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思わず引き込まれた話のまとめ

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ついつい語り口に引き込まれて最後まで読んで感服した話のまとめ。
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2021年1月の記事一覧

大好きだった先生と、名前も知らなかったあの子

初めて自分のホームページを作ったのは高校1年生の頃だったと思う。 当時、仲良くしていた先輩達から彼氏とのツーショットのプリクラやデートの内容、たわいもない会話を可愛い絵文字を駆使しながら書いていた日記などが載ったホームページのURLが『HP作りました!』という文章と共にメールで送られてきた。 そのURLを開くと、先輩が彼氏にぴったりとくっつきながら撮ったプリクラがトップベージに飾られている。 率直に羨ましかった。眩しいなって思った。 小学生の頃からそれなりに好きな人がい

ステイホームがもたらしたもの

「ヤバい!」が口癖の中2の長女。 奥さんに似て、しっかりしている。 4人兄弟で、そうならざる得なかったのかもしれないが‥‥ステイホーム期間を通して変化があった。 時間はたっぷりあるけれど、不自由なステイホームが、彼女にどのような変化をもたらしているのだろうか。 モーニングルーティン 中学が再開してから、完全に習慣の人になった。 朝6時45分 起床。 起きるとすぐ布団を畳み、カーテンと窓を開け部屋の空気を入れ替える。部屋には、ゴミ1つない。 洗顔をして、ドライヤ

みんなといるのが「リア充」な時代はもう終わった

「アニメと漫画の話がしたい」と仲の良いヲタク同士でZoomをやっていたら4時間が経過していた。恐ろしい。 日常生活のなかで会話ってしているようであまりしていないんだと実感する。 それはさておき、友人が「けいおんを観ていて気付いたことがある」と言った。 彼によれば、「けいおん」は女子版の「スラムダンク」で、「こんな部活いいな〜」という憧れが詰まっている作品だという。ただし、スラムダンクから「気合い」「頑張る」「高みを目指せ」といった体育会系要素を除いたものというか。時代に

ワインバーグのジャムに紅茶を添える。現代のメッセージ発信

ワインバーグさん。ほんの少しだけれども、気持ちが分かった気がするよ。 最近、ずっと疑問に思っていたのです。自分の文章って上手くなっているのかなって。 PV自体は伸びており、本当に以前より多くの方に読んで頂けるようになったなあと感謝の気持ちで一杯です。 一方で、複雑な気持ちで思うことが、多くの方に読んで頂くほどスキ率が下がっていくという現実です。 基本的にPVとスキ率はトレードオフです。もちろん、筆力の力不足は認識していますが、前提としての構造は無情にもそういうものだと

そのラーメン屋は、半ライスの量がたまに多い

そのラーメン屋では、ライスが無料でついてくる。ライスのサイズは半ライスと普通盛りの2種類から選択できる。ここで浮上する問題が、「半ライス問題」である。 半ライス問題は二重構造を孕んでいる。第一に、近頃の僕は体型が気になる。ふと気づけば身体中に見慣れぬ肉がびっしりついていて、ジャンプするとぷよりぷより揺れる。ここ半年、食べたいものを、食べたいだけ食べてきた横暴の歴史が、脂肪という名の年表に刻まれている。でもだからといって、ラーメンを食べることをやめたりしない。なぜならラーメン

たとえ「普通の」生き方ができなかったとしても。

2020年6月末、ライターのキャリアに終止符を打った。 4年間、ライターとしてお世話になった会社を辞めた。 ___ 幼い頃から小説を自作するのが趣味だった私にとって、「文章を書く仕事」……つまり「ライター」は、憧れの職業だった。 勤務先はパンフレット制作がメインの会社だったので、ライティングだけでなく、編集や進行管理にも携わらせてもらった。インタビューをしたり、撮影のディレクションをしたり、デザイナーさんが作ってくれたデザインのチェックをしたり、印刷会社さんとやりとりを

タイプライターの美。

「はじまりは道具としてよりも機械として。」英文タイプライターと言う道具自体は子供の頃に大人の一部が使ってはいたものの、その当時ですらすでに時代遅れ感のあるレトロな道具になり始めた頃でした。なので、私がそれなりの年齢になった時にはもう実用の道具ではなく、アンティークショップで装飾用で売られるものになっておりました。そんな道具ですが、持っております。 我が家には 10 年ほど前に迎えました。存在そのもののエレガントさだけではなく、フォントの美しさにも魅入られて道具として使って見

ことばの重大な微差を取りこぼす日々|逢坂千紘

 こんにちは、逢坂千紘(あいさかちひろ)です。  今回から新連載です。「ことばと相談室」という連載名。次回からみなさんよりお寄せいただくお悩みや疑問に魂の限りでお答えしていく形式ですので、なにとぞよろしくお願いします!(詳細は当記事の最後で)  当記事は「連載、始まったよ!」というお知らせもかねて、ちょっとマイナーだけど実はおもしろい「略語」の世界の入り口をご案内。  みなさんは、ファストフードチェーンの「マクドナルド」をどのように略しますか。大きくわけてマック派とマク

やりたいことを仕事にしていないが、仕事の中でやりたいことをしている

以前、大雨の中、山で遭難しかけた時に写真を撮り損ねたことで、直筆の絵で伝えたい!と思って、noteでわたしの落書きを披露した。 はっきり言って下手くそであるが、そこそこ受けたようで嬉しかった。 「何か好きなことを見つけなさい」と呪いのように言われたり、「好きなこと、やりたいことを仕事に」と言ってそれ以外は価値がないかのような社会で、あのような落書きが私の好きなことであり、やりたいことだと言っても、「あれで食べていけ」とアドバイスする人はいないと思う。 私は文章を書くことも好

仕事とお金と悩み

私の実家には物心ついた時から父親は居なくて、母が働きに出てる間、祖父母に育てられました。パートに毛の生えた程度の収入の母と祖父母の年金で暮らしてたので、そんなに豊かだった覚えはありません。閉鎖的な田舎だったのでシングルマザーもめずらしく、よく揶揄われました。 母は色々と職を転々としつつ、最後は地方のスーパーで経理の仕事をしていたので、決算期末などは帰りも遅く、いつも本当に大変そうでした。家の中では人間関係の愚痴ばかり言って辟易させられ、たまに友達が持っているものが欲しくなっ