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初めて絵を描いた日

今年利用者になったAさんは耳が不自由で
知的障害もあり
理解度が低かった。

 
「えをかいて」

と伝えても

「えをかいて」

と紙に書いてしまう。

 
絵を描く時間帯
周りが絵を描いていても
自分の好きな食べ物や人名を書き続けた。

 
そんなことが半年続いた。

 
 
先日
レザーキーホルダーをみんなで作った。
その際
初めてレザーにAさんは人物画を描いた。
何故かは分からない。
紙じゃなくてレザーだからだろうか。
半年経ってようやく理解したのかもしれない。

 
その時担当した同僚はAさんが絵を持ち帰ってからそのエピソードを教えてくれ
私は悔しかった。
Aさんの絵を見たかった。

 
次はいつ描くか分からない。
もう描かないかも分からない。

 
その日はみんなでミシンを使ってキーホルダーを作った。
利用者はミシンを使った経験が乏しいだろうし
いい経験だと思った。

 
 
それから一週間後のレクリエーションの時間に
Aさんは犬の絵を描いた。
それが私が初めて見たA三の絵だった。
予想以上に上手に描けていた。
これが今まで絵をかけなかった人なのか。

 
それからAさんは利用者や職員の絵を描き始めた。

驚いたことに特徴を掴み
表情や体型、髪型を変えて描いていた。
リーダーは優しげな顔だった。

 
一方私はというと
目が細かった(笑)
なるほど、特徴を掴めている。

 
これだからこの仕事はやりがいがある。

 
半年経ってできた瞬間に立ち会えた時
たまらなく嬉しいから。

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