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受け止める人がいること


五月が終わる。
何か宿題があったような気がしていたら、この記事だった。

介護「ジブンゴトへの道」。締め切りが5月末までとなっていた。

私には、身近に介護を見聞きした体験が少ない。
祖父母と同居していなかったということが大きいかも知れない。

父方の祖母は103歳まで長生きし、晩年こそ一人では歩けなくなり介助が必要だったが、実娘である伯母たちと三人で暮らしていた。昼はデイサービスに通っていた。最後まで頭は比較的しっかりしていたと思う。
お正月やお盆などに会いに行くと、伯母が「いつもはどこが痛いやのあれは嫌やの好き放題言うのに、○○(私の父、末っ子)や△△兄さん(伯父)が会いに来たらいい顔して、ありがとうありがとうって言うてるわ。ほんと娘と息子には見せる顔が違うんやから」と苦笑いしていた。

遠方に住んでいた母方の祖母も、祖父が亡くなってからは叔母と二人で住んでいた。
亡くなる少し前は、耳も遠くなったし、なかなか記憶も思い出すのが難しいことが増えたと言っていた。
叔母もあまり身体が丈夫な方ではないから、病院通いが大変だと話していたが、
後になってから叔母が「あの時、母(祖母)と二人で過ごせたことは、娘としてとても幸せな時間だった」と教えてくれたことが、強く印象に残っている。


ただ、祖母が亡くなった後、叔母と私の母の関係は少しこじれた。祖母の最期まで、祖母を支えながら二人で暮らした叔母。祖母の状態が少しずつ悪くなっていく頃、それを聞いてはいたが自分も闘病していて、なかなか会いに行けずにいた母。(そして母はそのことを叔母たちには伝えていなかった。)飛行機でないと帰れない実家。血のつながった兄弟姉妹が、ボタンをかけ違いすれ違い、血がつながっているからこそ、なかなか仲直りできないケンカを50、60代になってからすることもあるのだと私は知った。

叔母の気持ちも聞いた。
母の言い分も知っている。
どちらも悪くないと思う。
ただ、二人の関係は今もそのままゆるやかに並行線を描いている。
お金などの問題では全然なかったことが、救いかも知れないが。
何かの折に、お互いが
「あの時は、あんな言い方して、悪かった」
「自分も、あの時は余裕がなくて、ごめん」
と言えば、全ては解けておさまるような気もするし、私が知らないだけで二人ともとっくに心の奥底ではそう思っているのかも知れない。
それとも、それは私の希望的観測に過ぎないのかも知れない。いつでも間に入るつもりは出来ているが、二人とも娘や姪にそうされることを望んでいない気もする。


話が逸れてしまった。
介護と聞いて一番リアルにその体験を浮かべるのは、結婚してから聞いた、夫の祖母の話だ。
義母ははにとっての、舅、そしてお姑さんの介護。
30分前に出したご飯を「食べてない」「用意してくれない」と言う、大事な物がなくなった、と言い張って探す、そしてそれらのことを、今は離れて住んでいる実娘に電話して「こんな仕打ちを受けている」と言うなど‥。

仕方ないと分かってはいるけれど、あの1、2年は本当にしんどかった、と義母は時折繰り返す。常に肉親を大事にし、年上の言うことは絶対、という価値観の中で生きてきた義母。介護も、嫁という立場でほぼほぼ独りで担ってきたはずだ。実際、お姑さん(義祖母)が亡くなった後、義母はそれまでためていたストレスで体調を崩したそうだ。
そんなためにためた胸のつかえが、スーッと取れた瞬間があったと義母は言う。それはお姑さんのお葬式の時に、義母の次男、つまり私の夫の弟が言った言葉だったそうだが、そっと義母だけに聞こえるように、
「おかんは本当にがんばってきた。(祖母のために)やれること全部やっていた。それはオレが見てたから。一緒に住んでて、分かってるから」
と伝えたことだったそうだ。
だから、周りが何を言っても、気にすることはない。
そんな風に息子から言われて、初めて肩の荷がスッと下りた気がしたと義母は言った。


ここまで書いてみて、どのエピソードも、介護を経験してきた人の話を聞いて、という視点であり、ジブンゴトとしてはまだまだ浅い立場であることに気がつく。

何だか偉そうな文になってしまった‥!
うりもさん、宿題はまだまだ未完成なのですが、私の周りの介護のお話ということで、これで記事を提出しますね(別に強制された訳でも何でもありませんが)✏️。



義母はいつも言う。父さん(義父)は私が最後まで見る。でも私のことは、出来るだけあんたたちには迷惑かけんとこと思ってはいるけど、こればっかりは自分だってどうなるか分からない、そうなったら悪いけど頼むわな。そして、私は施設には入りたくない。最後まで家に住みたいんや、と。
一応私は長男の嫁だけれど、その技量もないことは義母も重々承知だろうから、先に書いておく。お義母さん、その時がきたら、私一人ではなくて、いろんな人の力を借りて皆でやっていこうと思います。



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