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報酬を設計する際は

2019年12月19日 人を悲しませる嘘はついちゃいけません。楽しい嘘はオッケー

おはようございます。
実はコッソリとロボット開発を進めていたキングコング西野です。

さて。
突貫工事でスタートさせた分際で、『SHIBUYA FREE COFFEE』が話題です。
今日はこの『SHIBUYA FREE COFFEE』の地下一階で、お手伝いロボット『キャンディ』の「サビ加工ワークショップ」が開催されます(※参加チケットは完売)。
突然、出てきましたが、『キャンディ』は僕が描いた絵本『ジップ&キャンディ』に登場するお手伝いロボットです。

僕らはイベントに登壇する時や、会議の時などにプロジェクターを使うのですが、あのデザインがどうも気にくわなくて、「ロボットがテクテク歩いてきて、そのロボットの目がプロジェクターになっていて、目から映像が映し出されたら、超イカすんですが、そういうロボットって作れます?」とスタッフさんに聞いたところ、「できますね」と返ってきたので、(歩かせる必要もないのに)歩くプロジェクターロボット『キャンディ』の開発を無駄にスタートさせました。

「絵本に出てきたキャラクターを実際の世界でも登場させてやろう」という毎度おなじみの悪ノリです。

今回、『SHIBUYA FREE COFFEE』に登壇するのは、そのパイロット版で、まだ歩きもしませんし、プロジェクターも搭載しておりません。
ただのディスプレイです。

本来、グッズショップ(コーヒー屋)にロボットなど必要ないので、「どこにコストをブチ込んでるんだよ」とツッコミたいところですが、僕の活動は勿論のこと、『SHIBUYA FREE COFFEE』は「いつも面白いことをしている」というブランドになることや、「このロボットはキャンディという名前でね…」といった具合に“語りシロ”を作ってあげることが非常に重要だと思っていて、今回のコレは必要経費だと判断しています。

「商品を売る」と「おみやげを売る」は、「素材を売る」と「思い出を売る」ぐらい意味が大きく違っていて、後者は【物語】や【特別な体験】が伴って初めて成立します。
『SHIBUYA FREE COFFEE』のコーヒーは本当に美味しいですが、コーヒーの味で勝負してしまうと、コーヒー屋さんとの競争に入ってしまうので、コーヒーを「コーヒー」として売るのではなく、コーヒーを「『SHIBUYA FREE COFFEE』に行った時の【おみやげ】」として売ることが大切だと思います。

この話の流れで、ついでに言っちゃいますが…
今、『SHIBUYA FREE COFFEE』で100円で販売する新聞(号外)を刷り直しています。
(※画像を添付しています)

こちらの新聞は4年くらい前に、オンラインサロンメンバーの方から「ウチの8歳の息子がサンタクロースの存在を疑い始めています。。」と相談を受け、日帰り弾丸ツアーで北海道・稚内にあるトナカイ牧場に飛んで、撮影して作った嘘新聞です。

「12月24日の夜にスピード違反で捕まった男が、よくよく見るとサンタクロース(山田玄寿)じゃね?」という遊びですね。

相談者の方には「この新聞を、息子さんに見つかるように、お父さんがいつも読んでいる朝刊に挟んでおいてください」とお返ししました。

「嘘はついちゃいけません」と子供に教える全ての親が唯一つく嘘が『サンタクロース』で、このことを因数分解すると、「人を悲しませる嘘はついちゃいけません。楽しい嘘はオッケー」という答えが割り出されます。

僕に子供がいたら、子供が中学生になっても、高校生になっても、大学生になっても、社会人になっても、毎年あの手この手で「サンタクロースはいるよ」という嘘をつくことで、子供とコミュニケーションをとりたいと思っていて……そのネタの一つがコレです。

昨日、スタッフさんに「この新聞の日付を書き直して、刷り直して、『SHIBUYA FREE COFFEE』で売ろうよ」とお伝えしました。
さっそく動いてくださり、早ければ今週中には店頭に並ぶと思います。
グッズで『嘘』を売ってみます。

話をまとめますね。
お手伝いロボットの『キャンディ』の開発にしたって、嘘新聞の製作&販売にしたって、確実にモトは取れないし、グッズショップ(コーヒー屋)に要らないといえば要らないんです。

しかし、それはあくまで『数字』の話で、ここからの時代のサービス提供者が気をつけなきゃいけないのは決して数値化されることはない、お客さんが支払っている『想い』の部分で、『想い』を生産することに費やすコストはケチらない方がいいと思います。

『SHIBUYA FREE COFFEE』は温かい店にしたいです。
応援宜しくお願い致します。
現場からは以上でーす。

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4年前に作ったよ。

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『SHIBUYA FREE COFFEE』限定表紙の『えんとつ町のプペル』を開発中。



2019年12月20日 買ってくださった方の報酬が減るから、やめといた方がいいよ

おはようございます。
真冬の札幌で『かまくら』を作ることが決定してしまっていたキングコング西野ことアル中記憶喪失です。
詳しくは→


さて。
先日、渋谷にオープンした無料のコーヒー屋(ホントはグッズ屋)さん『SHIBUYA FREE COFFEE』の運営のことで、サービス業やチーム設計の勉強になるような出来事があったので、皆様に共有しておきます。

はじまりは、『SHIBUYA FREE COFFEE』を担当しているスタッフの瀬戸ちゃんからの、こんなLINEから。
「渋谷のコーヒー100杯の無くなるタイミングですが、話題が広がっているのか日に日に早まってきてます!」(by 瀬戸)

『SHIBUYA FREE COFFEE』は、「コーヒーを50人に贈れる権」という提供枠(1万円)をオンラインショップで買ってくださっている菩薩人間様のおかけで、無料でコーヒーを御提供できています。
逆に言うと、提供枠が買われないことには、フリーコーヒーは、うまく回らないんですね。
そこで、最初の1週間は「1日=限定100杯」として、「1日に2名の菩薩人間様(コーヒー提供者)が現れてくださったら無事に店が回るよ~」という感じで設計したのですが、噂が噂を呼んで、100杯限定のフリーコーヒーが無くなるスピードが日に日に早くなっているというのです。
こんな感じです↓
12/16(月) 17:00
12/17(火) 16:40
12/18(水) 16:36
12/19(木) 16:10
(※ちゃんとデータをとってて偉いぞ!よくやった!)

そして、この結果を受けて、瀬戸ちゃんから、こんな提案がありました。
「今週は平日100杯でやってるんですが、この数字はまた来週分から考え直すとして、やっぱり、FREE COFFEEというコンセプトでやってるので、店頭で試飲がないタイミングはない方がいいなと感じてます。

そこで……
baseで「VIPの提供枠」を作って改善できないか試してみたいと思ってます↓
━━━━━
・1口500杯 10万円
・購入者にはパッケージが金のコーヒー(BITTER.MILD)を贈る。
・店頭での提供の表示を少し豪華にする。
・VIPの方が変わるたびに、インスタの投稿で紹介する

毎日、限定の提供数(今は平日100杯)が終わった後は、VIPの方の提供で試飲が引き続き提供される。
その数を毎日数えておいて、累計で500杯(仮)にいくまでVIPの方の提供が毎日続く。
━━━━━
という形です!」(by 瀬戸)

なるほどなるほど。
10万円(500杯)のVIPの提供枠を作って、補完しようという作戦です。
僕自身、前々から「VIPを設計しろ。飛行機はVIPで飛んでいる 」

と言ってきたものですから、『VIPで回す』という考えは、かなり前向きに捉えているのですが、今回の提案に対しては、NGを出させていただきました。

瀬戸ちゃんに対する僕の返信はコチラです↓

「たぶん、『10万円(超VIP)の提供枠」案はインセンティブ(報酬)設計が失敗していて…『10万円の提供枠』を用意した途端に、『1万円の提供枠』が一気に売れなくなると思う。
『1万円の提供枠』には元々「ドヤれる」という報酬があったのに、『10万円の提供枠』を用意してしまったばっかりに、【10万円までは出さなかった人】となってしまって、ドヤれなくなる。
店の売り上げは極端に落ちると思うよ」(by 西野)

つまり、「『1万円枠(50杯プレゼントする)』を買ってくださった方の報酬が減るから、やめといた方がいいよ」という話ですね。

それでも、今回の瀬戸ちゃんの意見を採用するとするのなら、【店頭での提供の表示を少し豪華にする】という部分を削った方がよくて、お客さんから見て、今回のフリーコーヒーが『1万円の提供枠』なのか『10万円のVIP提供枠』なのかを分からなくしてしまえば、まだ『1万円の提供枠』を買ってくださる方への報酬は減らさずに済むと思います。

いずれにせよ、報酬を設計する際は、「達成感や満足度や幸福度が『他人と比べて自分はどれほどか?』という相対的”なものである」ということを意識しておくことが大切です。

これは、親や先生や経営者といった、リーダー全員が気をつけておいた方がいいと思ったので、今朝はこんなお話をさせていただきました(*^^*)

『SHIBUYA FREE COFFEE』の実験は、まだまだ続きます。
現場からは以上でーす。

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普通に生活費のかかる個人ですから。お金をいただけるのは嬉しいことです。 ありがとうございます。先にお礼を言ってしまいました。返礼の法則って知ってますか?さあ