#35 「非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術」
今回の読書録は「非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術」
タイトルの「非クリエイターのための」に惹かれて購入しました。私はいわゆるデザイナーやコピーライターのようなクリエイターではありません(クリエイターの定義は色々あるかと思いますが)。
なので「自分の手で生み出す創造物で世の中の課題を解決する」といったことはできないのですが、この本は非クリエイターがクリエイティブで課題を解決する術を教えてくれる1冊です。
私と同じような立場にいる方々に参考になりそうな部分をまとめてみます。
課題とは?
まずは抽象的なお話から。タイトルにもある「課題」とはなんでしょうか。
本の中では以下のように表現されていました。
「この商品を売りたい」
「職場環境を改善したい」
「新規事業を立ち上げたい」
こういった"あるべき姿"や"なりたい姿"と今の自分たち(現状)の間にある距離を解消するのがビジネスの課題解決であると著者は述べています。
この考え方は私がリクルートで営業をしていたときにも教え込まれました。まずはクライアントの現状と理想をヒアリングする。仮に今の売上が100万円で、理想の売上が200万円と聞けたならば「その差である100万円(課題)を埋める提案をさせてください」と展開するようにしていました。
このプロセスはどんな仕事でも応用できそうです。プロジェクト初期段階のヒアリングで今と理想の状況を聞く。そしてその間にある課題を解消することをゴールとすると、双方でブレのないお仕事になると思います。
言われてみれば当たり前なのですが、改めて自分の中で腹落ちできました。
課題解決のステップ
ビジネスにおける課題解決は、以下のプロセスからなると著者は述べています。
課題の本質を見つけ出す(探る、聞く、見る)
解決策の仮説を立てる(想像する、考える、生み出す)
解決策につなげる(動かす、選ぶ、伝える)
解決策の具体的実行(TVCM、他広告、イベント等)
書籍の中で触れられているのは1〜3の「ビジネスのクリエイティブ」で、4の「表現のクリエイティブ」は扱っていません。これは非クリエイターの領域(1〜3)がビジネスの課題解決の大半を占めていることの示唆でもあります。
確かに私のようなwebディレクターが1〜3の領域を担っていると考えても違和感ありませんでした。自分の仕事の流れや意味を再確認できた気がします。
書籍の中では1〜3の各ステップについて細かく解説されていました。もっと知りたいと思われた方はぜひ購入をご検討ください。
「誰が使ってくれたら一番うれしいか」を考える
これは上記のプロセスでいう2の仮説を立てるフェーズのお話です。
著者はクライアントと未来を描く(理想をすり合わせる、目標を決める)ときに「誰がこれを使ってくれたら一番うれしいですか?」と話し合うそうです。
その人が使っていることで、製品やサービスが一段と良く見えるようになる存在を想像する。知り合いでも世界のセレブでも誰でもOK。
とにかく「この人に使ってもらえたら成功だ」という人を想像してみる。いわゆるペルソナのようなものですね。
「ペルソナを決めましょう」といってもピンとこない人はいます。そんなときは「御社の製品やサービスを誰が使ってくれたら一番うれしいですか?」と聞いてみるといいかもしれませんね。
「一言で言えば、それって何?」を考える
これも2の仮説を立てるフェーズのお話です。
課題の解決策を考えるときに、著者はクライアントのサービスや商品の存在意義や価値を定義するそうです。この工程を「タグラインをつける」と呼んでいます。
タグラインとは
ターゲットにとっての便益が理解できるもの
ターゲットがありがたいと考えること
ポンと腹落ちできるもの
つまり「一言で言えば、それって何?」へのアンサーです。
タグラインがプロジェクトでバシッと決まると、その後の表現のクリエイティブ(キャッチコピーやビジュアル)も納得感のあるものになります。
コンセプトワードの重要性
先ほどのタグラインは「製品・サービスを一言で表すと?」でしたが、著者はもう一つコンセプトワードの作成を推奨しています。
コンセプトワードとは「プロジェクトの方向性を定めるスローガン」です。メンバー全員が「自分たちはこのプロジェクトでここを目指そう」と思える北極星のようなものです。プロジェクトにおける1つの旗印となり、コミュニケーションの齟齬や工程の後戻りを減らすことが期待されます。
これはwebサイト制作でも応用できると思いますし、私自身もコンセプトワードに近いものを決めてうまくいった経験があります。
ワイヤーフレームやデザイン、コーディングといった表層的な制作プロセスの前に、クライアントとプロジェクトのコンセプトワードを作って合意する。ブレのないプロジェクト進行に欠かせない要素だと思います。
以上、非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術の読書録でした。
これまではクリエイティブの話=デザインやライティング、エンジニアリングの領域と思っていましたが、表層的なアウトプットに至るまでのプロセスがいかに大切かを学び直しました。
書籍の中では著者が携わった具体的な事例を交えた説明もあります。非クリエイターでクリエイティブによる課題解決に興味のある方はぜひご一読ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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