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「虫」を詠んでみた。

NHK短歌2022年7月24日のテーマは「虫」でした。入選歌にはすべて「うーん」とうならされました。人間と虫のつながりを捉えた名歌の詠み手のみなさん、お見事です。私の投稿歌を紹介します。

蚊柱に好かれる人だ運という運に背いて母の恋人

本の虫やね、と呆れられている非常ベルにも反応せずに
肥溜めが通学路から見えたころ腸で飼ってたぎょう虫のこと

まず私の体験を詠んだ短歌からです。1首目は母の再婚相手について。働くのが嫌いで、政府や政治の悪口が大好きな彼は、当然お金儲けをしない、生活力の無い人でした。母の再婚後、私たち家族は貧困に苦しむことになります。彼のそばに寄ってくるのは同じようにぶらぶらしている中年男か、せいぜい蚊柱くらいでした、と言う話です。
2首目は私の子供時代、3首目は昭和の時代にあったギョウ虫検査を詠ってみました。いまはもうギョウ虫検査はないそうですね。

ヒッチコックの映画のような朝だった蝉が埋めゆく地平線ごと

ゴキブリが威風堂々登りゆく天井桟敷の赤きビロード
飛んできた虫を両手で叩いたらおおかた子持ちだろうな、彼女

次は半分フィクションの短歌です。最後の6首目は、私の同僚(二人の男の子のお母さん)が私の目の前で、飛んできた虫をバチンと挟んで殺してしまった一瞬を詠みました。明るくて快活な彼女と働くのはとても楽しいです。全国の働くお母さんも、がんばれ!応援しています。(終わり)

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