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体験学習サイクルを使ったコーチング②

メタモデルの質問という発見

僕も20年近く学んでいるNLP。これは1970年代の卓越したセラピストをモデリングして作られたと言われてるんですけど、

最初に発見されたのがメタモデルってやつなんですよ。

すごくざっくり言うと、

他のセラピストと似たようなことをやってるのに、結果がでてる人が何をしているのか観察していたら

クライアントの言ってることに対して

・それってどういうこと?(具体化)
・どうしてそう言えるのかな?(根拠の確認)

とかの質問をしていた。ってことが発見されたんだよね。

で、このやり方を取り入れてみたら、他のセラピストも結果が出ました。だからみなさんも、この手の質問をしていないなら、ぜひ使ってみてほしいわけです。

とはいえ、これって別にNLPだけの話じゃなくて、ロジャーズ派の傾聴でも大切だと考えられていることなのです。

共感的理解って呼ばれていますが、相手の内側の世界を正確に言語化していくためには、

・それってどういうこと?
・◯◯って理解でいい?
・✕✕って言いたいように聴こえたけど。。。

とかの確認をしていく必要があるのです。

実はコーチングでもカウンセリングでも大切なのは、

相手が自分の内側で起こっていること正確に理解することなのです。別の言い方をすると、自分の内側にあって、まだうまく言葉になってないものを、できる限り正確に言葉にしてもらうことが大切なのです。

そのためには、コーチカウンセラーがわかった気にならない。

自分のイメージしている世界と相手のイメージしている世界が違うことを前提として、相手の持っているイメージを正確に知ろうとすることが大切なのです。

私事ですが、数年前に友達から

「熱海行こうよ」と誘われました

僕「熱海?」
彼「そう、熱海」
僕「熱海好きなの?」
彼「すごい良いんだよ」
僕「ふーん。。。」

みたいなやり取りがあったんですがお互いの脳内は

僕の脳内熱海


彼の脳内熱海

もう全然違うわけです(笑)

だから

僕「熱海の何が良いの?」
彼「結構最近いい宿ができててさ」
僕「へー。例えばどんな感じなの?」
彼「好きなのは◯◯って宿なんだけど。。。」
僕「うん。。。」
彼「部屋も良くてさ。結構広めの庭を見ながら部屋の露天風呂にはいれて」
僕「おー」
彼「そこで冷たいビールとか飲みながら、仕事してたりするとさ」
僕「(仕事するんかい!)」

みたいに、具体的な話を聴いてみないと分からないんだよね。

さらにここで僕が

僕「いいって言うけど、どういうことなの?」

とかきいてみるわけです。。。彼は

「うーん。。。。」

とかなるわけですよね。

この「うーん」が大切なのです。

こうやって自分の中を探索しているときに、彼の中にあってまだ言語化されていないものにアクセスしているわけなので。

そして、アクセスした結果として

「すごいリラックスできるからこそ、クリエイティブになれるんだよね。うん。シンプルだけど、行き届いた、センスのいい空間だからだね。。。」

とか、相手は「自分が言いたかったこと」を自分で理解するわけです。

このように、相手の話をわかったつもりにならず、内容を確認していく質問を僕は確認の質問と呼んでいます。こちらが確認の質問をするのは①こちらが相手の真意を理解するためでもありますが、②相手自身が自分の発言の真意を理解するためでもあります。

コーチングやカウンセリングでは、②の目的のために確認の質問を使うわけです

NLPのメタモデルの質問も確認の質問ですし、傾聴における共感的理解のための質問も確認の質問です


確認の質問をつかう

確認の質問にはどんなものがあるのでしょうか
まず基本は5W1Hですね

「熱海に行こうよ」

と言われたら、

いつ行くの?
・熱海のどこに行くの?
誰と行くの?
何をするの?
どのように熱海に行くの/何をするの?
どうして熱海に行くの?

これらの質問でも相手の考えていることの理解はすすんできますね

相手の言っていることの理解をすすめたいなら、簡単な質問があります

・どういうこと?
・◯◯っていうのは?
・例えば?
・具体的には?

のような、話していることに関しての説明を促す質問です。僕は具体化の質問と呼んでいます

「熱海に行こうって、どういうこと?
「熱海に行こうっていうのは?
「熱海に行こうって、例えば(なんのこと)
「熱海に行こうって、具体的には?

のように質問すれば、相手は、言いたかったことをさらに追加していくことになります。

そして、相手の話がある程度でてきたところで、使うと良いのが

・他には?
・あとは?
・全部言えた?

など、相手に考えを出し尽くしてもらうための質問です。網羅の質問と呼んでいます。

ここまで出したものが確認の質問の基本になりますが、コーチが練習すると役立つものとして、他にもいくつか提案しています

確認の質問10選

これらは、僕や僕の先生など、日本で活躍しているコーチのコーチングを分析して抽出した質問でもあります。

これらの質問を駆使すると

相手の話を
・深め
・広げ
・進め
・役に立つ部分に光をあて
・使いやすいように整理する

ことができるようになります。

上から順番に練習して、段々慣れていくとよいと思います。ぜひ自分に他人に使いながら、効果を実感していってください


コーチングの質問と組み合わせる

で、本題に入ります。前回の記事で紹介した体験学習サイクルの質問と確認の質問を組み合わせてみてほしいのです。

体験学習サイクルの質問


これがアドラー心理学をベースとしたコーチングの基本形ですから、ここに確認の質問を組み合わせるのです。まずは5W1H具体化網羅だけで練習してみましょう。

僕「◯◯さんはどうなりたいの?」(目的)
相手「コーチになりたいです!」
僕「そうなんだ。コーチっていうのは?」(確認・具体化)
相手「会社で、チームメンバーにコーチングで関わりたくて」
僕「コーチングで関わるっていうのは?」(確認・具体化)
相手「指示ばかりしてきたので、みんなに考えてほしくて」
僕「考えて欲しいんだね。何を?(確認・5W1H)
相手「何についても、ですが。。。仕事の改善案ですね」
僕「他には?」(確認・網羅)
相手「とにかく試してもらいたいです」
僕「どういうこと?」(確認・具体化)
相手「思いついたアイデアを口にしたり実行したりしてほしい」
僕「例えば?」(確認・具体化)
相手「最近使い始めた業務システムの活用法とか」
僕「だとするとどんなことをしてみると良さそう?」(行動)
相手「使い勝手どう?ってきくとか」
僕「他には?」
相手「ホントはどんなことができると良さそう?とか」
僕「いいね。他には?」(確認・網羅)
相手「困ってること教えて?ってきいてから、どうしたらいいと思う?とか」
僕「なるほど。では改めて、どんな関わりができると良さそう?」(行動)
相手「そうですね。気軽な雰囲気で、使ってみてどう?もっとどう使えたら良さそう?とかきいてみたいです」
僕「きいたらどうなりそうですか?」(予測)
相手「いくつかアイデアくれると思うし。。。」
僕「うん。。。。あとは」(網羅)
相手「僕も気軽に聴きやすくなって、今後も色々な話に継がりそうです」
僕「では、何から始めてみたいですか?」
相手「このあとA君と話すことになってるので、そこできいてみます」
僕「よかったら、どうなったか教えてくださいね」
相手「はい」

いかがだったでしょう。簡単ですね。とはいえ、コーチング的な会話に慣れていない人からすると、思ったより、確認の質問を繰り返している印象だったのではと思います。

具体的なイメージが持てるから、自分でも納得できるし、行動に移せるのです。そのためには、目的も行動も具体的にしていくことがいいのです。

そして、人間は、全てを網羅して話せているわけではありません。見落としだらけなのです。だから「他には?」「あとは?」など網羅の質問をしてあげてください。


コーチングの基本発想


コーチングコミュニケーションの基本に

発散⇒収束

があります。たくさん出してから、絞り込むのです。量から質をつくるわけです。

他にもまずは覚えて置きたい基本として

・未来(目的)⇒現在(行動)
・抽象⇒具体⇒抽象
・自分⇒相手⇒自分

もあります。

未来の目的から、現在の行動を考えるのは、わかりやすいですね。バックキャストと呼ばれることもありますが、未来から(目的から)現在を見て、必要な行動を決めるのです。そうするからこそ、理想の未来に近づくことができます。

残念ながら多くの人は、現状からの発想(もしくは過去の発想)で行動をしていることがありますので、未来視点(目的視点)に切り替えるだけでも、行動が変わり、結果が変わります

次に抽象と具体です

さきほどの例では「コーチになりたい」という抽象を具体化しました。

コーチになりたい
チームメンバーにコーチングしたい
改善アイデアを出してもらえるように関わりたい

このように具体化していくと、自分が何を求めているのか、具体的になりますね。

そして、そこから抽象化すると、また面白いことがおきます

「結局どんな存在になりたいの?」

などと質問してあげると

「みんなのやる気とアイデアを引き出すリーダーになりたい」

と新しいアイデンティティが出てきたりするわけです。これは単に「コーチになりたい」というよりも、本人の望みを的確に表現していますし、

「みんなのやる気とアイデアを引き出すリーダーになりたい」と言葉にできたら、具体的な行動のイメージもどんどん広がっていきますね。

そして自分⇒相手⇒自分ですね。

コーチングはまず、自分(クライアント)視点から始めます

何をしたい?→使ってみてどうかききたい→きいたらどうなりそう?→いろいろ答えてくれそう

自分から相手に視点が切り替わったのわかりますか?

まずは自分がやりたいことから発想して、それを相手の立場から考えて、よりうまくいくようにまた自分視点で考え直すのです。

そのようにするからこそ、自分らしく、周りと協力して結果を出せるようになるのです。

ぜひ、これらの基本を理解しつつ、体験学習サイクルの質問と確認の質問でコーチングを始めてみてください

続く

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