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父親からのサプライズプレゼント

仕事から帰ると、大きな包み紙が置いてあった。

「父より」

手書きで紙が貼られていた。

 
包み紙を開けると
額縁に入った大きな写真が入っていた。

先日新聞に載った、創立記念日の写真を引き伸ばしたものだった。

 
あまりに立派な写真と額縁で笑ってしまった。
これは一職員が家に飾るレベルではなく
施設に飾るレベルだ。

 
きっと前の職場なら、新聞に載ったり、創立記念式典の大きな行事なら
こうして写真を部屋に飾ったろうに

どうしてうちの職場は行事写真を飾らないのだろう。

 
新聞に載ったのなら
玄関なり壁なり、大きく飾ったらいいのに。
見学者にも見てもらえるし
利用者や職員や保護者にも励みになるのに。

 
 
額縁もふくめて一体いくらしたのだろうか。
父からの気持ちが嬉しかった。

写真は居間に飾られた。

 
 
私は苦笑する。

前の職場で勤続10年を祝われ、賞状をもらい
それが同じ部屋に飾ってある。

賞状をもらって誇り高い気持ちになったけど
賞状をもらってからほどなくして退職することになった。

  
写真を額縁に入れて飾ったら、今度は今の職場を転職することになるのではないか。
そんな気がしてしまった。

 
確かに創立記念式典の頃は希望を感じたけれど
リーダーはいなくなるし
私も施設も
これからどうなるかなんて誰にも分からない。

 
写真の中のみんなはキラキラと輝いて笑っている。

リーダーの退職を知らず
みんなで夢を見たり、叶えたあの頃。

 
 
お父さんの優しさや思いが申し訳ない。

本当ならば、司会姿の私の写真ではなく、結婚式の写真の1枚でも居間に飾れたらよかったのに。

せめて信念を持って真っ直ぐに仕事に向き合えたらよかったのに。

 
立派な娘だったらよかったのに。

 
 
これからどうなるかなんて誰にも分からない。
自分の人生なのに。




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