【独自】本と本好きの現在地=ミスiDファイナリスト九時さんにインタビュー=
[2021年6月更新]
九時さんの写真集が発売されました。
『BOOKSHOP TRAVELER』内、提燈(あかり)書店店主にもなられています。おめでとうございます。
それでは、本編です。
もがく「本」界隈
公益社団法人全国出版協会のHPを閲覧すると、ここ最近、書籍、月刊誌、週刊誌の推定販売金額は減少傾向にある。一方、紙のコミック市場全体(コミックス+コミック誌)では微減にとどまっている。
コミック誌は23年連続のマイナスとなったが、コミックス(単行本)は『鬼滅の刃』が大ブレイクするなど新たなヒットも育ったため、『2014年以来のプラス成長』と明るいニュースもある。さらに、電子コミックは違法海賊版サイト閉鎖の影響もあり3割近い大幅増で、「コミック誌を含めた紙のコミック市場の売り上げを電子コミックが初めて上回った」というから、出版業界の努力が実りつつあるように感じる。
一方、紙の売り上げが減少しているということは、街の書店に少なからず影響がある。
パソコンやスマートフォンの普及などで情報源や娯楽の価値が多様化する中で、書店はどのように生き残る、変化していくのだろうか。
分類別に見ると書店では雑誌の売り上げが多いようだ。かつての全商連のHPによると、『雑誌の低迷は街の書店を直撃し、2万2200店(99年)あった書店数は現在、1万4200店(12年)と15年間で8000店減っています。日書連の組合員もこの10年間で7463店(04年)から4459店(13年)に減少しました。』とある。
こちらは数年前のデータではあるが、本を取り巻く過渡期を表すデータとして挙げさせて頂いた。
本好きもまた「もがく」
このような中、書店を盛り上げようとしている女性がいる。大手出版社・講談社が主催するミスiDファイナリストの『九時(くじ)』さんだ。
(2021年4月15日更新)ミスiD2021『ねぇきいて?宇宙を救うのはきっと本賞』受賞おめでとうございます。
「本が好きなこと」がセールスポイントだという九時さん。応募者数2676人という激戦のなか、ファイナリスト193人まで残った一人だ。現在、ツイッターを中心としたSNSで本を広める活動をしている。
デイリーチャンネル編集部が「なぜ本×アイドルという活動をされているのかを教えて頂けませんでしょうか」と聞くと「私の(活動)をアイドル活動と言うのは悪い気がしている立ち位置にいます」と答えた。そのうえで、「『本』という括りにするとアイドルさんでそういう活動をされている方をあまり見かけない。『自分で伝える』という部分は足りないとは思いつつも「元書店員と元図書館員」という経歴がありますし、かつ「コロナ禍でのおうち時間で読書はどうですか?」と伝えたかったんです。色んな書店さんも閉店が多くなってきて辛い状況が続いているのが悔しかった。私は「それなら!」と今の立ち位置で頑張らせてもらっています」とした。
今回、デイリーチャンネルが『本』をテーマに選んだ理由は、編集部が本好きで構成されているからだ。「文を通して本に貢献できないか」と思っていた時に九時さんの存在を知り、コンタクトを取ってみたところ、快くインタビューに応じて頂いた。
人によって本を好きになる理由は人それぞれだが、九時さんの場合はどうして本を好きになったのだろうか。
――本を好きになった理由を教えて頂けますか?
「父が本をよく読む人で、記憶の一番最初の頃から本とは密接な関係にありました。なので、自然と本をよく読める環境だった。本を手に取り、漫画も含めて読んで。「楽しくてずっと読んでいたから好き」というのが理由です」
九時さんのミスiDの自己紹介文には以下の記述がある(一部省略)。
『現在32歳です。世間的には『おばさん』の年齢を生きています。
本を読むのが好きでずっとそれだけは32年間変わらずに続けていて。
年を取ると出来ることが制限されていく、
もがいていても身体が言うこと効かないというのが続いていてボロボロと本を読む楽しみも上手く分からなくなっていたりします。
『居場所がない世界中の女の子』
女の子という類でいるのはあまり好きではなく、僕って言っている方が落ち着いたり昔から女の子と遊ぶより男の子と遊んでいる方が楽しかったのを覚えています。
大人になるとそういう区別というのが生きていく中でないと難しくなっていることに疑問は感じています。
ただ、
今自分は居場所のない女の子、というところで生きています。
みんなが何かを残して生きていく中、自分は何もしていない中で生きていることにどうしてだろう?
と思っています。
誰かの何かになりたい。
ただその一歩が踏み出せないでいます。
そこで応募させていただきました。
僕を、
私を、
誰かの何かにしてください。』
本を取り巻く環境は変化を続けている。
そして本が好きな人もまた、もがいている。
付録
本来、色々な思いや役割のある本に順位をつけるべきでは無いと思ったが、2021年度で好きな本10点を選んでもらった。九時さんも「『順番ではなく』10点を選ばせていただきます」と答えてくれた。
(文責 デイリーチャンネル編集部)
取材協力者 九時さんのツイッターアカウント
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