【文化財紹介】大正時代のレトロなビル ~フジハラビル~
【2024年8月1日/大阪歴史倶楽部】
大阪歴史倶楽部です。今月は大阪市北区天神橋にあります、1923(大正12)年に建てられたレトロなビル「フジハラビル」をご紹介いたします。
フジハラビル
今回ご紹介するフジハラビルは、いまから101年前の1923(大正12)年に建てられました。この建物は、もとは食品会社の本社および倉庫などとして使用されていたそうです。
その後このビルは長い間使われずに荒れていたのですが、現在の所有者さんが1980(昭和55)年にこのビルをご両親から譲り受けられ、その後は所有者さん自らが約10年かけて手造り(DIY)で修復・再生して活用されています。
この建物は鉄筋コンクリート造り地上4階、地下1階建で、外壁表面にはスクラッチタイルが貼られています。建物の西側には当初よりエレベータが設けらていましたが、現在エレベータは撤去されて階段室となっているようです。
現在この建物は、大阪のアートの発信拠点のひとつとして、ギャラリーやスタジオ、ライブハウスなどが入居しています。
また2009年には、NHKの連続テレビ小説『ウェルかめ』のロケにも使用されました。
外観の写真
以下はフジハラビルの外観の写真です(2024年7月 大阪歴史倶楽部 撮影)。
建物の特徴
フジハラビルは、鉄筋コンクリート造り地上4階、地下1階建てで、南側を正面としています。4階部分は少しセットバックして建てられているので地上からはほとんど見えません。
建物の下部は石造りでその上部の外壁全面には黄褐色のスクラッチタイルが貼られています。また正面の中央部分には1階から3階にわたって石造りの枠をもつ白いアーチ窓が設けられ、重厚さのなかにもモダンな印象を与えています。
フジハラビルへの行き方
フジハラビルへは、大阪メトロ堺筋線および谷町線の「南森町」駅3号出口から南へ約500m(徒歩約5分)です。この「南森町」駅は大阪天満宮の最寄り駅でもあります。
フジハラビルへの行き方は簡単です。「南森町」駅3号出口を出ると目の前が「天神橋2」という大きな交差点です。その交差点を南へ渡って天神橋筋商店街(天神橋2)のアーケードの中へ入ります。
アーケードが終わってもさらに真っ直ぐ南へ進みます。
するとお洒落な街灯が見えてきます。
そのお洒落な街灯の下をくぐってすぐ左側(東側)にフジハラビルが見えます。
おわりに
今回ご紹介したフジハラビルは、大阪の商業の集積地のひとつである天神橋筋商店街のすぐ南側にあります。もとは食品会社の本社と倉庫だったということで、この場所はとても良い立地であったと思います。
その後は長い間使われずに荒れていたこのビルなのですが、現在の所有者さんがご両親から譲り受けられてDIYで修復・再生・活用されています。
古いものでも良いものは残し、丁寧に手入れをして大切に使い続けるという大阪の人の「古いものを大切にし新しい時代に活かす」という気質がこのビルにもよく現れていると思います。
なお、このフジハラビルの建物を見学したり写真や動画などを撮影されるときには、所有者さんや管理者さんや周辺の方々に不快感を与えたりご迷惑にならないよう充分なご配慮をお願いいたします。
また、許可なく他の人の敷地内へは入ったりしないようお願いいたします。とくに建物内部を撮影される際にはセキュリティの関係もありますので、必ず所有者さんや管理者さんなどの許可を得てくださいますようお願いいたします。
今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。
【参考にした資料】
◎高岡伸一 他『大大阪モダン建築』青幻社 2007年
◎『ノッテオリテ』 vol.4 大阪市交通局 2009年
◎「フジハラビル」大阪建築 2024年版(WEB版)
◎「フジハラビル」『ぷらっと阪急』阪急電鉄株式会社 2024年版(WEB版)
◎「フジハラビルの詳細データ」都市設計総合研究所 2024年版(WEB版)
(『大阪歴史倶楽部』第3巻 第8号[※] 通巻27号 2024年8月1日)※第7号は休刊
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※次号は2024年9月1日に投稿する予定です。