第80号 非侵襲神経データからその人が聞いている&頭の中で思い浮かべている言葉を読み取ることに成功、論文管理の先日のツイートへの質問
// 2023年5月14日 第80号
// 1. 今週の注目ニュース:非侵襲神経データからその人が聞いている&頭の中で思い浮かべている言葉を読み取ることに成功
// 2. 質問コーナー:論文管理の先日のツイートへの質問
こんにちは、東京大学で医師かつ脳や人工知能の研究をしている紺野大地です。
自分のnote記事で最も読まれている『脳神経・神経科学入門ガイド』を更新しました。
特に、
・論文の読み方
・研究のためのプログラミングの学び始め方
・おすすめTwitterユーザー
についての最新情報を追加したので、ぜひご覧ください😊
では、今回も始めていきましょう!
1. 今週の注目ニュース:非侵襲神経データからその人が聞いている&頭の中で思い浮かべている言葉を読み取ることに成功
今回取り上げるのは、
「fMRI(functional Magnetic Resonance Imaging、磁気共鳴機能画像法)データからその人が耳にしている&頭の中で思い浮かべている言葉を読み取るBrain Machine Interface(BMI)の構築に成功した」という論文です。
fMRIという非侵襲データからある程度の情報を読み取れる点は素晴らしい一方で、 精度面でまだまだ改善の余地が大きい、というのが率直な印象です。
とはいえ、非侵襲神経データを用いた「脳情報の読み取り」はブレインテックが普及するための悲願でもあります。
以下で具体的な内容を見ていきましょう。
背景
「神経活動から思い浮かべていることを読み取る」という研究は、近年大きな発展を見せてきました。
これまでもBrainTech Reviewではそのような研究を複数扱っており、代表的な研究として侵襲型は第8号で、非侵襲型は第56号で扱いました。
侵襲型
非侵襲型
侵襲的手法の方が脳情報の読み取りの精度は高くなりますが、一方で侵襲的手法がすぐに一般人に普及する可能性はほぼゼロであり、非侵襲データを用いた研究も非常に重要です。
ただし、非侵襲神経データは時空間解像度の悪さやノイズの大きさから読み取りは非常に困難であり、実用に足るレベルの方法は存在しない、という状況が長らく続いていました。
そんな中発表されたのが上記のMeta社の研究や今回紹介する研究であり、Meta社の研究では頭皮上脳波(EEG)と脳磁図(MEG)を、今回の研究ではfMRIを用いたBrain Machine Interfaecに挑戦しています。
具体的にどのような手法を採用し、どういう結果が得られたのでしょうか?
以下でまず手法を見ていきましょう。
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