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コーチングのテーマってどう決めるの?②

テーマ再設定と呼んでいるものを紹介します。6つの質問でクライアントの現状がサクッと理解でき、コーチングで何について話したらいいか絞り込むのに役立ちます。


テーマ再設定と目線切り替えMAP

目線切り替えMAPというものを使って説明しているので、知らないかたは以下を流し読みするのもお勧めです


テーマ再設定をやってみる

ではもう一度、画像をみてください

テーマ再設定と目線切り替えMAP


この順番に質問することで、コーチングのテーマが絞り込めます、

実例で見てみましょう。

CO①「今日は何を相談したい?」(テーマ)
CL「最近気分がモヤモヤしてて、なんとかしたい」
CO②「そっか。何があったからそれを話そうと思った?」(背景)
CL「妻と子どものことで言い争いになり、ちょっとギクシャクしてます」
CO③「なるほど。とはいえ、すでにできていることは何?」(リソース)
CL「子どもの進学先は決まってるし、それはお互いに良いと思ってます」
CO④「いいね。本当はどうなったらいい?」(ゴール)
CL「子どもの進学に向けて、もっと協力しあえて前向きにスタートしたい」
CO⑤「そっか!その先で本当に望んでいることは何?」(大目的)
CL「妻も含めて、家族それぞれがやりたいことをやれて、幸せに暮らせていることです」
CO⑥「いいね!では今日はまず何について話したい?」(テーマ再設定)
CL「そうですね。子どものこれからについて妻とどんな風に話せたらいいか、考えてみたいです」

どうでしょうか。この程度のヒアリングなら1−2分で終わると思います

そして「モヤモヤをなんとかしたい」という自分の内側のテーマから「子どものこれからについて妻とどんな風に話せたらいいか考えたい」という家族コミュニケーションにテーマが再設定されていますね。

さらに、この短時間のやりとりでも、クライアントの感じている問題から、未来の希望までざっと理解することができたので、コーチもこれからしていくコーチングに見通しが持てますね。


確認の質問を加えてみる

今のプロセスに確認の質問を加えてみましょう

確認の質問についてはこちらの記事も役に立ちます


確認の質問


では、先程のプロセスに確認の質問を加えてみましょう。また違ったものになっていきますよ。

CO①「今日は何を相談したい?」(テーマ)
CL「最近気分がモヤモヤしてて、なんとかしたい」
CO「どういうこと?」(具体化)
CL「妻に対してなんだけど、どうしてああいう言い方するのかとか」
CO「あとは?」(網羅)
CL「なんて言ってあげたらよかったんだろう。。。かな」
CO「なんて言ってあげたら、っていうのは?」(具体化)
CL「妻が頑張ってくれているのはわかるんですけど、うまく伝えられない」
CO「どういうこと?」(具体化)
CL「自分も仕事でいっぱいいっぱいなので、雑な話し方になっちゃう」

CO②「そっか。何があったからそういうことを話そうと思った?」(背景)
CL「妻と子どものことで言い争いになり、それ以来ギクシャクしていて」
CO「言い争い?」(具体化)
CL「言い争いというか、もっと僕に関わってほしいということだと思うんですけど、こちらの状況も理解してもらえなくて」
CO「そっか。それで、ギクシャクというのは?」(具体化)
CL「なんか、妻もあまり話してくれないし、僕も言いたいことも言えなくて」
CO「言いたいこと?」(具体化)
CL「そうですね。毎日の情報共有とかもそうですけど。。。」
CO「あとは?」(網羅)
CL「奥さんへのねぎらいとか感謝とかも、本当は言えたらいいんですけど」
CO「けどなに?」(逆接)
CL「ちょっと向こうも拗ねてるのかな。話しにくいです」

CO③「なるほど。とはいえ、すでにできていることは何だろう?」(リソース)
CL「子どもの進学先は決まってるし、それはお互いに良いと思ってます」
CO「おめでとうございます!!他には?」(網羅)
CL「最低限のコミュニケーションは取ってます笑」
CO「いいね。あとはどうだろう?」(網羅)
CL「毎日ご飯は皆で食べてるし」
CO「うん」
CL「子どもは普段通りかな。そこまで揉めてる感を感じてないと思う」
CO「そっか。他はどうだろう?」(網羅)
CL「あ、今度の週末は出かけることになってるし、それはできると思います」


CO④「いいじゃない!本当はこの先どうなったらいいと思ってる?」(ゴール)
CL「春には家族として新しいスタートを切りたいですね」
CO「どういうこと?」(具体化)
CL「春から中学なので、息子も期待と不安があると思うので。そこまでの期間も楽しく過ごせて、うまく学校に馴染めたらいいと思います」
CO「奥さんとは?」(網羅のための視点転換)
CL「妻とは、なんでも話せて、お互いを信頼できる関係でいたいです」
CO「信頼できるって、どういうこと?」(具体化)
CL「お互いの努力を認めあえてることかな。あとは同じ目的に向かってる」
CO「同じ目的って?」(具体化)
CL「そうですね。。家族がみんなやりたいことやれてるし、お互いのことを大切に思えてること。。。ですね」
CO「いってみてどう?」(反芻)
CL「そうですね。僕もそうですけど、妻もそれを望んでいると思います」


CO⑤「そっか!いいね!その先で本当に望んでいることは何?」(大目的)

CL「やっぱりみんながやりたいことをやれてるってことですね」
CO「みんながやりたいこと。例えば?」(具体化)
CL「息子は、勉強も部活も楽しんでるし、妻も仕事を始めたり、趣味の活動をしたり」
CO「どんな風に?」(5W1Hによる具体化)
CL「楽しんでるといいですね。もともととても快活な人なので」
CO「あなたは?」(網羅のための視点転換)
CL「僕も仕事をもっと楽しめてるといいですね」
CO「もっと楽しめてる。。。」(具体化)
CL「息子もがんばってるし、がんばろう!みたいな」
CO「あとは何が起きていたらいい?」(網羅)
CL「そうですね。年に何回かはみんなで旅行とか行きたいですね」

CO⑥「いいね!では今日はまず何について話せたら良さそう?」(テーマ再設定)
CL「そうですね。将来どんな家族でありたいかを整理したいです」
CO「どうして?」(目的)
CL「それが決まったら、それを妻に話して、今後のこと相談します。。。まずはこれまでの感謝を伝えてからですけど笑」
CO「わかりました!では一緒にご家族の未来を考えましょう!!」
CL「お願いします!!」

どうだったでしょう。これくらい聴くと6−7分はかかるかな。相手がゆっくり喋る人だともう少しかかるかもしれません。

テーマ再設定の効果

でも当たり前ですが、得られる情報量が全然違うし、クライアントの意識もどんどん変化しているのがわかると思います。

60分のコーチングであれば、最初の10%の時間です。それでこれだけの情報が得られ、変化が起こるなら素晴らしいのではないでしょうか。

コーチングの冒頭で、自分の認知や感情に変化が得られると、クライアントのコーチングに対するモチベーションが上がります。そうなるとますますコーチングは効果が出るようになります。

素晴らしいことだらけなので、ぜひ練習してください。

そしてこれはコーチングのミニゲームでもあります。確認の質問を駆使しながら、テンポよく話題を切り替えていく練習になるので、短時間でのコーチングがうまくなります。そのつもりでぜひ何度も練習してください。

さらに、この6つの質問に1つ付け加えるだけで、ショートコーチングにしてしまうこともできます。どういうことかというと、この6つの質問が終わった段階で行動の質問をすれば良いのです

先程のやりとりの最後に戻ってみましょう

CO⑥「いいね!ではまず何について考えられたら良さそう?」
CL「そうですね。将来どんな家族でありたいかを整理したいです」
CO「どうして?」(目的)
CL「それが決まったら、それを妻に話して、今後のこと相談します。。。まずはこれまでの感謝を伝えてからですけど笑」
CO「わかりました!何をしたら、将来の家族像を整理することに役立ちますか」(行動
CL「えっと。整理したいのは、子どもにしてあげたいこと。家族でしたいこと。妻が仕事をどうしたいか。僕の今後のキャリア」
CO「まずは何から手をつけると良さそうですか?」(行動)
CL「来年家族でやりたいことかな。家族イベントと、あとは子どもの学校関連。奥さんの仕事関連」
CO「それがどうなればいいですか?」(結果)
CL「箇条書きレベルでもいいので、書き出しできて、妻の意見もきいて修正できると良さそうです」
CO「どうですか、そこから始めてみますか?」
CL「はい。やってみたいです」
CO「では、よかったら、やってみてどうだったか私にも教えてください」

このように、6つの質問+行動の質問で、コーチングを終える練習をすると、10分以内に効果的な行動を生み出せるコーチになりますよ!!ぜひ練習してみてください。


他の事例

最後にもう一本、別の事例を紹介しましょう

CO①「今日は何を相談したい?」(テーマ)
CL「最近よく眠れなくて困ってます」
CO「よく眠れない?」(具体化)
CL「緊張してるのかな、途中で起きちゃったりします」

CO②「そっか。何があったからそれを相談したいと思った?」(背景)
CL「仕事場でも疲れていて、ちょっとミスしたりすることがあったので」
CO「他にも困ったことある?」(網羅)
CL「うーん。疲れてて、子どもとあんまり遊んであげられてない」


CO③「なるほど。とはいえ、いまでもできていることは何?」(リソース)
CL「普通に仕事はできてるし、週末は子どもとも遊べてる」
CO「いいですね。あとは?」(網羅)
CL「最低限寝れてるし、健康に不安はないですね」


CO④「いいね。本当はどうなったらいい?」(ゴール)
CL「もっと元気な状態で仕事ができてたらいいですね」
CO「どういうこと?」(具体化)
CL「職場の仲間とも楽しく話せてたら、成果ももっと出ると思うので」
CO「いいですね!他には?」(網羅)
CL「子どもとももっと楽しく過ごしてたいですね」
CO「楽しく?」(具体化)
CL「夜寝る前とかも色々話聞けたり、幼稚園のこととか」


CO⑤「そっか!その先で本当に望んでいることは何?」(大目的)
CL「やっぱり仕事もっと楽しくやりたいですね。もっと良いチームを作って、どんどん成果を出して行きたいです」
CO「ご家族とは?」(網羅のための視点転換)
CL「毎日一緒に楽しくご飯を食べて、楽しく話せて。。。週末はみんなで出掛けて。。。そんな家族でいたいです」


CO⑥「いいね!では今日はまず何について話したい?」(テーマ再設定)
CL「話してる途中でちょっと気づいたことがあって。。。すごく自分で頑張らなきゃと気負ってたんですよね。だからどうやってチームのメンバーともっと楽しめるか。。。僕からも相談したりもしたいし」
CO「お互いに信頼して、気持ちよく頼りあえる関係でいたい」(反映)
CL「あー。そうですね。楽しいというのもありますが、気持ちよく相談したり頼ったりしたいですね」
CO「では、そのことについて話しましょうか」
CL「お願いします!」

いかがだったでしょうか。これだと2−3分くらいかな。

6つの質問も相手に合わせて、少し言い回しはアレンジしてあります。最後に出てきた反映というのは、こちらが感じ取ったことを言語化して伝えるスキルです。

ぜひぜひテーマ再設定を楽しんでくださいね!ではまた

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