見出し画像

卒業制作を終えた雑感。

早いもので、芸大生になって3年が経とうとしています。
ちなみに、1年目の雑感はこちら。2年目の雑感はこちら

芸大生3年目の2023年度を総括すると、
「絵に向き合えなかった1年」でした・・・

仕事にプライベートに忙しく、ゆっくりと絵に向き合えませんでした。さらにいうと、自分にも向き合えなかったのだと思います。絵を描くことは、自分と向き合うことと同意ですから。

夏のスクーリングは絵画を描く系の授業は10日間ほどに留まりました。ちなみに2年目は36日間あったので、かなり少なくなりました。代わりに家で絵が描けたかと言えば、ほぼ描けずでした。これではいけません・・・
今年は、まずはしっかりと絵と向き合える時間を取ることから意識したいと思います。

大阪芸術大学は総合芸術大学なので、絵画や音楽もあれば、写真やデザイン、文芸、映画、さらにはキャラクターやアニメまであるのですが、夏のスクーリングでは写真の授業(フォトアート)を受講できたのは良い経験になりました。

卒業制作については、これまでのメディアとしてのアートを追求するために、SDGsをテーマに取り上げて、陰(負)と陽の対比を表現しようと考えました。先進国では持続可能な発展に向けて、企業がいろいろな取組みをしていますが、その行為が何か免罪符を得たいがための行為に見えて、どうなんだろうと考えています。また、発展の裏には自然破壊や発展途上国との軋轢もあります。そういったことを画面で表現したいと考えました。

「SDGs ~発展途上国と先進国の相克~」、H1455×W4480

表題「SDGs ~発展途上国と先進国の相克~」
H1455×W4480(F80号×4枚セット)、キャンバス、アクリル、ミクストメディア(新聞紙)

作品コンセプト
アートのメディアとしての可能性を信じ、鑑賞者がアートを通じて社会問題に向き合うきっかけをつくりたい。
本作は、SDGsを陰と陽の対比として捉えた。発展途上国では豊かな自然が失われ、貧困問題なども解決されていない。一方、先進国でも際限のない開発がなされているが、その持続性が危ぶまれている。自然、発展途上国、先進国、希望が複雑に絡み合っている。
今、我々一人一人がどのように行動すべきか、岐路に立たされている。

さて、約3年間の芸大生活(あと、冬のスクーリング(木版画と金工実習(鋳造)の9日間が残っていますが)を終えて、改め何を学んだのだろうかと考えると、
1.よく観察する力を身に着ける重要性(審美眼の大切さ)
2.作品作りのために自分や対象としっかりと向き合う重要性
3.細部までのこだわりと徹底的にのめり込む重要性
4.創造性は人から教えてもらうことではなく、自分で身に着けること


1.よく観察する力を身に着ける重要性(審美眼の大切さ)

芸大最初の授業はデッサンでしたが、デッサンではひたすら石膏像やモデルさんを観察して、そのまま木炭紙やキャンパスに書き写すのですが、先生から顔がゆがんでいるとか、体の上にちゃんと頭が乗っていないとかいろいろと言われました。そのようなアドバイスを受けて、再度見直し、極端な話1㎜、口の出っ張りを修正するとそれっぽくなったりするわけです。
その大前提としては対象物について変な先入観を無くしてみることが大切になります。人物であればその手の大きさがそれで良いのか、目の前のリンゴは本当に赤いのかといった具合です。

2.作品作りのために自分や対象としっかりと向き合う重要性

自分の2023年の問題とすれば、やはり向き合う時間が取れなかったことです。作品作りをするためにはちゃんと自分や対象と向き合う時間を取らないといけません。まあ、当たり前の話ですが。

余談にはなりますが、Z世代はタイパ(タイムパフォーマンス/時間対効果)を重要視すると言いますが、そのような考え方では創造性を発揮することは恐らく難しく、表面的なものしかできず、また人と同じようなものになってしまいます。筆者は経営コンサルタントですが、これまでは論理的な思考ばかりしてきましたが、その際の問題意識として、論理的に物事を突き詰めると、誰もが同じ答えにたどり着き、差別化できないということでした。要はタイパを重視する限り、そうなってしまうことでしょう。

3.細部までのこだわりと徹底的にのめり込む重要性

これまで効率重視できた自分として苦手なことなのですが、アートについては徹底的に細部にこだわり、対象物にのめり込もうと思います(笑)

4.創造性は人から教えてもらうことではなく、自分で身に着けること

身も蓋もない話ですが、創造性は教えてもらうことができません。一方、マネジメントは人から教えてもらうこと(書籍を読むこと)で身に着けることができます。創造性は自分で体験することで初めて生みの苦しみを理解し、それをどのように乗り越えることができるのかを実感できることでしょう。その繰り返しによって、初めて創造性を得ることができるのではないかと思います。

芸大の授業でも最初の方は、油絵の道具の使い方やデッサンの仕方、描き方等々は教えくれます。ただ、2年目の後半ぐらいになってくると、自由に描いたら良いということになります。卒業制作について、どのような作品作りをしたら良いのかということについてのアドバイスはあまりありません。
だから、人によっては迷走することにもなります。
それは、アート自体が作家の内なる気持ちを表に出すことなので、アドバイスしづらいということもあるのでしょうが、なかなか厳しいところです。

卒業制作を終えて思ったことは、とはいえ、まだ学生なので、指導者がもう少し卒業制作についてアドバイスすべきこともあるのではないかということです。他の芸大もそうなのかどうかは分かりませんが・・・

まあ、アーティストとして活動する以上は自分と向き合う他ないので、当初は大学卒業後に大学院に行こうかと考えていましたが、とりあえず、その進学は一旦ペンティングとして、ある程度作品づくりをしてから、他の芸大の門を叩くのかどうかを考えたいと思います(笑)

2023年度はアートと向き合えなかったのですが、いくつかの公募展に出展することができ、一次審査をパスした展示会もあったのですが、入選できませんでした・・・とりあえず、今年は作品作りと、どこかの展示会への入選を目標にしたいと思います。

さて、1年後はどのような姿勢でアートと向き合っているのやら。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?