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1年間走り続けて気づいた、「作りたかったのは"遊び"だった」っていう話。

この1年とちょっと、
クラウドファンディングから始まり、
思えばいろんなことがあった。

飲食店も、ホステルも、シェアハウスもやったことがなかったのに、全部やってみたら絶対面白くない?という勢いで始まり、

気づけば、4階建てのビルを丸ごと借りて、
バーとホステルとシェアハウスという未経験の業態を立ち上げて、毎月何十万とかかる固定費を賄い続けるために、ヒィヒィいいながら必死にもがき続けて、はや一年が経っていた。

ベストだったかはわからないけど、
一個ずつ壁にぶつかっては、
その時考えうるベストを目指して動いてきた。

まだまだだけど、そうやって積み上げて
一年間走り続けてこれたことは、
自分にとって大きな財産になっている。

この場を借りて。
一緒に作り上げてくれたみんな、ありがとうね。

これは、1年とちょっと、
がむしゃらに動き続けてパニックだった自分の頭を棚卸しするとともに、改めて気づいたやりたいことを言語化するための散文的備忘録。
※いつにも増して硬めの文章です
※今後Tug-Bをどうするという具体の部分だけつまみ食いしたい方は、目次より、【改めて】Tug-Bのこれからのパートからご覧ください。

ガハハな写真。お気に入り。

歌原 大悟(うたはら だいご)
2018年小樽商科大学に入学、その後2020年に合同会社PoRtaruを立ち上げて地域と学生を繋ぐサービスを始める。その後2021年にTug-Bを構想し、同年12月にTug-Bシェアハウス開業。2022年5月からTug-B | Bar & Hostelをグランドオープン。2年の休学を経て、今は大学4年。昼間は卒論と会社のあれこれをやって、夜はフレアバーテンダー。
なんともお堅い自己紹介だこと!!

カッコつけちゃうけど
ほんとはただのポンコツ少年なんだ

◇ ◇ ◇

この1年ちょっとは、もうまさにパニック

クラウドファンディングから始まった2022年は、
てんやわんやな一年だった。

下の記事で、てんやわんや具合を具体的に記事にしていただいたので、どんな感じだったか読みたい方はぜひチラッと。


4月から建物の賃貸契約も始まり、数十万単位の経費が流れ始めることが確定している中で、改装費用を工面するためにクラウドファンディングでご支援をお願いして回りながら、オープンに向けて、予算に検討をつけながら改修工事を進める。そしてメニューも決まらなくてバタバタ。オープン前から、だいぶパニック。

とはいえ、長期インターンの経験やこれまでの活動で、
自分はやりたいことのために、めちゃくちゃでも突き進む力はあると考えていたのと、クラファンの追い風もあって、気持ちは俄然パワフルだった。
最初のうちは…。

そんな感じで始まった、この一年間、
気づくといつの間にか、ある感覚に陥り始めた。

この頃、結構太ってたな…

"わからない"だらけの無重力感

どこか地に足がつかない感覚だった。
ふわふわ、どこを見て動けばいいかわからないような。
どっちが地面だっけ?みたいな無重力に近い感覚。

今思うと、これは、
わからないだらけのカオスの中で、
溺れていたのだと思う。

・全体として向かう方向が正しいのかわからない
・やったことがないことだらけで戦術を実行する術がわからない
・自分が検討つかないことをどうチームに頼ればいいかわからない
・目の前を見ながら、少し先を見据えた見通しを立てるバランスが掴めない
・不安定な自身の生活を成り立たせるための余裕のなさ

わかんないだらけのカオス

いろんなモヤモヤの矢印を抱えたまま、
それを手放せず、そうしてるうちに、
向かいたい方向がわからなくなってぶれていく

わからないことだらけの状態は、
人から、現状を変えていく力を削いでいくらしい。


ワクワクに自信を持てなくなっていく

そんなうちに、「やりたい」が「やらなきゃ」に変わり、
自分のワクワクを、素直に信じれなくなっていった。

一番最初期、僕はワクワクとか、面白いかどうかみたいなそんなことしか言ってない時期があった。(かなり抽象的だったし、言語化も未熟だった)

そこから、クラウドファンディングを経て、自分の中の面白いを、より多くの共感を得られるものへと言い換えながらやってきた。

「まちの日常に学生と旅人が溶け込む、
 複合型コミュニティ施設を作りたい!」

クラファンで綴った思いは、一ヶ月もの間、死ぬほど悩み抜いて言語化した間違いなく本心から出てきたものだった。

ただ、ちょっとした反省がここにある。

”ご支援”という見える形で共感を得た、
主語の大きなコンセプトに、
気づくと縛られてしまっていたのだ。

クラウドファンディングでは、多くの方に思いが届くように、”街”を主語に置いた、「若者と余所者と、地域の人が居合わせて混ざる場所が小樽にあったらいい街になりますよね!」というニュアンスの語りを採用した。

ここに囚われすぎたのだ。
ここは若者と旅人と地域の人が出会う交流の場所です!」と言われて、誰が欲望が掻き立てられるだろうか。ここに気づくのに時間がかかった。

初期の構想。たにしゅんが綺麗に書いてくれたんだ。

”みんなの場所”は、"誰の場所"でもなかった。

要するに吉野家でいう、「うまい、早い、安い」的な。
欲望にど真ん中で刺さってくるコアの価値がなかった。

みんなの居心地がいい交流の場は、
誰の場所でもなかった。

結果として、あるときからお客さんが全然来ない状態が続いていた。来てくれるお客さんも、どうしたらTug-Bが繁盛するか、そんな話題になってしまうほどに心配にさせてしまう状態だった。そういう日の虚しさたるや。

それでも、そんな違和感を見て見ぬ振りしていたのかもしれない。これまでに一度共感を得たコンセプトから逸脱して、変わることへの恐怖が大きく、ふわふわとどこに向かえばいいかもわからない中では、方向を転換することは億劫だった。

面白い方へ、とか言っていた自分は、
いつの間にかコケてもカッコわるくない方へ
進もうとするビビりになっていた

そんな中迎えた今年4月の誕生日、ちょうどその日、小樽に泊まりにきていた、尊敬する先輩経営者の鈴木さんと深夜2時から朝まで話しているとき、
ふと気付かされた。

自分をペルソナにした本当に欲しいもの、欲望に刺さるものは外さない

「僕は何をつくりたいんだ。何が欲しかったんだろ。」

改めて自分自身の本心に目を向け、考え出した。

僕がいろんなことを考える時に使うmiroの一部。

◇ ◇ ◇

本当に作りたかったのは、”遊び場”だった。

本心に向きあう中で、ハッとした。
そう、俺が本当にやりたかったのは、

小樽にきて、街の空気や娯楽のなさに失望して四年間の青春をこんなところでどうやって遊べば良いんだと途方に暮れていた、大学1〜2年生だったあの頃の自分が、胸の底からワクワクして目をキラキラさせるようなでっかい遊び場を作ることだったんだ。

一年間、もがいてもがいて、ここに来て初めて、そんな初心に気がついた。

でっかい理想の遊び場。
言語化するとその中には、友達と遊んで楽しい要素や、あったことのない人との出会いの要素ちょっと背伸びして自分の知らない世界に触れる要素や、何かに打ち込んで自分の天井に挑戦する要素がある。
小樽に来て見つけられなかったこれらを詰め込んだ場所こそが、Tug-Bの目指す場所の姿だと、確信した。

そう思ってから、やることが見えてきた。


振り返れば、原動力は”遊び作り”。

アホの歌原(中学)

思えば昔から、
学校で自分がおすすめしたゲームが流行って自分がいないところでもみんなの楽しみになったり、自分たちで考案した鬼ごっこがクラスに広まったりというような、自分がワクワクしたものが周りに受け入れられて、みんなの楽しみになるようなことが本当に好きだった
今も、そんな遊び作りの延長にいるのかも。

だからどんなに苦しくて折れそうになっても、
ハマった時に楽しすぎてやめられないのかもしれない。

きっと自分よりも、頭のいい人は死ぬほどいるし、結果を残せる優秀な人はごまんといる。むしろこの1年と長期インターンで気づいたが、自分はどちらかというとポンコツの類だ

そんな自分でも、もし自分がいなかったらなかったかもしれない遊びが生まれて、それが周りにとっての当たり前の楽しみになったとしたらこんなに嬉しいことはない

自分はよく自分の輪郭を考える時に、こんな方程式で考えてしまう。

自分 =
自分がいた世界 - 自分がいなかったかもしれない世界

だから、僕が、自分がこの世界に生きていてよかったと胸を張っていうためには、自分がいなかったらなかったかもしれないコトを作り続ける必要がある。

それは、iPhoneのように
世界中の日常を楽しくすること
かもしれないし、
誰かの人生という1人の人間の世界を
豊かで幸せなものにすること
かもしれない。
どちらにせよ、歌原大悟がいなかったらなかったかもしれないことで、世界がちょっぴり楽しくなれば、僕にとってそれらは等しく尊いことだと思う。

そのために、僕は僕のできることを増やしながら、
自分たちがいなかったらなかったかもしれない遊び作りを生涯続けたい。



最高の遊びを見つけた。

そういう意味では、
最高の遊びは、「経営」なのかもしれない。

「経営」は最高の遊び。

これも鈴木さんの言葉

いろんな人がいるなかで、想いを中心に渦を作る。
ビジョンを掲げて、戦略を持って前に進む。
いや、それってもはや、RPGじゃん!!
こんな面白いことはないのかもしれない。
遊びを作る遊びが一番面白いなんて、たまらない。

昔から、父親が馬鹿みたいに言い聞かせてきた「経営って、面白いぞ」っていう刷り込みが功を奏してるのか、周りのかっこいい経営者の背中を追いかけてきたからか、今はそう思ってしまっている。

経営者という生き方

恥ずかしくてなかなか言えないんだけど、改めて宣言。

今の所、俺が人生を賭けてやっていきたいのは、経営者として、笑わせていたいと思う最高の友人と共に、俺たちが出会わなかったらなかったかもしれない遊びを作り続けることです。

やっぱり、こういう原動力で動く変態にとって、
経営は、最高の遊びだと思うんだ。

今のところ、いい車に乗りたいとか、いい家に住みたいみたいなギラギラした熱量とはちょっと違うところにいるんだけど、どんなに打ちのめされても、根元的な好きなことだから、続けていける生き方な気がする。

とはいえ、稼げないと、遊びを作れたとは言えない。
次の遊びも作れやしない。遊びはおっきい方が楽しいに決まってるからね、でかく遊ぶためには大きなお金が必要。もっと貪欲に数字に食らいついていくのは絶対。

ボロボロだけど、走り続けるし、人に義理を通せてないことも山ほどあるけど、どのみちいつか向き合って、胸を張れるように、生きていく。
やるぞやるぞ〜〜〜。

あれ、なんか流れがよくわからんくなってきたな。

でも、これを読んでくれた、たまたま俺と24年間のどこかで居合わせてくれた皆さんは、変な生き方をしていく楽観的なやつがいるらしいと、どこかに覚えておいてくれたら嬉しい。笑っても、蔑んでもいいから、なんかどっかでまたたまたま居合わせたら、一緒に遊んでね。

ここまでが僕の話。ここからが僕の作る遊びの話。

◇ ◇ ◇

【改めて】Tug-Bのこれから

USPは、『小樽で1番楽しい、泊まれる遊びバー』

USPとは、いわゆる自分にしか言えない独自の提供価値を表したもの。
これまで、”コミュニティベース”という言葉をこだわって使っていたが、それでは伝わらない要素が多いため、より直感的に掴みやすいように”泊まれる遊びバー”というワードを採用。
そしてコミュニティベースで伝えたかった、業態が複合している利点として関わり方や遊び方が豊富であることを、遊び方が多い→奥が深く、飽きがこない→”小樽で一番楽しい”と、より率直な表現で目指す提供価値の基準を示すものに。

バー・ゲストハウス・シェアハウス、それぞれの体験が、このUSPに紐づいて機能する状態を目指します。

要は、やりたいことが明確になったということです。
それをどう実現していくか、具体的に変わる点を紹介。

変わる点①:”欲望に刺さる遊び”を散りばめる

交流の場というふわっとしたものではなく、
交流の媒介となるつい盛り上がってしまうような
欲望に刺さる遊びをたくさん散りばめます。

<ダーツやボードゲームを配置>
ボードゲーム用の棚や、テーブルサッカーダーツなど、その場で盛り上がる遊びを充実。すでにボードゲームは30種類以上に。また、テーブルも、ワイワイ遊べるハイテーブルを追加。

<スマブラしながら飲めちゃう>
カウンターの中に、大型ディスプレイを配置しました。
スイッチを繋げて、カウンターの奥に座れば、
スイッチで遊びながら飲み会ができる豪華な設備に。
イベント時のモニターや、スポーツ観戦のディスプレイにも。

<Tug-Bガチャ実装>
来店ごとに1回、リアルガチャを引けるシステムを導入。
ガチャの中身は、おつまみいろんなクーポン、一番のあたりはアマギフ5000円なんてのも。ちゃんと罰ゲームショットなどもご用意。当たっても外れても楽しくて会話の種になること間違いなし。

30種類以上のボドゲやVRゴーグルが並ぶゲーム棚
ゲームもできるディスプレイ付きのカウンターゾーン
遊び心くすぐるTug-Bガチャ
こだわりを詰め込んだ新ドリンクメニュー

変わる点②:”ここでしかできない遊び”を散りばめる

普遍的な面白い遊びだけではなく、
小樽だから・この施設だからできる遊びを充実させ
ここでしかできない遊びを散りばめます。


<花園ダイバーズをさらにレベルアップ>
ダイバーズマップを壁の一面に作ったり、提携店などを拡充し、より花園での遊びをホットに盛り上げます。イベントだけでなく、宿泊プランとして体験をパッケージ化。

<住みながら、バーで働く大学生活>
シェアハウスにバーとホステルが併設している強みを最大限活かした暮らしはここでしかできない遊びといえます。バーの本格カクテルやビールが、コンビニで買う缶酒ぐらいの値段で楽しめる住民特典や、ゲストハウスとシェアハウスに友達を呼べること働くことで家賃を減額したりというあらゆるシナジーを充実させます。

<小樽でしかできない遊びとしての宿泊体験>
ダイバーズプランのようなものも含めて、泊まりがけで楽しめる小樽での遊び方を提案していきます。その第一弾として、地元のお酒である小樽ビール・小樽ワインの飲み放題がついた「小樽を夜まで満喫プラン」をローンチ。昼だけでは楽しみきれない小樽ならではの遊び方をどんどん開拓していきます。


変わる点③:一緒に遊ぶ!作り手と遊び手の境界が溶ける

作り手と利用者という境界ではなく、
一緒に遊ぶスタンス
で、よりみんなで
遊びを盛り上げる
ようなギミックを用意。

<共同イベントを積極開催>
6月末に開催したシーファンさんなど色々な方々と一緒に作り上げた「HANAZONO遊ばナイト」のような大型イベントや、一緒にやっていく定例イベントを充実させていきます。国際交流イベントや、ボードゲームの日など色々なコンテンツで盛り上がるタイミングを作ります。

<間借り・一日店長を始動>
自分の好きなものを共有する遊び作りを一緒に楽しむ制度をつくります。ドラクエ好きな一日店長が立つ、「ドラクエデー」や、マーダーミステリー好きが集まる「マーダーミステリーデー」などの一日店長を起点に普段とちょっとだけ違う遊びをしてみるイベントを積極的に開催します。
今までやっていた間借りも改めて募集していきます。

大好評だったパーティイベント。次回は9月ごろ予定


走り続けて気づいたことに価値がある

さて、ここまでドロドロしたところも触れつつ、
ようやく見えてきたTug-Bのありたい姿や
これからを示してきました。

とはいえ、やることが180度変わったわけではありません。漠然としていた向かう方角が定まってきた感覚に近いです。ここまで方針を定めるまでに1年がかかりましたが、この走り続けて気づいたことに価値があると思います。

試行錯誤の中で見出したロジックに基づいて、
動き出せるのですから、今すごくワクワクしています。

ここまでも本当にたくさんの方の温かいパワーに支えられてきましたが、ここからの僕たちにご期待ください。ワクワクするものをお見せできるよう遊びを作っていきたいと思います。

ここまで読んでくれたあなた!
お付き合いいただきありがとうございます。
今度タグビーでお酒片手にお話しさせてくださいな。

それではTug-Bで会いましょう!さらばだ!

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