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#25 「プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本」

今回の読書録は「プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本

前回の#24に続き、プロジェクトマネジメントの本。
本屋でたまたま見つけて購入。

表紙を見て気づくように、Webディレクターである私にも関係の深そうなところがたくさんありそう。
と思いながら読み進めてみると、まさにその通りだった。

私の仕事に深く関わりそうなところを中心にまとめていく。


プロジェクトマネージャーはプロジェクトの成功を誰よりも考える

まず抑えておきたいポイントとして、プロジェクトマネージャーの使命は進捗や予算管理ではない

当然それらも重要な仕事。しかし、もっとも重要なミッション(使命)はあくまでプロジェクトの成功であると筆者は述べる。


というのも、進捗や予算管理はあくまでも局所的な仕事である。ここにフォーカスしすぎてしまうと、プロジェクト全体の状況が俯瞰できなくなってしまう。

また、プロジェクトというのは往々にして複雑で不確実で不安定なもの。そのようなものを取りまとめるためには、プロジェクトメンバーや関係各所と連携し、チームワークが適切に発揮できる人が必要になる。

つまりは全体を俯瞰して「優先して対処すべき物事はなにか」を判断する人が求められる。このような全体的な判断が下されるからこそ、各関係者やチームメンバーが自分の作業に集中し、協力して1つの目的に向かって進むことができる。

この話はディレクターにも通じるものがあると思った。
ディレクターにはさまざまな仕事が降りかかってくる。気を抜くとただの作業人や交通整備する人になってしまいかねない。

すべてはプロジェクトの成功のため。綺麗事に聞こえるかもしれないが、意識として常に頭の片隅に置いておいたほうが良さそう。

こうなると「このプロジェクトは何を持って成功とするか」という旗の立て方も重要になるね。

適切な文書化と共有が大切

プロジェクトマネージャーには最前線でプロジェクトを進めていく立場にある。さまざまなステークホルダー(利害関係者)や職能の異なるメンバーと共に歩んでいくためには、情報の適切な文書化と共有が大切である

例えば、議事録。

プロジェクトメンバーは必ずしも全員が全員参加できるとは限らない。重要な交渉ごとが限られた時間で、限定的なメンバーの中で行われることは少なくない。

よって誰が、いつ、何を言ったかを残し、プロジェクトメンバー全員の共有知とすることは非常に大事。当たり前だと思うかもしれないが、意外と議事録の中身がスカスカだったり、そもそも全員に共有されていなかったりすることはある。


人が怒る大きな理由の一つに「俺(私)は聞いてない」がある。一度でも相手にそういう思いを抱かせてしまうと、挽回するのはかなり難しい。特にクライアント側の経営層や意思決定者がこうなると、プロジェクト自体が破綻してしまうこともある。
そうならないためにも情報は適切に残し、適切に共有する。

また、そういった重要な交渉が、後で「やっぱりやめた」や「そんなことを言ったつもりはない」とひっくり返されることのないように、議事録はキチンと残しておく必要がある。

実際にプロジェクトで揉めて裁判になったときに、双方で議事録が適切に共有されていたことで会社が助かったというケースもあるそう。

議事録に限らずだが、とにかくプロジェクト内の情報は文書化し、共有しよう。

ガントチャートには気をつける

スケジュール管理でよく使われる「ガントチャート」。認知度も高いので使っている人も多いはず。私もよく使っている。

プロジェクトの全体像を把握するためには便利だが、使い方にはいくつか注意が必要。具体的には以下のポイント(欠点)がある。

  • それっぽいものを作って満足してしまう

  • 作ったはいいが、更新されなくなる

  • そもそも更新する手間が大きい

  • タスクの抜け漏れに気づきにくい


Webサイト制作もフェーズが進むごとに、リアルタイムで状況が変化していく。スプレッドシートなどで作った結果、変更管理に時間を取られすぎると本末転倒な結果になってしまう。

一方で発注側や上層部への報告の際にプロジェクトの現状がわかりやすく表現されているという点では有効に機能する。利点と欠点をキチンと意識して使うとよさそう。

「要求」と「要件」を切り分ける

個人的には特に刺さったお話。

要件定義でよくある失敗は、「発注者や意思決定者からの要求」と「プロジェクトの要件」を混同してしまうことだと筆者は述べる。これは私自身、肌身で感じている。

要求とは「実現したいこと」
要件とは「実現すべきこと」
この2つがごちゃ混ぜになると最悪の場合はトラブルに発展する。

クライアント側から「あれ、〇〇をお願いって言ったのにやってくれてないじゃん」と言われてしまう。これは要求と要件をキチンと切り分けていないことによる、双方の認識のズレから生まれる。

具体的にプロジェクトを進める際には、

  1. まずは、発注者や上司から「要求」を一通り聞く

  2. 具体的に検討を進め、プロジェクトの「要件」としてまとめる

このような手順で要求と要件を全員の共通認識とするのがよさそう。

まとめ方は、要求を「〇〇したい」、要件を「〇〇する」という表現にするとわかりやすい。
例えば「パソコンやスマホでもスムーズに見られるWebサイトにしたい」という要求は、「レスポンシブデザインにする」という要件になる。

Webディレクターとして、というより会社組織として、このあたりは丁寧にコミュニケーションしていきたいと思った。



以上、プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本の読書録でした。

前回の読書録でもプロジェクトマネジメントのスキルや考え方はディレクターにとっても必要だと書いたが、2冊読んでより強く思った。

気になった方はぜひお買い求めください。


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