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映画#9. 家族を超えた愛(『湯を沸かすほどの熱い愛』)

このコロナ禍が収まった暁にはやりたいことがいくつかあるが、そのうちのひとつが銭湯にいくことである。

昔ながらの、下町でやっている銭湯がとてもすきで、ネットで調べてはよくふらりと立ち寄っていたものだ。先日見た映画『湯を沸かすほどの熱い愛』では、その舞台が銭湯。友人に紹介されたのだが、そのときには実は見ることを躊躇していた。

というのも、よくあるガンで余命宣告を受けて…という構成の流れで、お涙頂戴的なありふれたエピソードだと思っていたからだ。実際に映画を見てみると、良い意味で裏切られた。

あらすじ

持ち前の明るさと強さで娘を育てている双葉が、突然の余命宣告を受けてしまう。双葉は残酷な現実を受け入れ、1年前に突然家出した夫を連れ帰り休業中の銭湯を再開させることや、気が優しすぎる娘を独り立ちさせることなど、4つの「絶対にやっておくべきこと」を実行していく。

とあらすじにあったのだが、4つのやっておくべきこととは何だったのか!?と思い返してみた。(きっと劇中には直接的には描かれていなかったと思う)想像するに下記4つ。

1.家出した夫を連れ帰ること
2.家業の銭湯を再開させること
3.娘を独り立ちさせること
4.娘をある人に会わせる

病気である事実をオダギリジョー演じる夫に伝えた後、夫は双葉に対してほかの病院でも再度検査を受けて治療できるところ探そうよ、と話す。それに対して双葉は、

「わたしね、少しの延命のために 自分の生きる意味を見失うのは絶対いや。
   わたしにはどうしてもやりたいことがまだある」

と、意志を持った目で話すのである。

家族の裏にあること

夫が出て行ってしまった以外は母娘仲が良くて、問題なさそうに見える家族だったのだが実はいくつも問題を抱えているのだということに、ものがたりが展開されるにつれて判明するのである。

ものがたりの途中ではいくつも伏線が張り巡らされており、見終わった後にああ、こんな風につながっていたのか、ということに気づかされる。

見終わった後、不思議な気持ちにとらわれる。はたしてこのまま毎日ぼーっとして生きていてよいのかと。日々の生活を過ごすうえで、意志をもって誰かのために生きることを考えていきたい、そんな風に考えさせられた映画だった。

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