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入院62日目:一部のイチゴ

日曜日の朝は大量にお米を炊いてストックを作る。
その合間に卵焼きやおかずを作るのが、最近の習慣になっている。

それが終わったら買い出しだ。日曜日午前中は某スーパーで買い物をしたら卵やかつお節がもらえる。

買い物かごや段ボールに自分で詰める際、キレイにおさまると達成感がある。

 
 
朝、父親がいちごを畑で摘んできた。
毎年母は毎日せっせかイチゴを摘んできて、生で食べたり、食べきれない分はジャムにしていた。
今年は母がいないため、私や父は摘みに行けていなかった。

父は段ボール一杯分のイチゴを摘んできた。あまりの量に唖然とする。

 
私「こんなにイチゴがあったらジャムにしなきゃ食べられない!ジャム作り、地味に手間なんだけど。私にも予定があるんだけど。」

父「食べきれなきゃ捨てればいいだろう。」

そんな会話をしながら、慌てて瓶を探し、砂糖をつけてしばらく寝かせるべく準備をしようとしたら、へた取りの段階でイチゴがほとんど廃棄にあたるレベルだった。

 
これもダメ。あれもダメ。
段ボール一杯分のイチゴが疎ましい。
こんな痛んでるの、最初から摘んでくるな。こんな判別さえできないのか。これだからアテにならない。分別の手間という余計な仕事を増やしてくれた。
父の老化具合にため息が出る。

 
結果論では、ほとんどのイチゴを捨てることになり、ジャムにしなくても大丈夫そうな量にまで減った。

 
お母さんが見たら嘆くだろう。
今年の春は畑のイチゴも裏山のタケノコも捨てることになった。

週5仕事に行きながらイチゴやタケノコをとり、料理をしていた母は実に偉大だった。

 
私と父だけじゃダメだ。
ぼんくらな父と娘だと痛感した。

 
 
昨夜、トヨタが手だけで運転できる車を発表した。
実用化に向けて頑張っているようだ。

現在、車椅子の方や身体障害者が運転している車はその人の状態に合わせて改造しているもので、一部補助金が出るとは言え、自費で改造せざるを得ない。

 
お母さんは自分で運転をしたいという希望があるが、もう普通車の運転はできない。
脳に衰えがなく、気持ちが元気な分、60代で車運転ができなくなるのは不憫だ。
まして我が県は車社会だ。
介護タクシーや地域タクシーもあるにはあるが、自分で好きな時に車で行けないのは不便でもある。

 
今は父が午後から勤務だから、退院後父と午前中なら出掛けられるし
父も秋に仕事を辞めるか考えているため、退職したら二人で出掛けられるといえば出掛けられるが
父には父の都合があるし
やはり自分で運転できたら違うだろう。

 
ただ、今の母の状態では、運転どころか玄関から一人で出入りさえできない。
玄関には段差があるし、母の歩行訓練を見た限りでは足の上がりが悪いし、地面に足もしっかりつけていない。

運転の前に、玄関を一人で出入りできるかの方が私にとっては重要ポイントだと思う。
玄関さえ一人で出入りできたら、少なくとも自分のペース(車椅子)で近くのコンビニや商店、病院、美容院等には行けるのだ。

 
お母さんにトヨタの件を伝えると、「夢が膨らむね。」と返事が来た。
また、朝排便があったことや今日1回目のリハビリが終わったことも書いてあった。

排便の件はLINEでも口頭でもよく報告がある。
もともと便秘気味ではあるが、脊髄梗塞の点から排便は以前より難易度が上がったようだ。
だからこそ、マメに報告があるのだろう。

 
トヨタの件はまだ発売には至っていないし
車を福祉仕様に改造は身体障害者手帳がないとできない。
お母さんの体の状態も最終段階でどこまでよくなるか分からないし
まだ退院もしていないから、車の件は動けない。

 
 
日曜日夜はおかずをたくさん作る。
お弁当用とお父さんの次の日の朝やお昼ご飯用だ。

二人用ご飯の量ではない。
だが、農家のご飯あるあるなのだ。

農家は一人一人に定食のようにご飯を作らず
どーんとおかず皿をたくさん用意し、セルフでとれるようにしがちだ。

平日は仕事後にできる料理は限られているし、料理は大抵何日かもつから、繰り越しを考えていつも多めに作る。

 
私はランチョンマットに一人一人のご飯が用意されるのは給食ならではで
ドラマやアニメはフィクションだからだとずっと思っていたが
アラサーになり、あぁうちが農家だからこのスタイルなんだと悟った。

そもそもうちはかつて、祖父母用ご飯・おかずと両親用+子ども二人でご飯・おかずを分けていた。
場合によっては祖父母用・両親用・子ども用で分けていた。
食卓にはズラッとおかずが並ぶのは当たり前の光景だった。

  

 
かぼちゃ、おいしく煮えてよかった。

  

 
豆腐のベーコン巻き、初めて作ったけどおいしかった。
お父さんにも大好評だった。
また作ろう。

 
 
タケノコは今年全て捨てたし
イチゴは一部しか食べられそうにないけど
ネギとニラは毎週せっせと料理している。

 
 
お父さんから食後、そばのリクエストがあった。

私は一週間に一回しか買い物に行けないし、一週間分の献立を考えて買い物に行っている。
どうせなら今日買い物前に言ってほしかった。

 
「流水麺なら簡単だし、たまには食べたいな。」

…簡単というなら、お父さんが自分で買ってきて作ってくれてもいいんだが。
 
と、心の中で悪態を吐く。

 
でも 
下手にお父さんに作らせると台所が汚れっぱなしで掃除や洗いがやり直しになって面倒くさい。
掃除とかも、やってくれるのはありがたいが雑で、こっそりやり直している。

余計なことは言わない。
お父さんなりに頑張っているのだし、確かに流水麺は楽だ。難しい料理のリクエストではないし、私の作る拙い料理をおいしい、おいしいと食べているのだから。

 
次に買い物に行く時はそばを買うか。


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