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コンサルタント任せの営業DXが大炎上。その理由とは?

おはようございます。
カイロスマーケティングで代表をしております、佐宗(さそう|@dsasoon)と申します。

DXが注目され始めてから、3年以上が経ちました。DXに対する認知も徐々に広がり、DX導入企業が増えてきたように感じます。

DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略称で、ITツールやデータなどデジタル技術活用して組織や事業を変えることを指します。リモートワークが進み、対面以外の営業活動を可能にするITツールが普及するにつれて、営業DXに関心を寄せる企業が増えてきました。営業DXとは、営業、販売促進、およびマーケティングの分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を指す造語です。

大企業のみならず、中小企業においても営業DXの取り組みが増えています。大企業とは異なり、中小企業にはしばしば社内に専門家がおらず、営業DXの導入は、コンサルタント任せになることも少なくありません。

コンサルタントに営業DXを任せることは成功パターンの一つに見えるかもしれません。しかし、これが営業DXの失敗につながることもあります。その失敗の原因はコンサルタントにあるのではなく、企業側にあることがほとんどです。この点に気付かずにコンサルタントの問題として捉える企業とコンサルタントの間で大炎上につながるケースも珍しくありません。

営業DX導入の3つの「罠」を理解しておくことで、これらを避け、自社の売上や利益の向上につなげることができます。

なお、当社でも営業DXのコンサルティングをしております。コンサルタントを非難する記事ではないことをご理解いただければと思っております。


コンサルタント任せきりの営業DXの「罠」

営業DXのコンサルタントはその分野の専門家であり、多くのプロジェクトを経験しています。しかし、企業が営業DXの導入方針や戦略だけでなく、実施作業もコンサルタントに依存することは問題です。

コンサルタントの作業時間が増えるほど、その料金は高額になります。その結果、コンサルティング費用が高額になることもあります。成果が出ない場合、企業は「高額の料金を支払ったにもかかわらず成果が得られなかった」と不満を抱くでしょう。

そしてコンサルティングが終了すると、営業DXが社内に定着せず、その後の改善も進まないことがあります。作業までコンサルタントにお願いすると、コンサルタントが持っている知見やノウハウが社内に浸透しないため、こうなることは当然です。結果として、営業DXは形骸化し、「社長が推進した“夢の”営業DXプロジェクト」と陰で言われることでしょう。

コンサルタントを効果的に活用するには、作業を依頼せず、助言に留めることが重要です。営業DXの助言を受けつつ、社内で作業を進めるのが望ましいです。社員がコンサルタントから営業DXに関する知識を学びながら実際に作業をすることで、知識が増えるだけでなく、作業方法も習得します。このようにして社員が作業を覚えることで、社内への定着や今後の改善につながります。コンサルタントはあくまでも相談相手としての知見やノウハウを提供する存在として位置付けることが重要であり、アウトソーシングとは異なります。

この方法で、社内に営業DXの専門人材を育成することも可能です。コンサルタントの活用方法を誤ると、営業DXは形骸化し、失敗に終わる可能性があります。

中小企業には営業DXの専門家がいないことが多いため、外部のコンサルタントに依頼することは理にかなっています。しかし、コンサルタントの活用を謝ると、高額なコンサルティング費用を払うだけでなく、導入後の営業DXが形骸化する「罠」に陥る可能性があるため、注意が必要です。


有名なITツールに潜む「罠」

営業DXではITツールの導入が不可欠です。特に営業支援システム(SFA)やマーケティングオートメーション(MAツール)の導入が一般的です。これらのツールは、大企業向けに設計されているものが多く、大企業での導入が進むにつれて知名度が上がってきました。

中小企業で営業DXを進める際、これらの有名なITツールも選択肢として検討されます。コンサルタントもこれらのツールを推奨することがあります。しかし、中小企業で大企業向けのITツールを導入すると、後に問題が発生することがあります。年間数百万円をITツールに投じながら、社内ではほとんど使われていないという状況がしばしば見受けられます。

営業DX用のITツールには海外製のものが多く、日本の中小企業には適さない場合もあります。海外製の有名ITツールは専門知識が必要で、導入費用に加えて研修費用も発生することがあります。中小企業では人材の出入りが多く、担当者が辞めた際に再度研修費用がかかることもあります。

大企業には専門部門や専任担当者がいるため、これらのITツールの運用が可能ですが、人手不足に悩む中小企業では、営業DX用のITツールは兼任で管理されることになり、社員の仕事量が増えるだけでなく、業務に必要な専門性の幅も広がってしまいます。これが有名なITツールを導入する際の罠です。

営業DXの目的は、専門性の高い有名なITツールを導入することではありません。ITツールは手段であり、自社の実力と運用に必要な専門性のバランスを見ながら、使いやすさを考慮し、自社に適したITツールを選ぶことが重要です。コンサルタントからITツールを紹介された場合も、最終的な選定は自社で知識をつけて、実際に試してから行うことを推奨します。

営業DXを推進するための有名なITツールは、大企業の導入によって知名度を高めてきました。有名だからと言う理由だけで成功するとは限らない「罠」が、これらのITツールには潜んでいます


営業DXにおける過度なデータ可視化の「罠」

営業DXにより、営業やマーケティングのさまざまな活動がデータとして可視化されます。これにより、営業部員の活動数や受注数、受注率、提案数、見積り提出数、ホームページの月間問い合わせ数などの数字が明確になります。

しかし、これが中小企業にとっての「罠」になることがあります。KPIマネジメントが始まると、受注数を増やすために提案数を増やし、それに伴い営業活動数も増加するような流れが生じます。

営業部員から見れば、営業DXの導入により、顧客訪問ごとにSFAに名刺情報を入力し、商談の情報やステータスを更新しなければならないため、日々の作業量が増え、そしてこれまで以上の営業活動が求められるようになります。

KPIマネジメントでは、営業DX導入によって市場や顧客に対する焦点がぼやけ、管理職が社内営業管理に没頭する傾向があります。事業は市場における活動であり、顧客の要望を満たすことが本質です。絶えず変わる顧客のニーズや競合の動きを無視した営業の活動を増やしても、売上増加にはつながりません。営業DXによって営業活動の数字が可視化されることにより、顧客不在の社内営業管理が横行しがちです。

有名ITツールと高額なコンサル費用、それに加えて、社内営業管理の流れは営業DXの王道とは大きな乖離があります。

営業DXでなすべきことは、顧客の要望の変化や競合の動向と、それに応える営業活動の可視化です。営業活動は社内からは見えにくいものです。営業DXによって見えにくい営業活動を可視化し、自社製品に対する顧客の声や競合の動向など、市場の変化に注目し、それに応じて事業の方向性を調整することが求められます。

営業DXには、あらゆる数字やデータが可視化されるという「罠」があります。事業の本質は顧客の要望を満たすことであり、これを忘れて社内営業管理に没頭すると、営業DXの導入が社内の混乱につながる可能性があります。


身の丈に合った営業DXの実践へ

営業DXの導入における問題は、多くの場合、コンサルタントではなく企業側にあります。コンサルタントは専門的な助言者として活用することが重要です。企業側は営業DXを導入する過程で、自ら考え、調査を行い、実際に導入のための行動を起こす必要があります。

顧客を考慮しない営業DXの導入は、しばしば問題を引き起こすことがあります。企業のトップは、営業DXにコミットすると同時に、顧客を意識した営業DXの進行を心掛ける必要があります。

営業DX自体は目的ではなく、顧客の要望を満たしつつ売上を伸ばすための手段です。営業DXは、この手段として適切に活用されるべきであり、企業の実情に合った形での実施が求められます。


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