【アメリカン・スナイパー】国を愛し家族を愛しそれでも戦場を愛した男の物語。
こんばんわ。映画大好き大学生です。
今回は、これまでの2作品とは違って、
ミリタリー映画を一つご紹介したいと思います。
「アメリカン・スナイパー」(2014年)
米軍史上最多160人を射殺した男。
作品の舞台は9.11(同時多発テロ)以降のイラク戦争。米軍特殊部隊ネイビー・シールズに入隊する事となったクリス・カイルは、「どんな過酷な状況でも必ず仲間を守る」といった誓いを胸に、狙撃の名手として数多くの仲間を救う。しかしながら彼は、その狙撃の腕前からいつしか軍の中でも”レジェンド”と呼ばれる様になり、戦場においても”悪魔”という異名から賞金を掛けられ、命を狙われる存在となってしまう。国には彼の無事を祈り待ち続ける家族がいる中で、敵の標的となりながらも戦い続けるクリス。4回にも渡るイラク遠征の後に彼が感じた事とは。彼が命を掛けて守りたかったモノとは。「国」「家族」「戦場」、守らなければいけないモノの狭間で生き抜いた1人の戦士の衝撃の実話。
監督は巨匠”クリント・イーストウッド”
原作は4回ものイラク遠征に従事し、命を削り戦い続けた
”クリス・カイル”自身の著『ネイビー・シールズ最強の狙撃手』に始まる。
作品の見所は大きく二つ。
1.圧倒的な臨場感と雰囲気(リアルな戦場の風景が描かれている)
2.クリス自身の心境の変化(精神的な部分が事細かく表現されている)
まず、一つ目の”圧倒的な臨場感と雰囲気”。
作中では、当たり前のことながら戦場のシーンが多く描かれています。
激しい戦闘シーンや兵士が撃たれ、死ぬ場面も鮮明に描かれ、
人によっては「グロ過ぎる」と見れない方もいるかもしれません。
しかしながら今作品の大きな魅力の一つはこの”グロテスクさ”
戦場のリアルさにあると考えます。
自分自身、日本という国に生まれ、戦争自体を経験したり、
似た様な環境に身を置いた事は一度もありません。
戦争を知ると言っても人伝えに聞いた話や授業の一貫で
教科書を通して知る事しか出来ません。
その為、何が戦争を産み出し人が争い、命を落とすのか。
そこにはどの様な人々の意思が存在するのか。
リアルな現場を想像する事は中々難しいかと思います。
そんな中、この作品が自分自身の戦争観というモノを
考え直すきっかけとなりました。
想像もしていなかった戦場の現実。
平気で子供が死を選択する様な環境。
人を殺す為だけに生み出された兵器の無惨さ。
戦場では、当たり前の様に人が撃たれ、血を流しますが、
今作品ではそういった現実が隠す事なく描かれています。
中でも特に印象に残ったのは、敵兵に捕らえられた子供が
米兵に加担しているのではという疑いから拷問を受ける場面です。
敵兵は捕らえた子供の叫びを意にも返さず、ドリルで体に穴を開け
幾度となく拷問を繰り返します。
その光景はまさに地獄であり、
劇場では思わず目を瞑りたくなる程のものでした。
人が人を殺すとはどういう意味を持つのか。
戦争を知る事なく生きる事に問題はないのか。
その本質的な価値観を塾考する上でも、戦争をリアルな視点で
イメージする為にも、この作品を観ることをオススメします。
そして、もう一つの魅力が”クリス自身の心境の変化”です。
作中では、クリスが米軍特殊部隊ネイビー・シールズに入隊し、4回ものイラク遠征の中で様々な惨劇を乗り越えた後、戦争そのものや自らの家族に対してどの様な感情を抱き、何を最も大切にしようとしていたのかについてが描かれています。
一つ一つの場面に応じて彼自身の心境の変化が事細かく表現され、
思わず感情移入してしまう場面も多々ありました。
中でも特に印象的だったシーンは、イラク遠征の場で敵兵の様子を監視する立場にいるクリスが、不審な様子で味方部隊に近付く女と子供を狙撃するかどうか迷う場面です。
彼らは武器を保有しているのか。
それともただの一般市民ではないのか。
様々な感情が交錯する中クリスは、
”仲間を守り、国を守るという使命を優先させるべき”という考えと
”自分自身の家族と照らして引き金を引くべきではない”という考え
の二つの狭間で悩み苦しみます。
戦場にいる時の自分と家庭の中での自分が段々と分からなくなり、
守るべきもの、愛すべきものを見失う。
国に戻っても人を殺した記憶が蘇ったり、何か見えないものに対する
恐怖心を常に抱かなければならない。
この作品を観る上で最も辛いのはこうしたクリスの苦しむ姿であり、
そこに着目し何かを感じ取る必要があると思います。
”兵器が人を殺すのではない。人が人を殺すんだ。”
私は、この映画を観てこの言葉を残したいと思います。
戦争というテーマにおいては、人種、性別などの括りに関わらず、
関係がない事はないと思うんです。
今、こうしてる間にも戦争は続いていて、
自分たちの知らない事がたくさん起こっています。
何か行動を起こす事は難しいかもしれませんが”事実を知る事”は
誰でも出来ると思いますので、
その一歩として、是非この作品に目を通して観てください。