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ナレッジマネジメントは社内の情報を集めるだけでない。社員という仲間どうしをつなぐことができる

こんにちは。カイロスマーケティングで代表してます佐宗(さそう|@dsasoon)と申します。

カイロスマーケティングも、すでに50人を超える組織になってきました。半年で15人以上増えています(退職者は「ゼロ」更新中)。

いやぁ、カイロスマーケティングも気づいたら、少しずつ大きくなってきた。

会社がスケールするために、仲間が30人に達してきた段階から、ガバナンスを作ることを意識してきました。なぜなら人が増えてきた組織を有機的に機能させるためには、いわゆるガバナンスが必要。だって、社長が全部関わるわけにはいかないんです。だから、さまざまな意思決定や暗黙知としての社内ルールを明文化して、各種規程や組織構築と権限移譲の仕組みなどをつくり、組織としての効率を稼いできました。

ガバナンスを構築しながら組織を大きくするなかで体験した苦悩が、今回の当社SaaSの「Kairos3」のヘルプのリニューアル。ヘルプといえどもプロダクトの一部。だから主管は、プロダクトマーケティングや開発の領域。でも、ヘルプについて誰よりも知見があるのは利用者との接触が多いカスタマーサクセスの方がよく知っている。誰がこのタスクをリードするべきなのか?と。

従来の組織の枠組みで解決しようとすると、お客さまにとって最高のプロダクトにならないし、最高のプロダクトを狙いにいけば、組織のあちこちで歪みが生じる。まさに葛藤。

急速に仲間が増えると、会社としてもやること・できることがどんどん変わる、そして増える。組織のガバナンス(統制)で生産効率を確保しながら、変化に追従する事業成長のスピードも落とさない。相反することをうまく実現していくのが、カイロスマーケティングのような小さな組織の宿命なのでしょう。


ヘルプのリニューアルというシンプルだけど、重いプロダクト開発話

おおよそ全てのKairos3の機能開発は、MRD(市場にとって必要だろう機能要素の定義書)ってのをプロダクトマーケ(PdM)が作って、そしてそれを元に開発(DevOps)がPRD(技術要求仕様書)に落とし込んで開発を進めていく。こんな流れがカイロスマーケティングのKairos3の機能開発の進め方です。

今回の開発はヘルプ/チュートリアル。長い間、まだまだ改良の余地があると思っていたKairos3のヘルプ/チュートリアル。問題はどこからどうやって手をつけていくか。Kairos3の機能の一部なんだけど、他の機能とはその性質が異なる。だから改善のアプローチについてずっと悩んできました。

この悩みは、カイロスマーケティングが組織もしっかりしてきたことが原因なのだろうと、なんとなく気づいていました。

組織や業務が固まってきて、ちょっとした変化球になるとどうしても標準的なやり方で対応しようとする。こんな時に、コロナ禍のような予測もしてなかったことが起きてお客さまのニーズにも変化が生まれてしまう。そのニーズにはすぐにでも対応しないと「マーケティングを、もっと身近に。」できない、と。

Kairos3のヘルプ/チュートリアルの開発裏話については、うちの採用広報担当の@ssssato21が書き下ろしてくれました。


プロダクト開発を通じて浮き彫りになった組織の成長課題

わたしたちのやるべきことは、「マーケティングを、もっと身近に。」すること。これが組織全体に染み渡っているところがカイロスマーケティングのいいところ。これまでのやり方を崩してでも、やるべきこと、なすべきことに向かって歩んでいく。この辺はとても好きです。

今回直面した課題感をまとめると、

◆PdMや開発はヘルプに関してはお客さまから遠いという解釈そのものが、現場(主にカスタマーサクセス)における貴重な事実情報が担当者個人に止まり、会社としての組織パワーに直結していない事実を明かしている。

◆カスタマーサクセスのKPIは機能開発ではないため業務になりえない。会社がスケールするために分業すると組織間に超えにくい壁ができる。そのためあるべき行動をとることに躊躇する。

◆コロナ禍など変化が早く、変化の要素も多く複雑に絡み合うような環境では、ガバナンスが事業成長のスピードの抑制につながる可能性を秘めている。

って感じです。社員数も50人を超えてきて、組織としての新たなチャレンジに向かっていかなきゃいけないんです。

こんな課題をKairos3の機能開発において、社長のトップダウンなしで自らが動いて組織という役割分担を超えて解決してしまった、というのが今回のヘルプ/チュートリアルの改良で起きたことです。


お客さまから学べるように、オープンな社風を築き、ナレッジを蓄積する

少し話題が変わります。カイロスマーケティングって、情報がわりとオープン。

営業やカスタマーサクセスが接触したお客さまとのやり取りは、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理のシステム)に誰もがしっかりと記録する文化があります。そして、お客さまとの接触の記録は、全社員が見ることができるのです。

企業経営にとって、お客さま接点はとても大切。でも、基本的に社外で発生することだから、経営者は全てを容易に見ることはできない。という、矛盾があります。お客さまとの状況、つまり市場そのものを可視化できるよう、かなり前から習慣化してきました。

わたし達が成長できるのはお客さまのおかげ。事業について学ぶのはお客さまからしかない。こんな思いを持っていました。だからこそ、すべてのお客さまとの接触を可視化して、それを全社員で共有しています。

それだけでなく、各部門のリーダーが集まるリーダー会議(COFFEE TALKと呼んでいます)でも、年に2回の全社会議(ALL HANDSと呼んでいます)でも、経営状況や各部門の活動状況・課題・計画を共有しているのですが、この資料や議事録も全社員が見れるようになっています。

加えて、社内の業務の各部門のマニュアル、マニュアルではカバーできないFAQ、業務に関係のある本を読んだ感想文やまとめなども社内に公開されています。

お客さまや商談の情報だけでなく、いわゆる「知識」も共有するナレッジ・マネジメントができてきたかな、と思っています。


ナレッジが人をつないだ現場力に感動、しちゃった。

組織が大きくなるにつれて会社全体を素早く動かすためには、指揮命令系統をしっかりしておくこと。経営者が全ての現場に顔を出していたら、組織が大きくなるにつれて事業成長のスピードが落ちる。だから、ガバナンスを構築しないといけません。

ただ、ガバナンスが機能するのは常時の話。常時以外、つまりこれまでのやり方では対処できなくなった想定外の時には、これまでのガバナンスという指揮命令系統を打ち壊す非公式な生態系(コミュニティ)が存在して機能しないと生き残れません。

今回のKairos3のヘルプ/チュートリアルの改修で起きたことは、まさにこれ。非公式な生態系であるチームができて、組織の壁を超えた。しかも自発的に。

メンバー間で、経験や知見を共有して、新たな知見や経験に置き換えこれを蓄積していく。他の業務培ったお互いのアイデアをいつもと違う場所で再利用することで、お客さまに対する製品の価値を高めることにつながります

こういったコミュニティみたいなものを組織に内包させる。こうして、組織としてガバナンスを成立させつつ、機動力を高めるためのコミュニティを、あるタイミングで発動できるようにする。そのためには、あの人やあっちの部署では、こんなことをやっている。こういう知見やノウハウがある。ということが事前にわかるようにしておくべきかな、と。

ナレッジマネジメントや、情報がオープンであるカイロスマーケティングの社風や文化が創り出した奇跡的かつ偶然の産物かもしれないなぁ、とも思っています。お客さまにとってより良いヘルプ/チュートリアルができた(と、信じたい)。

「ヘルプページのリニューアルがとても良いです。ヘルプが使い方と一緒に出てくる。使い方も製作(メールやフォームの作り方など)も同時にわかるのがとてもいい。」

早速こんなお客さまの声をいただきました。

参加したメンバーが力を合わせて問題を解決するだけでなく、独自のアイデアを生み出そうとする努力をする。組織体系という命令系統ではなく、自発的に参画し知識の貢献度に応じて、リーダーシップを発揮する。意図せず結果につながったため結果論ではあるものの、本ケースはとても素晴らしい取り組みだったと思っています。

社内情報のオープンさとかナレッジマネジメントって、知の集約が目的ではない。社員同士をつなぐきっかけになることこそが目的。そう思ったできごとでした。

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