秋の新作に寄せて
いつもatelier daidye(d)をご愛顧いただきありがとうごいます。
手記につきましても、読んでいただいている皆さま。重ねて御礼申し上げます。
まともな商品紹介なんてもう暫く書いておりませんし、自己満足なのか自己批評なのか分からないエッセイばかり書いているにも関わらず、面白がってくれるディープな皆さま。あなた方のおかげで私の精神衛生は保たれています。
感謝を綴り出すとキリがないので主題に移ります。
先日、Mr.Ash AW 1stの製作が全行程終了しました。
本番採寸、物撮り、キャプション、ロケなど制作はこれからですが、一先ず製作は終わったので安堵しております。
出来上がった服たちをラックに並べて私は叫びました。
「おれじゃん!!!!!!!!!!!!!!!!」
自室のクローゼットと見間違えるほど、私が普段着ている服にあまりにも似通っています。今回は自分で着るように幾つか手に入れました。
となれば、その魅力。私が伝えるのが一番でしょう。だって毎日着ているのですから。
リリース前ということで細かい商品説明は省かせていただきます。
ざっくりした魅力や空気、背景や感情を、いつもの奇天烈文章で。
だいたい私はこんな気持ちで服を着ています。
それでは、でっけぇ服の魅力を伝えてやるぜ。
シャツ
なんだかすごくシャツの気分です。
例年ならこの辺りからTシャツを脱いでロンTに着替えるのですが、今年はシャツに着替えました。
いつも夕方に通る道があります。
遮蔽物が無く、遠くの空まで大画面で楽しめるお気に入りの道。
その日は薄いピンクに化粧した大きな大きな雲がとても綺麗で、でっけぇ綺麗なシャツを作ろうと思いました。
今回のシャツは生地が綺麗です。
タイプライターやT/Cポプリンを採用したので、光沢とハリがいい塩梅。
綺麗な生地のシャツを丁度のサイズで着るのって少し気恥ずかしい。
キメて来た感というのでしょうか。
飄々と生きていたいのでね、でっかくいきましょう。
何も考えずにバサっと着ちゃってください。
九月でも吹く夏嵐。
追い風に膨らんだシャツは気球になって、自分でも分からない何処かにふわりふわりと運んでくれるといいですね。
スウェット
一番好きな食べ物は塩焼きそばなのですが、一番好きな服は裏パイルのスウェットです。
一番嫌いな食べ物はソース焼きそばなのですが、一番嫌いな服は裏起毛のスウェットです。
こういった細かいところに拘りがある性格や趣向は対人関係に於いてはマイナスだけど、服作りに於いてはプラスです。
裏起毛って重くないですか。裏起毛のあの肌に干渉してくる感じ嫌じゃないですか。
なので裏パイルのでっかいスウェットを作りました。
私は何事も出来る限り身軽でいたいし、出来る限り囚われたくないです。
もう十数年、夏以外はでっかいスウェットを着ています。
服は人を作ると言います。
毎日スーツを着ている人はしっかりした性格になっていくらしいですよ。
私がどうしてこんなにもちゃらんぽらんなのか、もう分かりますよね。
そんな倉敷きってのスウェットマスターが作ったスウェットです。
言葉はいらないでしょう。
二番目に好きな食べ物は唐揚げなのですが、二番目に好きな服はポロシャツです。
だけどポロシャツのあの鹿の子生地ってカサカサして嫌じゃないですか。
なのでスウェット生地で作りました。
どちらも抜群の着心地で楽ちんなのに、どこかセクシーな隙があります。
いっしょにちゃらんぽらんになりましょう。
デニム・ジーンズ
壁の節穴をずっと見ている。
六年目を迎えたMr.Ash
はじめて作ったのは加工ジーンズ、はじめて売れたのも加工ジーンズ。
いろんなことをやってきた。
レディースブランドをやったり、アクセサリーをやったり、unrodinというブランドもやった。
壁の節穴をずっと見ていると、たまに鍵穴に見えるときがある。
その鍵穴に合う鍵を必死に作った。それがレディースブランドであったり、アクセサリーであったり、unrodinであったりする。
鍵を挿そうとすると、その鍵穴はやっぱり節穴で。
この鍵は何のために作ったんだろうか。
ずっと作り続けている加工ジーンズ。継続的に売れている。
二ヶ月前にInstagramの広告をはじめて打った。
たくさん見てもらえた。たくさん売れた。内容はほぼ加工ジーンズだった。
また壁の節穴が鍵穴に見えてきた。
今度はきっと鍵穴で間違い無いだろう。
それに合う鍵は六年前から持っていた。
錆びないよう、ずっと磨き上げてきた。
あとは鍵が、回るかどうか。
パンツ
〈残暑をブルブル震わせろ!! 納涼!! 怖い話大会〉
をここに開催します!!
では、一番手は私がいかせていただきます。
みなさん、細いパンツを穿くとどうなると思いますか?
動きにくいから足取りが重くなりますよね。
するとどうなると思いますか?
いろんな所に出歩かなくなりますよね。
いつもの決まった生活圏から出なくなり、職場の人間や、いつもの友人としか会話をしなくなる。
部屋に引き篭もって、昼間なのにカーテンを締め切って生活する。
出会いが無くなるから婚期を逃して一生独身。
刺激が無くなるから考えが凝り固まってつまらない人間になる。
細いパンツを穿くだけでこんなに怖い未来が待っているんですよ。
え? どうしたらいいかって?
Mr.Ashの秋の新作ワイドパンツを穿きましょう。
驚くほど軽くてワイドだから足取りも軽く何処へでも連れて行ってくれます。
行ったことのない場所で素敵な体験が出来るかもしれません。素敵な異性との新しい出会いがあるかもしれません。
ポケットも深くて大容量だからバッグもいりません。
空いた両の手で夢なんかも掴めちゃうかも。
穿くだけで怖い未来を虹色の未来に変えられる!!
皆さん、九月六日の発売を待ちましょう!!
っていう文章を昼間なのにカーテンを締め切って電気もつけていない薄暗い部屋で、新作ワイドパンツを穿いて書いてます。
怖いなぁ怖いなぁ。
あとがき
長々と書きましたが、最後まで読んでくださりありがとうございます。
詳細はまだ明かせないので、いつもより抽象的な文章になってしまいました。
照れ隠しもあったのかもしれません。
でっけぇ服ってどうしてこんなにも魅力的なんでしょうね。
楽だとかストレスフリーだとか分かりやすい理由はあるでしょうが、私はもっと奥の奥に魅力を感じています。
風に大きく靡く裾に季節の叙情を見つけたり、楽な着心地が産む自由がその人の行動をほんの少しだけ大胆にしたり。
そんなの考えすぎと言われるでしょうが、服にはそれだけの力があると私は信じています。そしてそこに惹かれています。
普段着に近いということは、好きということです。
私は良くも悪くも好きに対して妥協が出来ません。
どれも極上の仕上がりであることを約束します。
普段着に近いものが売れなかったら私そのものを否定されたようで泣いちゃうかもしれません。
三十一にもなって泣きたくないので、たくさん買ってくださいね。
リリースは九月六日になります。
私たちの秋祭り。一緒に楽しみましょう。
atelier daidye(d) juni
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