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キューバの路上でダンスをした夜の話

その日のキューバは、太陽が沈む前の時間帯からあらゆる通りに人がやたらと集まっていて、キューバで流行っている音楽を大音量で流し、至る所でかなり大きな釜でスープを作っていた。
たくさんの人の笑い声と共にそこに漂う和やかな雰囲気。
たまたまこの日程でキューバに滞在できている事に幸せに感じた。

9/27。

この日はどうやら『Fiesta de CDR』とういう、恐らく感謝祭のようなもので、各通りに隣人が集まり、スープを作り、音楽を流し、サルサとルンバを踊るという日だったようだ。かなり、夜中までガンガンに鳴り響く音
そして楽しそうな人々。
僕はカサ(ステイしている場所家)で出逢った友人と一緒に、様子をのぞきに行こうという事になった。カサから近いが暗くて細い通りに入り、恐る恐るの様子を覗く。 
そこには、おばちゃん、おじちゃん、子供達が、音に合わせて本当に楽しそうに無邪気に踊っていた。なんだろうか、このキューバ人の底抜けの明るさは。音を楽しんでいるこの時間だけは、いろんな事情があるであろう国の事やお金の事は考えずに、ただ音と踊りを楽しむ、そして酒を飲むという雰囲気が感じられる。 

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最初は写真を撮ってちょっと様子みたら帰ろうと思っていたのだが、見ているうちに彼らの心から楽しんでいる雰囲気にやられてしまった。『どうしよう、参加したい。』と言う気持ちがどんどん身体の底から湧き上がってくるではないか。

僕は大学時代にかじる程度にダンスをやっていた経験がある。
ちゃんと踊るのなんか何年ぶりだろうかと思いつつも、もう参加したい欲には勝てずにどんなルールがあるのかもわからないが、とりあえずおばちゃんの横に行きステップをまねてみた。

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最初に僕らが行った時は
『ねー、チーノよ。なんでチーノがこんな時間にこんな場所にいるの』みたいな目で見られていたが。それはそうだ、こんなローカルな場所、地元民しかいない。しかし勇気を出してダンスに参加してみたら、急に皆が笑顔になる、そして声をかけてくる。

キューバで感じたのが、基本的に(子どもが特にそうだが)道で『Hola!!』と声をかけてみると態度が急変した様にクシャッとした笑顔になり、元気よく返事してくれて、話も少ししてくれる。

それは日本でも同じ事が言えるかもしれない。外国人観光客に日本語で「こんにちは』と言われて嫌な気分になる人は少ないはずだ。挨拶する事はとても大切な事であると改めれ感じることもできた。

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おばちゃんの隣で踊っていると、子ども達がいっぱい来て『チーノ!チーノ!』と嬉しそうに手を挙げて喜んで歓迎してくれた。おばちゃん達もみんな笑顔で一緒に踊ってくれて、めちゃくちゃ笑顔だ。なんなんだもうめちゃくちゃ笑顔で一緒に踊ってくれるではないか。

踊っているうちに人気者になったのか、なぜか子ども達がいっぱい僕の周りにきてサークルができ、子ども達と一緒にずっと踊っていた。

一人、中心となる女の子がすごい声をかけて来てくれて、盛り上げてくれて
その子がいたおかげで、すごく楽い時間を過ごせた。
しかし、キューバの若い女性は大人っぽい。
おそらく中学生くらいの年齢なのだろうが、もう身ぶり手ぶりが本当に大人の女性のようである。

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僕はダンス歴なんて少ないし、本当にかじった程度の人間であるが
もうこれだけは言える。

今までダンスをした中で一番気持ちいい時間だった。

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『ダンスって本来こういうものなんだろうなー』って少し酔っぱらっていたにしろ、その日の夜に感じたことは素直な気持ちであろう。技術とかではなく(もちろんキューバの人達は子どもから大人まで踊れて、そして何よりも上手い)みんなで、笑顔で、音を感じて、踊る。今までに感じた事のない感覚であった。

ダンスをやっている人、音楽をやっている人はキューバという、踊り大好き、音楽大好きの国に行く事を勧めたい。

地元の人に混ざり、よくわかんないけど、一緒に楽しむ。
たぶんそこにはリアルがあって、日本では絶対に感じられないものがあるはずだ。

たくさんの子供たちと一緒に踊って楽しんだ後、その路地を歩いていると二階のベランダから声をかけられた。

「こっちでも飲んで踊ってるから来なよ!」と言うことを言っているようだった。(当時は全然スペイン語がわからなかった為、なんとなくのニュアンスでしか会話はしていない)

流石に家にの中まで行ってお酒を飲むのはどうだろうかと、危険か危険ではないかの判断を周りの雰囲気を感じつつ脳内で行っていると、おじちゃんが降りて来て、猛烈な勧誘によって部屋に連れて行かれた。

危険を察知したら一瞬で逃げようと一緒にいた友人と話をしつつ

二階へと階段を登る。

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そこでも、爆音で流れるきゅーば音楽とお酒とダンス。

親戚がいっぱい集まって、爆音で音楽を鳴らし、酒を片手に踊っていた。

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一歩踏み出してみると想像もしていなかった景色に出会う事ができる。踏み出す前はその先をみる事ができない為もちろん恐怖心がある。しかし一旦踏み出してみると案外物事がスムーズに進んだりもする。

旅をして一歩踏み出してみたからこそ経験できた。(もちろんリスクマネジメントをすることは大事です)

そんなキューバのリアルでとにかくディープな夜であった。

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