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神のDB(026)

(026)な~んか出ちゃいますぞぉ~|ω・)どうぞ~

前のお話:https://note.com/daikiha/n/nacd1a03af19c

後のお話:https://note.com/daikiha/n/n48392b4ec0f2

【死】

見知らぬ建物。
わずかな窓から、月明かりが差し込む。

使われていない倉庫だろうか。
辺りが薄暗い。月明かりの光もわずかなこの部屋。
薄暗い部屋に、一匹の蜘蛛がボクの前を横切る。


するとボクの前にいた彼女はこちらを振り向き、
いつもの彼女からは想像も出来ない無表情な彼女は、
こちらに近づき、なんの躊躇いもなく、そして、

その蜘蛛を踏み潰した。


何度も、何度も、何度も、何度も、何度も磨り潰すように、ヒールを動かし、
そして、ヒールを持ち上げた足元には、潰れた蜘蛛が、あった。
八本の足がバラバラになり、
体液が撒き散らされて、
そんな状態でも、
触覚が動いている。

そんな姿をした蜘蛛を見て、彼女は、笑っていた。

彼女の顔からは想像も出来ないような、
いやらしく、
大きく口を開け、
歪んだマユと、
大きく見開いた目で、
醜悪な表情に変貌した彼女は、
ボクに向かって蔑ました悪態を大きな声で撒き散らした。

そして彼女が右腕を真上に上げ、指を鳴らした瞬間、
無数の銃弾が、響いた。


【9】

2012年2月8日、水曜日。ドッキドキな胸がときめくバレンタインディまであと1週間なこの日。

ボクは今、戦場にいた。

『(真顔)ここはこういう風にしてください』冷静にお願いする仕事の指示をするボク。
『はい、わかりました。あっ、あのここは・・』そして顔を近づけてくる及川さん。
『(真顔)はい、ここはですねぇ』(ヤバイんだよ、良い匂いんなんだよ!ホンに、ヤバイんだよ!)

『はい、と、ここはこうでいいですか?』パソコンの画面の方に近づいた時に腕におっぱいをくっつけてくる及川さん。
『(真顔)はい、そうですね。それでお願いします(ニコ)』(ほんっとーにヤバイんだよ。でちゃう!でてきちゃうんだよ!)

『わかりました。今回はここまでで、あ、こっちはどうしましょ?』(むにー)おっぱい完全に腕にめり込ませてくる及川さん。
『(まがお)ああ、そこはですねぇ。今回は』『はい(こっちを見上げてくる)』(ほーーーん、とーーーにでてきちゃう!!(・∀・∩)ってでてきちゃう!!!)

『(マカオ)こ、今回は、大丈夫ですので、ここ、こっちだけでお願いしまっふ。』『はい、わかりました。ありがとうございました(ニコ)』(あーーーーお、あーーーーおお、ヤバイかもーーー!!って!!)
納得した様子で自分の席に戻る及川さん。
そしてボクの意識は・・・イってしまった。

さて、
節分の厄落としの効果なんぞ何も役にも立たず、悪夢で汗だくになって目覚めた、本日2月8日の月曜日。
ボクは、
天国と地獄をリアルに体感出来たおっぱい戦場を切り抜けた後、
『あ~』
放心していた。

『何をしているの、鳴沢君。間抜け面してパソコンの画面なんか見て。』と円さんがやさしく『まじめに仕事、しなさい(パシュ!)』後頭部を平手打ちしてくれた。
『あひゅうん! おうぅぅ。。。ああ、円さん。すみません。ちょっと疲れが。。』と答えるボクの背後からはヒソヒソ声がする。
『疲れですか?先ほど及川さんに仕事の依頼していたぐらいで、それほど仕事をしているように見えませんでしたが。まあ、いいです。それより、行きますよ。』と、円さんが席を立つ。
『あれ、どこか行くんですか?外出ですか?』『何言っているんです。もうお昼です。』
『ああ、そういえば、、ってうそ!円さんがボクをランチに誘ってくれる!!そうかぁ。ようやく日頃のボクの行いでやっと心を開いてくれたんです』『さあ、行きましょうか、及川さん。』『ねぇ~、そうですなぁ。うん?うーん?及川さん?』
『そうです。これから及川さんとランチに行くんですよ。言ってましたよね?忘れていたんですね?そうですか。今すぐそこの窓から飛び降りてください。』『わ!わ!わ!聞いてました、覚えてました、思い出しました!!だから自殺勧告しないで!!』

と、ボクと円さんのやり取りに及川さんがボーゼンとしている。うん、これはやばいね。
そんでもってさっきからあちらのほうから聞こえてくる
「おい、また鳴沢が円谷さんに調教されているぞ。」「うぁ。すごいわぁ円谷さんの容赦ない躾。かっこいい~。」「くそぉ、鳴沢のヤツ、オレに変われ!!」
あらぬ噂?が盛り上がっていやがります。うん、これもやばいね、色々と。
『さあ!円さん!行きましょう!さぁ!さぁ!及川さんも、ね』『はぁ。。』
ボクは白鳥の水掻きの如く円さんと及川さんの背中を高速で促した。

さて、ランチに向かったボクと円さんと及川さんの三人は、近くのカフェイタリアンのお店に入った。
ここはパスタランチが1000円台とお手頃なのと味が確かなのとで特にイタリアンカフェが大好物な女子の人気が高いお店だ。
ランチには全て前菜とスープ、メインのパスタとホカッチャ、そしてデザートとお茶が付いてくる。
メインのパスタは通常のパスタ麺が2種類とニョッキとラザニアから選べる。
メインによって価格が変るけど、一番高いラザニアでも1800円とかなりお得感満載で、加えてお店の雰囲気もいい。
少しアンティークなウッド調の店内は縦長な作りで、テーブルが4人掛けが4つ、6人掛けが2つに、カウンターが10席程度ある。
まあ、こんな感じなんで今日もOLさんやこの近くの大学や専門学校の女子学生が占拠している感じであり、当然の如く、ボクなんぞのメガネ男子なんぞがいると、それはそれは『鳴沢君、あなた、浮きますね。』となる訳で。
『円さん、言わなくてもわかっていますから。それにこのお店チョイスしたの、円さんでしょ?』『はい、及川さんが喜んでもらえると思いまして。まるっきり鳴沢君のことは微塵も配慮していません。』うーん、今日のランチはスパイスが効きすぎてないかぁ~、店長さーーん!!

いやいや、さてさて。
あまり前半にボディを喰らってしまうと後半持たない。話題を早急に変えて。。
『そうだ及川さん、イタリアンはどうですか?好きですか?』
『あっ!はい、好きですよ。』
と、満面な笑顔で答えてくれる。
『パスタもピザも大好きなんです。あと、ラタトュユも好きです。夏になると夏野菜を使って家でも作るときがあるんですよ。』
『ふえぇ~、いいですねぇ。及川さん、料理するんですね。イメージ通りだぁ。』と素直な感想をいうボク。
『そんなぁ。簡単ですよラタトュユは。ただ、野菜と切ってコンソメで煮詰めるだけですし。』
『そうね。私も良く作ります。健康にいいですからね。』
『うぇ!すごいです!円さん、料理するんですか!イメージと違うぅ。』と素直な感想をいうボク『女性に失礼ですよ、鳴沢君(パシュ!)』『ブフェ!』に綺麗な右のジャブを入れる円さん。
仕喰った。無駄なダメージを。。
『おう、、失礼しました。っと、まあ、料理は置いといて、で、及川さんは』『失礼します。前菜をお持ちしました』おお!神の差込み!ありがとう!店員さん!

さて、食事です!
定員さんが運んできた前菜は『ホタルイカのマリネ、グリーンサラダわさび醤油風味オイルドレッシング』。
このお店でボクのお気に入りの前菜だ。
レタスや色々なハーブリーフを中心としたグリーンサラダはオリーブオイルをベースにしたわさび醤油風味のドレッシングがかかっており、その上にはレモン風味を聞かせた今が旬の味噌がパンパンに入った大きめなホタルイカのマリネが彩られている。それもちんけな数ではなく5匹も!このホタルイカと下のグリーンサラダを一緒に食すと。。。。うまうまぁ~。さらに、爽やかぁ~。。その秘密は、実は、実は!グリーンサラダにはニンジンと青じその千切りが入っているからなんですぅ~。青じその爽やかな風味、最高~。な、上に、ホタルイカの味噌がプチぃぃ、と、わさび醤油と千切りのニンジンが日本人の誰もが大好きな食感と味を表現してくれる。あああああ。。。またまた、最高。

と、前菜だけで改行なしの300文字越え。いやいや、やられますなぁ。

で、続いては。。。『紫芋のクリームポタージュでございます。』
定員さんが運んでくれたスープ。
少しまだ肌寒さを感じるこの時期にはうれしい温かいポタージュですな。
先ほどの爽快感を感じたお口の中をほんわか感にしてくれる。
さらにさらに、この優しい甘さは、紫芋の甘さ。砂糖は殆ど使っていないらしく、この沖縄産の紫芋は糖度がハンパないらしいです。このスープにはバケットが合う。固めのバケットを温かいスープにつけて食べると、う~ん、むにぃあまぁうまぁ。。。おいしいスープを吸った少し柔らかくなったバケット。何個でも食べれてしまいそうだが。。。これでお腹一杯になってはいけません、ハイ。

ここでも200文字を超えたスープの次はメインのパスタ!

ボクと円さんは『ニョッキのウニのクリームソース』。及川さんは『ナポリ風タコのラグーパスタ』を選んだ。

『ニョッキのウニのクリームソース』はこのお店の看板メニューで、ボクの大好物であり、円さんのお気に入りのメニュー(ボクが選んだ一瞬、強烈な殺気と共に睨まれたが及川さんは気付いてない)だ。
北海道のエゾバフンウニと生クリーム、パルメザンチーズを使用している濃厚なソースは、ムニムニしたジャガイモのニョッキにとても良く絡まり、おいしい。ホンにおいしいので、ニョッキを食べ終えて残ったソースは、パンに付けーの、さらに付けまくりーの、で最後に舐めようとしたら円さんににらまれーの、になるくらいの逸品。これがメニューに載るときは必ず注文してしまいますです、ハイ。
方や及川さんが選んだ『ナポリ風タコのラグーパスタ』は南イタリアの有名なタコのラグーのカッペリーニの冷製パスタだ。世界的に見てタコは海の怪物と恐れられた歴史から敬遠されている食材だが、イタリア、特に南イタリアはタコの料理が多いことで有名だ。このお店のタコのラグーのパスタはレモンの風味が効いていて、あと味サッパリした食べていて飽きずにおいしく食べられるこれまた逸品の料理だ。

と、ここまで料理を堪能し、場も温まったところで、
『及川さんが来てくれてから、職場が明るくなった気がしますよ。ねぇ、円さん』
とボクは自然に円さんに話を振ったにもかかわらず、
『及川さん、何かあったら直ぐに言ってください。速やかに粛清しますから、ね(ニコ)』
円さんはマリア様のような慈悲深い笑顔を及川さんに向けながら、ボクに死刑宣告をした。あれ~。
『いえいえ、鳴沢さんはとっても丁寧で、分かり易く教えてくれて。私、すごく助かってます!本当にありがとうございますね、鳴沢さん。短い期間ですが、よろしくお願いします。(ニコ)』
及川さんは女神さまのような屈託のない笑顔をボクに向けながら、感謝の言葉を言ってくれた。ふぅー、なんとか死刑は免れたようだ。

メインも食べ終わり、デザートの『シチリアレモンのシャーベット&パンナコッタ』が運ばれてきて、これまたおいしく堪能。
そして食後のコーヒーはボクと及川さんはカフェラテ、円さんは(さすがの)エスプレッソ。で、改めて、

しかし、
しかしながら、
しかしもながらながらも、
嗚呼、感動。
さっきの及川さんの言葉。いやいや、言葉って、武器にもなるけど、癒しにもなるんだね。久しぶりに人の温もりを感じましたぁ。。。
と、心底感じていると、エスプレッソを一口飲んだ円さんが
『ふぅ。。そうですかぁ。鳴沢君はやさしいですかぁ。でも鳴沢君は。。。まあ、あっち側の「M」な人ですから。その内、及川さんにも要求してくるかもしれません。あんな言葉やこんな。。はぁ。』と、ため息混じりにこの人とんでもない要素を盛り込みながら呟きましたよ!
『ちょ!ちょっとぉ!円さん!なんちゅう誤解を招くようなお言葉!』『はい?なにがですか、鳴沢君。今日のメインのニョッキ、おいしいかったですね。』『そうですねぇ。ウニのクリームソースとよく絡まって、うん!おいしい!って、話をそらさないでぇ!』『食事中ですよ鳴沢君(ガポォ!)』『ほごぉ!』テーブルに残っていたホカッチャを口に詰め込まれた、苦しいぃぃ。。
『おう、ごお、けほぉ!ちょっと円さ~ん。ホカッチャ丸一個はキツイっすよぉ。息できません。』『そうですか、お気の毒に。』『・・・・』もう、何も言うまい。
とボクが円さんになじられている中、
『うふ、あはぁ』と、笑い声が。
及川さんの方をみると、口を押さえて笑いを堪えている。

『あの~、及川さん?』『うふふ、あ、ごめんなさい。その、うふ、とってもやり取りがおかしくて。なんか、うふふ。』
及川さんは笑っている。本当に楽しそうに。
少女のように。かわいい表情で。
なんか、
『いいなぁ。』
『え?なんですか?鳴沢さん。』やばっ、また声に出してた!

『いえいえいえ、なんでも。』『え~、なんですか?私のほう見て。うん?』と、少し意地悪そうな顔をして、首をかしげながらこちらをみてくる。おお!かわいい!
『いやぁ、なんかですね、及川さんの笑顔がかわいいなぁって、ね、円さん。』『はい?何をそんな恥ずかしいことを照れながらいっているんですか?気持ち悪い。』おー、言葉のストレート。きたーん。

そんなボクを余所に
『まあ、鳴沢君の気持ち悪さはいいとして、鳴沢君が言うとおり、及川さんは本当に愛らしい方なんですね。』と円さんが及川さんの方を向いて言った。
『いえいえ!そんなことないです。すみません、笑ったりして。』と少し萎縮した態度をとった及川さん。
そんな彼女に円さんは少し目を細めながら『いえ、いいんです。そんな表情が「自然」にできていらっしゃるんなら、とてもすばらしいことですよ。』と、再度、円さんは目を少し細めながら及川さんの方をみた。

『ほんとうに、すばらしい「表情」です。』

前のお話:https://note.com/daikiha/n/nacd1a03af19c

後のお話:https://note.com/daikiha/n/n48392b4ec0f2

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