ときめくお年頃
長男は、ゲームが大好きである。
ゲームの時間は、普段私に厳しく?管理されている。平日は、30分。土日祝日は1時間+α。当然長男がそれで満足するはずはなく、いつも抵抗を試みている。
「お小遣いいらんから、お手伝い、これとこれとこれやったら、15分ゲーム延ばしていい?」んー、洗濯物、持ってくだけじゃなくて、バスタオルくらい畳んでよ。
「分かった。そしたら、この後玄関と階段もモップかけるから、10分増やして!」んー、了解。頼んだ。
ってな具合。
なので、うちはまだお小遣い制度は導入されていません。お手伝いしたら、貯まったポイントでゲーム時間か、YouTube時間を延長するシステム(守られずに勝手に延長されてることもあるが)。
また、ある日には、
「○○君なんて、宿題やったら何時間でもゲームしていいんやって!△△君の家も、こないだ日曜日に5時間もゲームしたんやって!!みんな言ってるで。何でうちだけこんな厳しいん。」
はい、出ました、「みんな言ってる」。
そしたら、今度クラスの全員にアンケートとっといで!1日何分ゲームしてますか?って。ゲーム持ってない子だって絶対いるはずやからね。オレの周りの友だち二、三人くらいで「みんな」とか言っても全然信ぴょう性ないわ。
「くそー、何でうちのママはこんなケチなんや!」
はーいはいケチでけっこう。
‥とは言うものの、私も自分で厳しい方だとは思う。
ただ、平日は宿題もあるし、友だちが誘いに来たら外遊びにだって行く。そこへ長男・次男合わせると計60分のゲーム時間、こんなもんだろうと思う。とことんハマりたい長男の性格上、ゲーム無制限OKにしようものなら、毎日の生活リズムが一体どうなってしまうことか。
その代わり、たまにお友だちと一緒にゲームしていい日を作って、その日は時間制限を緩めたり、土日はパパも一緒になって、トータル4時間位ゲームしたり、バランスは取っているつもりなのだ。
そんな長男、昨年からハマっているゲームは、Switchの「モンスター・ハンター サンブレイク」。賢く頑張っていた甲斐あって、クリスマスにサンタさんがダウンロード用のカード(?)を届けてくれた。それまでプレイしていたのは「モンスター・ハンター ライズ」。‥まぁとにかく、文字通り寝ても覚めてもモンハン、モンハンな日々を送っている。
元は2004年にシリーズ第1作目が発売された(らしい)このゲーム、主人公はハンターとなって、剣やハンマーなどの武器を選び、森や岩場、氷原など様々なフィールドでモンスターを狩る、というものである。夫はこのゲームが好きで、大学時代友人と連日狩りに明け暮れていたらしい。
プレイヤーは、主人公の性別、髪型等々を、自分の好きな見た目に(かなり細かく)設定することができる。アバターと言えばよいのか。自分の理想形を主人公の姿に模すことができるのだ。
長男操るハンターは、筋骨隆々のハンマー遣い、歯が綺麗なイケおじ、である。
とにかく、グラフィックが綺麗なので、狩りに興味のない私でも、壮大な自然の中を主人公が走り回っている様には思わず見とれてしまう。BSでドローンが映し出す「世界の絶景」の番組を見ている感じ。多分長男は、ひたすら標的を追いかけているだけなのだが。
たまに、大きなモンスターを倒した後など、物語が展開するシーンでは、主人公や街の住人・新たに加わる仲間たちが、まるで映画のように喋ってくれる。
どうもこの中に、長男が胸ときめかせている登場人物がいるらしい。
その名を、フィオレーネ という。
彼の名誉のため詳しくは書かないが、寝る前いつまでもこのキャラクターについて語っていたり、想像をたくましくしている様子である。
確かに、一見クールに見えるキャラだけれど、耳元ではねるボブヘアが可愛い。物語の途中では毒にやられてしまいハラハラさせられたりもするし、何と言っても日々長男とは共に命をかけて狩りに出かけている。いわゆる吊り橋効果?彼としてはとっても気になる存在のようだ。
(夫曰く、「そりゃーフィオレーネは、主人公が窮地に陥ると、『あなたが居なくなったら、私、どうすれば‥』なーんて思わせぶりなこと言ったりもするから、ピュアな長男がときめいちゃうのも無理はない」そうだ。あれ?でもそしたら、全てのプレイヤーにそう言ってる訳で、主人公が男性でも女性でもどういう設定でも、同じセリフで展開するってことだよね??)
私としては、勝手に、ゲームのオープニングから出てくる黒髪ストレートの美少女双子が、彼の好みなのかと思っていたのだが。
アニメや小説の中のキャラを、好きになることだってある訳だから、ゲームの中で恋しちゃうことだってあるよね(長男が恋しちゃってるのかどうか、本当のところは分からないが)。
私もあった。
天外魔境 II の世阿弥、カッコよかったな。
とある週末。いつものように、長男が分厚い攻略本を片手に標的のモンスターを倒し、画面はストーリーモードへと変わる。主人公の筋肉盛り盛りハンター(長男)と、別のキャラクターが会話し始めた。
エルフのような尖った耳、メガネをかけた知的で落ち着いた風貌に優しげな物腰。
彼はどうも仲間のハンターではない様子。
ん?
んん?
何か、この声、聞いたことある!
聞いたことあるっていうか、あの人の声だ!
え、こんなところで出会うなんて、思ってなかった‥!
それは、私が以前、若干暴走しながら記事を書いた、漫画の推しのキャラの声‥‥
津田健次郎さんだった。
この時の人です。
ええー、○○(長男)、○○、今の人だれ?何ていう人?
「え、タドリだよ。」
え?誰?なにどり?
「タドリ!」
タドリ?誰それ?も一回喋る?
ね、さっきのシーンもう一回!もう一回この人喋らして!ママこの人の声聴きたい!!
長男は、えー別に良いけど、ゲームの時間、その分延ばしてなー、と言いながら、もう一度会話のシーンを選んでくれた。
良いよ、良い良い。全然そのくらい時間増やしていいから。って言うか、これだけしかない?もっと喋るとこないかな?
隣で見ていた次男は、理由が分かっておらず「何でまたおんなじの見てるん?」と聞いて、長男に「ママが、タドリの声好きなんやって。」と説明されていた。
次男、ふーーんという感じ。君にはまだ、分からないかもね。
‥という訳で、頭から同じシーンをもう一度見せてもらった。残念ながらあんまり何度も出てくるキャラクターではないようだけど、思ってもないところで、胸キュンとなる声が聴けたので、良かったです。
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