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日帰り旅行に思う

先日
巾着田曼珠沙華公園とムーミンバレーパークに行った。
バスツアーだった。

 
バスツアーといえば
私は前の職場を思い出す。

 
前の職場では
毎年バスで日帰り旅行や泊まりの旅行をしていた。
私はその旅行を企画したり、バスガイドの役割をした。

 
人手不足でやがて泊まりの旅行に行けなくなり
県外旅行にも行けなくなり
私が働いた最後の年は県内旅行が精一杯だった。

 
旅行中、色々あったけど
それでも
「来年もまた皆さんと旅行できたらいいなと思います。」の言葉は
嘘じゃなかった。

 
まさかその次の年はコロナが流行り
私は私で退職するとは思わなかった。

 
無念、である。

 
「また来年も旅行行こうね。」という約束を果たせず
宙ぶらりんなままだ。

 
バスに乗ると嫌でも思い出してしまう。

私はいつも一番前の席に乗り
隣は車椅子の利用者や私を慕ってくれた利用者だった。

 
あんなにそばにいたのに
今はこんなにも、こんなにも遠い。

 
巾着田曼珠沙華公園で曼珠沙華を見れば
前の職場を思い出す。

 
前の職場の近くには曼珠沙華がたくさん咲いていて
送迎車に乗りながら利用者と眺めた。

 
ムーミンバレーパークに行けば
やはり前の職場を思い出す。

オープンが話題になっていた頃
同僚と、「次の日帰り旅行はここがいいですね。」なんて話した。

 
実際は障害者の手帳割引はないし
なかなかに遠いし
人手不足が重なって
県外旅行には行けなくなったわけだが。

 
隣に利用者がいたら
私がまだあそこで働けたなら。

 
もっと一緒にいたかった。
一緒に年を重ねたかった。

 
どんな理由であれ
退職届を出したのは私だ。
だから
今あそこにいられないのは私のせいなんだ。

 
そう思うと
今すぐにでも消えたくなる。

 
転職先で新しい仕事を覚えたり
新しい人と出会っても
私の心の穴は完全には塞がない。

前の職場以上に夢中になることは
多分これからもないだろう。

 
それでも転職先で頑張るしか私に道はない。

今更戻れないし
行き場はないのだから。

 
全てやりきって
心から納得した上で退職したかった。

いや違う。

まだ隣にいたかった。

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