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会うための三つの方法

私は明るくて穏やかで優しくて笑顔がかわいくて
不器用だけど一所懸命な女の子が好きだ。

 
そう強く感じたきっかけは
前の職場に
そういう利用者がいたから。

その利用者Aさんとはとても仲が良かった。

 
 
転職先でも私が惹かれたのは
やっぱりそういう利用者で
私はその利用者Bさんとも気が合った。
仲良くやっている。

 
AさんとBさんは顔は全く似ていないし
年齢も身長も違う。

何もかもが似ている訳ではないが
勝手に浮気しているような気分になることがある。

 
ごめん、と。
ごめんなさい、と。
何度だって思う。
退職してごめんなさい。
担当から外れてごめんなさい。
今Bさんと仲良くしてごめんなさい。

ヤキモチ焼きだった彼女は
今の私を見て何を思うだろう。

 
大好きで大好きで大好きだったAさん。

 
今、彼女が私をどう思っているかは分からないし
もう二年以上会っていないけれど
私は未だにAさんが大切な存在だ。

 
先日
Bさんはいつも、髪をほどいているが
ある日二つ結びにしてきた。

「ねぇねぇ、かわいい?」

そう聞きながら
私の腕を掴み、ニコッと笑う。

 
「かわいいね。」

その言葉は本心だったが
私は嫌でもあの日が浮かぶ。

 
 
あの日…
あの日はもう、五年以上前の春の日のことだ。

 
私がまだ前の職場にいた頃。
私は二つ結びに、Aさんは髪をポニーテールにしばっていた。

「Aもともかさんみたいに二つ結びにすれば?」

Aさんの母親がお花見の前日にそんな風に話していたが
Aさんはこだわりが強いし
きっと髪型は変えないと思っていた。

 
だけど翌日の花見の日
Aさんは二つ結びにしてきた。

「ともかさんと同じですよ♪」

それはもう…それはもう、かわいかった。

 
「お揃い記念で写真撮ろうよ、写真!」

私はAさんと写真を撮ってもらった。
二人ともとびきりの笑顔で
その写真はまるで
親子のような姉妹のようなそっくりさで
私の宝物だった。
そこには幸せしかなかった。

 
私はその写真を封筒に入れ
毎日手帳に入れて持ち歩いた。
たまにその写真を見返しては再び幸せになった。

 
転職した今もまだ
その写真は手帳に挟んである。

 
だけど怖くて見れない。
見たらきっと泣いてしまうから。

 
目の前でBさんが笑う。
幸せそうに笑う。

そして私の隣に座った。
色々な話を笑いながらしたけれど
油断すると泣きそうになった。

 
今の職場は大切だけど
前の職場も大切で
みんなに会いたくて会いたくてたまらないんだ。

いつになったらコロナは落ち着くのだろう?
会いに行きたいのに
今のままじゃ会う手段が限られている。

 
 
Aさんは某芸能人が好きで
かつて私と毎日こんな会話を話していた。

「〇〇に会いたい。」

『会えたらいいねぇ。』

「どうやったら会えるんですか?」

『会うためには三つの方法がある。一つ目は約束、二つ目は偶然、三つ目は夢の中。』

「偶然がいい!偶然会いたい!」

『もし偶然会ったら、その時私が隣にいたら、図々しくなるよ。』

「図々しくなるの?」

『サインや写真頼んであげる。』

「偶然会える時はともかさんも一緒がいいなぁ~!」

『夢、叶えてあげたいなぁ。』

 
…先日、Aさんの夢を見た。
再会する夢を見た。

私にはもう
夢の中で会うことしか許されない。

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