えてない!」と思ったそこのあなた!そんなことはありません。生徒たちは学校や学校以外の生活の、担任が見えていないところで様々なドラマを経験し、ヒリヒリした関係性のなかで怒涛の日々を過ごしています。生徒に何をどのように聞くのか、具体的に書いてみます。

  • 休み時間での雑談の中で、「最近どう?元気?」と声をかけてみましょう。もちろん、聞いてほしくないなあ、という様子の生徒もいます。それも、『聞く』のうちのひとつです。待ってました!とばかりに、最近の悩みや愚痴などを話してくる生徒もいます。

  • 生徒の話は、感情も行動もごちゃ混ぜの話が多いです。「うんうん」「なるほど」など、あいづちを打ったり、リアクションをして聞きましょう。「そのときどう思ったの?」「例えば?」など、生徒が話しやすい問いかけと雰囲気を心がけましょう。

  • たまに感情的になって、「先生も〇〇のこと悪いと思うよね!?」とか、「〇〇先生ほんとひどくないですか!?」と同意を求められることがあります。そのときは、よほど一方的な悪口やからかいを受けている場合以外は、安易に同意しないほうが得策です。「うーん。〇〇さんはそう思うんだね。」「〇〇さんはどう思ってるのかなあ?」「〇〇先生はなんでそう言ったのかなあー?」という問いかけで、一緒に考えるスタンスを取ると、より関係性が見えてくることがあります。

  • 中学校だと、自分の担当教科以外の授業は、どんな様子で何が起きたかは見ることができません。なので、自分の授業の前の休み時間に、生徒に「前の授業何やったの?」と聞いてみましょう。授業の内容を教えてくれる生徒もいれば、授業中のちょっとしたエピソードを話してくれる時もあります。

 あ、ちょっと余談なのですが、中学校でクラスのその日の雰囲気を知るためには、自分のクラスの『時間割』が超重要だと私は思っています。自分のクラスの時間割、ちゃんとみたことありますか?
 例えば自分の教科の授業のとき、なんだかクラスの生徒が落ち着かないとか、やる気がない雰囲気が漂っているとか。そんな時は、「えっとさっきの授業は・・・理科だね?どーだったの?」前の授業の様子を生徒に聞いてみるといいかもしれません。そして、次の授業の教科も気にしてみましょう。たとえば、授業中みんなそわそわしているような感じがするときに聞いてみると、「次の授業で小テストがあるんです・・・。」とか「音楽で歌のテストいやだー!」など、時間割の流れによって生徒の気持ちも変わります。自分が中学生の時も、嫌いな教科がある時は気持ち的に不安定だった気がします。笑
 考えてもみれば、生徒は毎日、1時間刻みのスケジュールでいろんな先生がやってきて、やれ課題やらテストやら、時には話し合いやらアクティブラーニングやら、目まぐるしい日々の中にいるわけです。それを40人近い人と一緒に、と考えれば何も起きないわけがないのです。

  • 日々の授業の様子を生徒に聞いてみて気になることがあったら、担当教科の教員に聞いてみましょう。もしかすると、担任に報告するほどでもないけれど、気になっている様子を話してもらえるかもしれません。

 と、ここまで書いてきて思ったのですが、クラスの気になる生徒との関係性や、クラスに何となくしんどさを抱えている先生って、人と人との関わりについてしんどくなるくらいあれこれ考えている先生なんじゃないか?という気持ちが湧いてきました。教師としてしんどくなるのは辛いけれど、生徒にとってはそれがかえってよい先生ってことなんじゃないかなあと思います。
 授業がうまくて、統率力があって、指導する時はビシッと指導できる、そんな先生が理想の先生像として語られがちです。それも大事なことかもしれませんが、そんな先生ばっかりだったら、生徒も教師も息が詰まりそうな気がしませんか?
 しんどいって辛いけれど、とても大事な感覚なのかもしれません。

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