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お風呂が好きだが、大人になるとシャワー浴中心となった

お風呂が好きである。

熱めのお風呂に入るのが好きだ。
一日学校や仕事やお出掛けで疲れた後に
ザブーンとつかるお風呂は最高だ。
日本人に生まれてよかったと感じる瞬間だ。 
 
 
我が家のお風呂は三畳くらいあった。
自宅のお風呂にしては広い方だったと思う。
タイルは水色で、湯船はシルバーだった。

 
 
お風呂には色々な物を入れた。
  
田植えの前には毎年種籾を入れた。
みんながお風呂に入っていない時間帯である。

私が子どもの頃は
スーパーボールをひたすらに入れた。湯船に浮かべた。
当時駄菓子屋でスーパーボールのクジがあったのでハマっていたし
夏祭りでは出店でスーパーボール掬いをよくやっていた。

だから、様々な形の様々な色のスーパーボールを
軽く100個くらいは持っていた。

 
お風呂に入った瞬間に湯船にスーパーボールを浮かべ
その中に自分もつかるのは
日常の中の非日常的な感じがしてワクワクした。

 
 
水鉄砲もよく入れて遊んだが
リカちゃん人形ともよくお風呂に入った。

リカちゃん人形をおけの中に入れ、湯船に見立て
「リカちゃんもサッパリした?」なんて話しかけながら
体や髪を洗ったりするのだ。

おままごとの典型だ。
リカちゃん人形をお風呂に入れた後に
リカちゃん人形の体を押すと
腕や足の接合部分から水が出たり、泡が出る。

人形の構造について知り、考える瞬間である。

 
 
父親とお風呂に入らなくなるのが、お風呂における第一次成長なら
お風呂にオモチャを持ち込まないのが第二次成長だと思う。
第三次成長は、家族と異なるシャンプー類を買いだした時だ。

 
私が高校生くらいの頃、果物の香りがするシャンプーをあややがCMでアピールしていた気がする。
あややとは、松浦亜弥である。

当時、ギャルや女子のカリスマは浜崎あゆみだったが
アイドル中のアイドルは松浦亜弥だった。

 
あややがかわいらしい衣装で「セクシーなの?キュートなの?どっちがタイプよ?」と歌うのだ。

確かに、好きな人はどっちが好きなんだろう?

いっちょ前に色気づくのが女子高生だ。
とりあえずはあややのCMのシャンプーを使ってみた。
桃かサクランボかイチゴの香りだった気がする。
メリットではなく
あややのシャンプーを使った時
私は自分が女子としてレベルが上がった気がした。

髪からはいい匂いがした。
もちろん、これくらいでは恋には何も繋がらない。

 
そのうち、ボディーソープはイチゴの香りを使ったりました。
漫画「Paradise Kiss」の影響だ。
ヒロインの友達がイチゴのボディーソープを使っているのだ。
やはり、女子力が上がった気がする。

 
幼い頃はバブを入れるのが好きだった。
シュワシュワと溶けていく様子がたまらない。
●●の湯、とか渋いものもたくさんいれていたが
女子高生以上になると
泡風呂とかバラの湯とかバブルバスとか
色々なものをプレゼントでもらい、入れるようになる。
色気づいたお年頃だ。

 
ちょうど、「ジュエルクエスト」というバスジュエルで変身する少女漫画を持っていたので
ヒロインになりきっていたところもある。
お年頃というより、オタク街道だ。

 
 
中学生までは恥じらいがあって、同級生とお風呂に入るのが恥ずかしくて、体をタオルで隠して、おどおどしながらお風呂に入っていた。
だが、高校生以上になると、先陣を切ってお風呂に入る男前になった。
どうせ同じ乳がついているのだし、何を恥じらうのだ、と。
恥じらう時間が勿体ない。
恥じらうくらいなら、その時間分入念に体や髪を洗い、湯船につかるべきだ。

 
隠すからいやらしいのだ。
悪いことをしていないなら堂々とすべし。

 
それは私のモットーである。
中学生までは精神論で考えていたが、高校生になると心身共通事項となった。
進化か退化かは謎だ。

 
 
ちょうど私が高校生~大学生の頃は父親がお風呂や温泉ブームで
しょっちゅう銭湯や温泉に家族で行っていた。
肌はツルツルになるし、体はポカポカあたたかいし、お風呂の後のコーヒー牛乳は最高だし
私は私で外のお風呂が好きだった。

年齢=彼氏がいない歴の私は
こうして彼氏に体を見せる前に
ジャンジャン赤の他人に体を見せていたのだから笑えてくる。

 
まぁ未だに混浴温泉は未体験だが。

 

22歳の頃、ボランティアで某福祉施設に行っていた。
そこは全国的にも珍しい、福祉施設とホテルが併設している場所で
利用者はベッドメーキングをしたり、喫茶店のウェイトレスをしたり、花を育てて売るという作業をしていた。

ボランティア後はいつもそのホテルの温泉に入った。
高校時代から家族としょっちゅう外の温泉やお風呂に入っていたので
おひとり様お温泉や風呂に入るのに抵抗はなかった。 

今ではボランティアよりも、温泉の記憶の方が残っている。
私は温泉目当てにボランティアに行っていたのかもしれない。

 
 
20代になり、彼氏ができてから
彼氏と初めてお風呂に入った。

さすがに彼氏とお風呂は恥じらいが最初あったが 
逆に彼氏こそが私の今の裸を一番知って見ている人だと思うと
恥じらいが段々バカバカしくなった。

 
福祉職だった私は仕事柄
他者とのお風呂に慣れてもいた。
体を洗うことも抵抗はなかった。

 
私は彼氏とお風呂に入ることが好きだった。

一緒にお風呂に入り
お互いの体や髪を洗い合い
その日何があったかを湯船で話し合うのだ。

 
家族と美容関係の人以外で
私の体や髪を洗ったのは彼氏が初めてだった。
彼氏に洗ってもらうのは
コミュニケーションでもあり
癒しでもあった。

 
私が付き合う人は優しくマメな人が多く
私を洗うことに抵抗はなかった。
大切に丁寧に洗ってくれた。

「俺の体を洗ってよ。」

なんて上から目線はない。
お互いに話しながらお互いを慈しみ合う。
その時間が、私は好きだった。

 
 
 
彼氏とお風呂に入ってビックリしたのが
体を洗う時にボディタオルを使わないことだった。
我が家はボディタオルをずっと使っていた。

 
「手や顔を洗う時はボディタオルを使わないでしょ?かえって、ボディタオルでゴシゴシするのは肌を傷つけちゃうこともあるんだよ。」

 
なるほど、一理あるなと思った。
手で体を洗うと滑らかで優しい。

 
彼氏に影響を受け、私はボディタオルを使うのをやめた。
私の影響を受け、家族もボディタオルを使うのをやめた。

影響とは、凄まじい。

  
その人と別れてからもなお、ボディタオルを使わない習慣が私には残った。

 
 
 
 
お風呂大好き人間の私に事件が起きたのは2010年である。

我が家は2010年に引っ越しをした。
新しいお風呂は白を基調としていて今風である。
湯船も広い。
シャワーも実用的だし、風呂自動もついていて
前のお風呂場よりもパワーアップしている。

 
ルンルン気分でお風呂に入った。
入ったら、手足が赤くなり、痒みが止まらなくなった。

母親も同様であり、父には何もなかった。

 
引っ越したことが原因だろうか?
私や母の痒み問題は連日続いた。
これではとてもじゃないが、お風呂に入れない。

 
 
引っ越しを機に、我が家はシャワー浴に切り替えられた。
ガッテム。
せっかく引っ越したのに、湯船に入れないとはなんたることだ。

湯船につかりたい時は銭湯や温泉に行った。
外部では反応は出なかった。

 
 
我が家のシャワーでも反応はしなかった。
でも、何度お風呂を試しても、5分くらいで反応してしまった。
全くもって、計算違いだ。

 
引っ越しをしてから三ヶ月以上経ってから、湯船につかっても反応はしなくなってきた。
母親は一ヶ月ですんだから
私の方が敏感肌だったようだ。
父親や姉は鈍感肌だ。全く反応しない。くぅ、羨ましい。

 
 
だが、今まで毎日お風呂生活が当たり前だったのに
予期せずシャワー浴生活に切り替わり
「シャワー浴も悪くないね。」という風に我が家は変わってしまった。

昔は外国人がシャワー浴なんて信じられないと思っていたが
大人になり、シャワー浴はシャワー浴でありだと思った。

 
 
その理由が、掃除である。

新居に引っ越してから、掃除は入念にやるようになった。
前の家は築年数もかなり経っていたので雑に使っても大丈夫だったが
引っ越しを機に、我が家は画鋲禁止になった。
壁に穴を開けたくなくなったのだ。
引っ越しを機に、室内で壁掛けカレンダーは激減した。

私はコルクボードを購入し
それまでは壁に飾っていたポストカード類を
コルクボードに画鋲で飾りつけた。

 

壁でさえそのレベルなのだから
お風呂掃除も徹底した。
水場はカビがはえやすいし、キュッキュッキュッキュッと小まめに掃除をした。

 
昔の家よりお風呂掃除は手間と時間がかかる。

そして昔とは異なり
私も家族も年老いたから
何をやるにも時間がかかるようになるし
家族みんなが働いていた。

お風呂は基本的に夜に入るし
入ってから掃除の手間を考えると
シャワー浴でいいやと思うようになった。

 
 
だから今は、シャワー浴が中心である。

冬場など寒い時はお風呂を沸かすし
姉や甥っ子が泊まりに来た日もお風呂を沸かす。 

今でも誰かと、もしくは一人でフラッと銭湯や温泉に行ってもいるが
年間を通したらシャワー浴の方が多い生活になって、10年が経った。  

今でもお風呂は好きだし
その気持ちは変わらないが
引っ越した故、そして年齢による変化とも言える。

 
 
 
 
高校時代の友達と、お風呂に入ることを「しずかちゃんタイム」と言っていた。
元ネタはドラえもんである。

しずかちゃんといったらお風呂だし
お風呂といったらしずかちゃんだ。

「しずかちゃんタイム終わったら、電話しない?」なんてメールを送り合っていた。

 
そんな風に言い合っていた時代が遥か遠くに感じる。

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