クリスの物語(改)Ⅱ 第四話 地底世界からの使者
クリスの話を聞き終えた紗奈は、その時のエメルアの感情を思い出して胸が熱くなった。それから、クリスと前世で婚約者だったことを思い出して頬を赤く染めた。クリスがその話を黙っていたのも分かった気がした。
しかし、だからといって地底人のクレアがなぜ今こうしてこの世界にやってきたのか、理解ができなかった。
「それで、その子は二千年も時を越えてまでしてわざわざクリスに会いに来たっていうの?」
クリスは首を傾げた。それは、クリスも疑問に思っていたことだ。
『そういえば、なんで今回クレアたちはこの地上へやってきたの?』
紗奈の質問を受けて、今度はクリスがクレアに聞いた。
すると、下方から車のエンジン音が聞こえてきた。お城の上から下を覗くと、くねくねとした一本道を1台の軽トラックが上がってくるのが見えた。
やばい。クリスは、とっさに身をかがめた。
クレアやドラゴンのラマルが、人に見られたりでもしたら大変なことになる。紗奈もクリスに倣ってその場にしゃがんだ。
『クレア、ラマルと一緒に隠れて!』
突っ立ったまま慌てる様子のないクレアに向かって、クリスが叫んだ。しかし、大型トラックのように巨大なラマルは身の隠しようがない。今からどこかへ飛んでいってもらうわけにもいかない。その方が余計に目立つ。
『ラマル!』
人間の姿に変身してもらえばいいんだ。そう思って、クリスが思念で呼びかけた。すると、ラマルはクリスに向かってパチクリと大きく瞬きをした。
『大丈夫だよ』と、クレアが言った。
『それに、ラマルにとって地上で人間の姿にシェイプシフトするのは、少しきついことなの。空気も汚れているし、太陽の光も強いから』
そうは言っても、やはりそのままの姿を見られるわけにはいかない。しかし、もはや手遅れだった。軽トラックはもう目と鼻の先までやって来ていた。
クリスは立ち上がり、どうやってごまかそうかと考えながら軽トラックに視線を注いだ。隣で紗奈も立ち上がった。
軽トラックには、中年の男がひとり乗っていた。クリスが散歩のときにたまに会う近所のおじさんだ。
お城の脇を通り過ぎるときに、軽トラックはスピードを緩めた。
「何も言わずに通り過ぎてくれますように」、というクリスの願いも虚しく、男は車を停めた。それから手を上げてクリスに笑いかけた。クリスは作り笑いを浮かべて、軽く会釈した。冷や汗が背中をつたった。
男は窓を下げると「やあ、こんにちは」と、挨拶をした。
「お散歩かい?今日はまた、ずいぶんとかわいいお嬢さんを連れているじゃないか。もしかして、ガールフレンドかな?」
にこやかな笑顔で男が視線を向けると、紗奈は小さく頭を下げた。話を長引かせたくなかったクリスは、特に弁解することなく黙っていた。
「そういえば、今日は卒業式だったんだろう?」
「あ、はい」
クリスがぺこっと頭を下げると、男は満足そうな笑みを浮かべて「青春だね」と言い、ひとり豪快に笑った。
「それじゃあ、よろしくやってくれ」
それだけ言い残すと、男は車を走らせ去っていった。
クリスは紗奈と顔を見合わせた。それからクレアの方を振り返ると、ほらね、というように目をつむって肩をすくめた。
でも、一体どうして・・・?
『わたしたちは、見える人にしか見えないの』
クリスの疑問に答えるように、クレアが言った。
『それには、いろんな要素があるのだけど、ひと言でいえば波長が合うか合わないかの違いね。先入観がない分、子供の方が波長が合いやすいのはたしかだけどね』
『ふーん』
しかしそうは言っても、これほど大きなラマルの姿に気づかない人がいるだなんて、とてもじゃないけどクリスには信じられなかった。クリスのそんな思いを読み取ったのか、クレアは首を振った。
『わたしたちみたいな存在は、いつだって地表世界のあらゆるところにいるんだよ。でも、クリスも今まで気づかなかったでしょう?』
クレアがそう言った矢先、“ティンカーベル”のような小さな妖精がきらきらと光を放ってクリスたちの目の前を通り過ぎた。ひらひらと蝶のように舞っていた妖精は、クリスたちの視線に気づくと猛スピードでどこかへ飛んでいってしまった。
クリスが紗奈に視線を向けると、紗奈はぽかんと口を開けたままゆっくりと首を振った。紗奈の言わんとすることはクリスにも分かった。これが現実だとは、到底受け入れられない。
ふたりのそんな思いを知ってか知らずか『そんなことより』と、クレアが言った。
『わたしたちが今回こうしてクリスに会いに来た理由だけど・・・』
そうだった。それを聞こうとしていたところで、軽トラックがやってきたのだった。クリスはクレアに向き直った。
『クリスがやっとわたしたちのことを思い出して、こうして知覚できるようになったからっていうのも理由のひとつではあるんだけど。でも、それは決して偶然じゃないと思ってるの』
『えっと・・・どういうこと?』
クレアの言わんとすることが分からず、クリスは聞き返した。
『つまり、時機が来たっていうことだよ』
『時機?時機って何の時機?』
『この地球が次元上昇を迎える時機。それを阻止しようと、いよいよ闇の勢力も本格的に動き出しているの』
次元上昇という言葉をクリスは聞いた覚えがあった。地底世界の図書館で、中央部から来たソレーテがそんなことを言っていた。地球が光のエネルギーへ立ち還るために、次の多次元へと移行するとかどうとかっていう話だ。
でも、それと前世の記憶を取り戻したこととが一体どう関係するのだろうか?
クリスの疑問を察したように『詳しいことはまたあとで話すけど』と、クレアは言った。それから横目で紗奈をちらっと見ると、思い切ったように言った。
『実はわたしたちが今回こうして会いにきた目的は、クリスを連れて帰ることなの』
え?
クリスは耳を疑った。
『迎えにきた?ぼくを?』
自分を指差して、クリスは聞き返した
『ぼくを地底世界に連れて行くっていうの?』
クレアは黙ってうなずいた。
『え、いつ?いま?』
クレアはまた大きくうなずいた。
『うん。できるだけ早い方がいい。さっきも言ったように、今闇の勢力も本格的に動き出しているの。それで、わたしたちの読みに間違いがなければ、あいつらはきっとまたクリスを利用しようとするはず。そうなる前に、あなたに地底世界に来てほしいの』
嘆願するような目でクレアはクリスを見つめた。しかしその口ぶりは、それはもう決定事項だから拒否することは許されないと言わんばかりだった。
しかし、そうは言ってもあの頃と今とでは時代も違えば状況も違う。自分はまだ子供だし、親だって心配する。それに何より、地底世界へ行く理由がない。
前世でエメルアを救おうとしたときのように、誰か大切な人の命が懸かっているというわけでもない。
そんなクリスの思いを読み取って、クレアは説得を続けた。
『あなたは今回、この地球にいるすべての生命を救うことになるかもしれないんだよ。地底世界だけじゃなく、あなたたちの住むこの地表世界も含めて、ね。それにここへは今とほぼ同時刻に戻ってこられるから、心配しないで大丈夫だよ。だって、向こうでは時間の経過がないでしょう?』
『そんなこと言われても・・・』
あまりにも急すぎて、心の準備をする暇もない。そんな責任重大な任務を突然告げられても、「はい、分かりました」と二つ返事で引き受けられるほどの正義感をクリスは持ち合わせていなかった。
どうすべきか分からず紗奈に救いを求めると、紗奈がクレアに疑問をぶつけた。
「話の内容が全然分からないんだけど。闇の勢力とか、次元上昇とか。クリスが地球の全生命を救うことになるっていうけど、一体どういうことなの?地球が滅亡するとでもいうの?」
クレアは肩をすくめた。
『黒いドラゴンの石が闇の勢力に渡ったら、そういうことになっちゃうよ、たぶん。だって、あいつらはあらゆる星の次元上昇を阻止して、その星を消滅させることが目的だもの』
「全然意味が分からない。大体、なんでクリスがそこに巻き込まれないといけないの?それに、クリスがそっちへ行ったところでどうなるっていうの?」
『だから、詳しいことはあとで話すって言ってるじゃない。それに、別にあなたに分かってもらう必要なんてないよ』
そう言われた紗奈はきっとクレアをにらみつけた。しかしそんなことは気にする様子もなく、クレアはゆっくりと瞬きをしてクリスに向き直った。
『とにかく、ここでこうしていても埒が明かない。どうかわたしと一緒に来てほしい』
ふわっと飛んでクリスの正面に立つと、クレアはクリスの手を取った。
『わたしは、あなたたちのことを思って言ってるんだよ。このままこっちにいたら、また闇の勢力に利用されるかもしれない。そうしたら、またエメルアの命も危険にさらすことになるかもしれないよ?あいつらは、目的のためには手段なんて選ばないんだから。実際にあのときエメルアがかかっていた病気も、あいつらの仕業かもしれないし・・・』
クリスはファロスとして生きた前世で恋人エメルアの病を治すため、黒いドラゴンの石を求めて地底世界へと導かれた。しかし結局、その石を手に入れたところでエメルアの病は治せないことが分かり、ファロスは地上へと戻ったのだった。
ではなぜ地底世界へ送られたのかと言えば、それはファロスを使ってドラゴンの石を手に入れようとする闇の勢力の操作によるものではないかというのが、地底都市セテオス中央部のソレーテの推論だった。
もしそうだとすればエメルアの病も闇の勢力によるものだというのは、あながち的外れな考えではない。
あれこれと思案するクリスの袖を、紗奈が引っ張った。
「ねぇ。その地底世界っていうところに行っても、時間が経たないっていうのは本当なの?」
「うん。本当だと思う」
前世で地底世界を訪れたときには実際にそうだった。時間の概念がないためにどれほどの時間滞在したのか分からないが、長い間滞在したのにも関わらず、戻ってきた時は行った時とほぼ同時刻だった。
『どれくらいそっちに行ってる必要があるの?』と、クレアに向かって紗奈が質問した。
紗奈のその質問を聞いて、クリスは紗奈を驚くように見た。紗奈も声に出さずに思念を飛ばしたからだ。驚くクリスに肩をすくめると、紗奈は再びクレアに視線を向けた。クレアは首を傾げた。
『どれくらいって、どういう意味?』
『だから、もしクリスが地底世界へ連れて行かれたとしたら、どれくらいの期間そっちにいないといけないのかっていう意味だよ』
紗奈のその説明を聞いて、クレアは組んだ腕に肘を載せて頬杖をついた。そしてそのポーズのまま少しの間黙り込んだ。
それから顔を上げると、クレアは言った。
『その質問って何か意味があるの?』
逆に聞き返された紗奈は、眉をひそめた。
『何言ってるの?意味あるに決まってるじゃない。地底世界へ行ってから、こっちへ戻ってくるのがいくら同時刻だとはいっても、どれくらいそこに留まる必要があるのかってやっぱり気になるでしょう?』
紗奈のその意見に対して、クレアはゆっくりと大きく首を振った。
『だからぁ、そもそも向こうには時間の概念というものがないの。時間がないのに、どれくらいって聞かれても答えようがないでしょう?何て答えればいいの?これくらいとでも言えばいいの?』
肩幅くらいに両手を広げてクレアが言った。
その説明に今度は紗奈が黙り込んだ。それから納得したようにうんうんとうなずくと、『わかった』と答えた。
『それで、そっちへ行ったら詳しく説明してくれるのね?』
クレアは訝しむように紗奈を見た。
『まぁ、それはそうだけど?』
クレアのその言葉を聞いて、紗奈は笑顔を見せた。
『だったら、わたしも連れて行って』
「え?」
思わずクリスは、声を上げた。
「紗奈ちゃんも、行くの?」
「ダメ?」
「いや、別にダメじゃないけど・・・」
「それとも、わたしが一緒だったら何か困ることでもあるの?」
困惑するクリスに、紗奈は詮索するような視線を向けた。クリスは首を振った。
「ううん。別にそんなことはないと思うよ。でも、何があるか分からないじゃない?ぼくだってまだ行くと決めたわけじゃないし・・・」
「いいじゃない。だって別に向こうへ行っても、時間が経たないっていうのでしょう?一体どういうことなのかわたしも状況がよく把握できないけど、とにかくそれについては向こうへ行ってから詳しい話を聞かせてもらえばいいんじゃない?でも、クリスひとりだけ行かせるのはやっぱり心配だし。それに、わたしがこっちへひとり残っていたらわたしだって危険な目に合うかもしれないっていうじゃない。だったら、わたしも一緒に行った方がお互いに安心でしょう?」
「うーん、まぁそうかもしれないけど・・・」
紗奈の思い切りのよさにクリスが圧倒されていると、傍らで見ていたクレアが首を振った。
『ダメだよ。あなたは連れて行けない』
クレアの思いがけない言葉に、紗奈はムッとした表情をした。
『なんでよ?』
『だって、中央部の許可が下りていないもの。実は今回わたしたちがクリスを呼びに来たのは、中央部の指示でもあるの』
胸の前で腕を組んでクレアは言った。
『クリスが黒いドラゴンの石のひとつを手に入れることのできる選ばれし者かどうか、それはまだ分からない。でも可能性としては大いにあるっていうことでね。でも、あなたのことは連れて来ていいとは言われていない。あなたが自力で地底世界へと通じる時空の狭間を見つけて、向こうの世界へと導かれたのなら話は別だけど』
「何それ・・・」
ふてくされるように唇を尖らせると、紗奈はぷいっと顔を背けた。
その状況に、クリスも何も言えずに黙り込んでいた。
すると、突然『いいじゃない』という声がどこからともなく聞こえてきた。クリスたちが一斉に後ろを振り返ると、ラマルの隣にもう一頭の巨大なドラゴンが降り立った。
全身を覆う白い鱗は、まるでシャボン玉のように七色に光を反射させ、頭部から首すじにかけて生える金のたてがみは、絹糸のように艶やかだった。
そのドラゴンは、ラマルよりもひと回り以上大きかった。
『エランドラ』
名前を呼んだクリスのことを、ドラゴンは大きな金色の瞳で見つめ返した。その瞳に見つめられてクリスは温かい気持ちになった。言葉を交わさなくとも、何もかもをエランドラは理解してくれているということが不思議とクリスには伝わってきた。
『もぉー。来なくていいって言ったでしょう?』
クリスとエランドラが見つめ合っていると、横からクレアが文句を言った。
『わたしが責任持ってクリスを連れて帰るっていう話をしたじゃない』
『そうね』
『だったらなんで来たの?わたしじゃクリスを説得できないとでも思ったの?』
『いいえ。そうじゃないわ』
エランドラは、大きな頭を小さく横に振った。
『ラマルひとりでは、三人も乗せて帰ることはできないでしょう?』
エランドラはそう言って、紗奈に視線を向けた。
ラマルよりも更に大きなドラゴンの登場に圧倒された紗奈は、エランドラの視線から逃れるようにおずおずとクリスの方へ顔を向けた。
そこでクリスは、紗奈にエランドラを紹介した。先ほど話した前世の夢に出てきた自分の守護ドラゴンであることを説明し、エランドラにも紗奈がエメルアの生まれ変わりであることを説明した。
クリスから紹介された紗奈は、エランドラに向かってためらいがちに会釈した。
『もしかして、エメルアも地底世界に連れて行くっていうの?』
クレアが紗奈とエランドラの自己紹介に分け入って、責めるような口調で確認した。エランドラは黙ってうなずいた。
『それは中央部の決定なの?』
『いいえ、そうじゃないわ』
『だったらなんで?だって、エメルアは関係ないじゃない』
『そうかしら?こうして彼女が今この場にいるということは、もはや関係ないとはいえないわ。そうであれば、彼女も連れて行くべきだと思わない?』
クレアは意味が分からないという顔をして、エランドラを見上げた。
『どうして?確かに、エメルアが今この場にいるというのは偶然じゃないかもしれないけど、だからといってなんで連れていく必要があるわけ?』
『今あなたがいった言葉の中に、その答えはあるわよ』
禅問答のようなエランドラのその返答に、クレアはいら立つように眉根を寄せた。
『彼女がこの場にいるのは偶然ではない。つまり、それは運命づけられているということよ。ファロスと時を同じくして、この時代のこの場所にこうしてエメルアも転生している。一緒に来てもらうのに、これ以上の理由があるかしら?彼女がわたしたちのことを知覚できている。それも偶然ではないわ。それに何より、彼女だって地底世界に行きたがっているじゃない。それを拒む理由なんてないでしょう?』
『でも、エメルアを連れて行ったところで、立入許可が下りないかもしれないじゃない』
エランドラから視線を外すと、ふてくされるようにクレアが言った。
『それは、わたしたちが決めることではないでしょう?それに、こういう状況で彼女を連れて行って、彼女だけ追い返されるなんて少し考えにくいと思うけど。むしろ歓迎されるのではないかしら?』
エランドラに視線を向けて肩で大きくため息をつくと、クレアは観念したようにうなずいた。
『クリス。そういうことであなたもいいわね?』
吸い込まれるような瞳でエランドラに見つめられ、クリスは思わずうなずいた。
この状況で行かないとは言えない。詳しい話は言ってから聞かせてもらおう。それに、今と同じ時間に帰ってこられるのなら特に問題はないだろう。タケシとの約束を思い出しながらクリスがそんなことを考えていると、ベベが尻尾を振ってクリスを見上げていた。
さすがにベベを連れて行くわけにはいかない。向こうへ行く前にベベを置きに帰らなければ。
すると、クリスのそんな思いを読み取ったように、ベベがぴょんぴょんと飛び跳ねてクリスの足にすがった。
『ぼくも行く!』
ん?クリスは耳を疑った。
今の声はもしかして・・・?
『足手まといになんかならないから。だから、ぼくも連れて行って!』
ベベはその場でくるりと回ると、訴えかけるようにクリスを見た。
『やっぱり!ベベが喋ったんだね!』
かがんで、クリスはベベを両手で持ち上げた。
初代のベベとは、ベベが死んだ後に一度向こうの世界で話したことがあった。そのときに、ベベはまた生まれ変わって会いに来ると約束した。だから今こうして目の前にいる。
もしかしたら、今回クレアたちがやって来たことでベベともまた波長があったのかもしれない。そう思ったクリスが振り返ってクレアを見ると、クレアは両手を広げて肩をすくめた。
『ベベも連れて行っていいかな?』
そう言って、クリスはベベをエランドラの前に掲げた。
『問題ないでしょう』
大きく瞬きをしてから、エランドラはそっとうなずいた。
『さぁ、それでは行きましょうか』
エランドラが呼びかけると「ちょっと待って」と、紗奈が言った。
「このまま、行くの?やっぱり着替えとか持っていきたいから、一度家に寄りたいのだけど」
紗奈のその意見にはクリスも賛成だった。何があるかも分からない冒険に、手ぶらで行くわけにもいかないだろう。
着替えも何も必要ないとクレアは言ったが、やっぱり準備させてほしいと説得してクリスたちは一度家に帰ることにした。
お読みいただき、ありがとうございます! 拙い文章ですが、お楽しみいただけたら幸いです。 これからもどうぞよろしくお願いします!