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木曜日と金曜日の気持ち

木曜日
私は憂鬱な気分になった。

任されている下請け作業の準備や検品、箱詰めが終わらないからだ。

 
一日につき
準備に30分以上かかり
検品や箱詰めに一時間以上かかる。

毎日利用者と半日その作業をしている為
夕方にはまた一からやらなければいけない。

 
私の仕事はこれだけではないし
他の仕事がどんどんたまっていった。

 
納品にはまだ時間があるが
他の仕事の兼ね合いを考えると
今週いっぱいで終わりにしたいという話を内部ではしていた。

でも、終わらない。

 
施設長にまだ終わらなさそうなことを伝えたが
「大丈夫そうね。」と言われた。
どうやら話を聞いていないらしい。

 
私は憂鬱な気分になった。

やってもやってもキリがなかった。
残業しない職場で連日残業しているが
なかなか終わらない。

 
金曜日、残業しないとな…

でも
残業しても終わらない……

 
木曜日は帰ってからも
気持ちがモヤモヤした。

 
 
金曜日。
私は朝からセカセカと検品をしていた。

 
すると
リーダーが言った。

「今日で終わりそうですか?」

私は残数を伝えた。
リーダーは昨日休みの為
施設長に言われた言葉や対応を知らなかった。

 
「まだまだじゃないですか。」

 
そしてリーダーは言った。

「朝の送迎は変わるから、引き続き検品してください。これをまず終わらせないとね。」

 
リーダーが、神様に見えた。

 
送迎だけでなく、別の仕事も他の職員に振り分けてくれた。

 
ありがたい…
ありがたい………
と、朝検品をしていると
新人さんの同僚がやってきて
「手伝いますよ。」
と、言ってくれた。

 
新人さんが、女神に見えた。

 
二人でやると早い。

終わらないと思っていた検品や箱詰めが
なんとか朝一で終わった。

 
検品をしつつ、新人さんと話をした。

「この職場はすごい人ばかりで、自分は浮いてないかな?って気になっちゃいます。私は特に得意なこともないですし。」

 
新人さんは私から見たらテキパキと動く。

福祉歴10年以上で介護福祉士や管理者の資格も持ってるし
私から見たら馴染んでいるように見えた。

 
私よりも馴染んでいて
私よりも器用で色々できるように見えた。

そして私よりも、施設長と上手くいっているようにも見えた。

 
施設長にダメ出しをされ、施設長が苦手な私にとっては、羨ましかった。

 
私も新人さんと気持ちは似ていた。

私は手先が器用ではないし、周りと比べるとできないことだらけだ。
ダメ出しもされる。
周りがわいわい話していても、入れずに黙々と仕事をしていることだってある。

今の職場でまだ自分を出し切れていなかった。

 
「真咲さんは色々できますよ。」

新人さんは言う。

 
「事務に下請けに、毎日毎日忙しそうですよ。」

 
…あぁどうか私のちっぽけな長所や力や思いが
この職場で役立てばいいのに。

 
だって私はもう帰る場所がない。
元の職場には戻れない。

ここでやるしかないんだよ。 
 
 
 
日中、利用者と作業をし
また準備や検品や箱詰めがドッと増えた。

「私、やっておきますよ。」

新人さんが言う。
私が送迎中にサービス残業をして
私の想像以上に手伝ってくれた。

 
「僕らも手伝いますよ。」

リーダーが、周りの正職員に声をかけてくれた。
夕方は施設長がいなかった。

 
おかげで
予定以上に今日は進み
みんなで定時で上がれた。

 
「さぁ、みんなで帰ろう。」

正職員のみんなと駐車場まで歩く。
私はいつも正職員のみんなと帰る時は
リーダーの隣を歩く。

リーダーと話す。
リーダーが笑う。

 
そんな金曜日の帰り道だった。
心があたたかい。

 
 
みんなのお陰で楽しい金曜日の夜と土日が過ごせそうだ。

ありがとう。
本当にありがとう。

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