見出し画像

従業員生涯価値から考えるエンジニア採用と開発生産性

今回は「従業員(エンジニア)の生涯価値、ひいては市場価値はいかに上げていくか?」について最近考えていることを雑に記事にしてみます。


はじめに

今回、従業員生涯価値をテーマにした背景は大きく以下3つです。

・ヒトの価値を可視化し、開示することがステークホルダーの関心事になっている(価値の可視化ニーズ)
・売り手市場の需給バランスでエンジニアの価値が上がっている(価値の向上ニーズ)
・開発における生産性の可視化のニーズが強まっている(価値の可視化・向上ニーズ)

人的資本開示の義務化と取り組み増加

世界的に人的資本経営が注目されており、国内でも人的資本開示が一部の項目で義務化されました。

ISOに準拠した人的資本開示をする企業も増えています。

大手中心にその動きはどんどんと加速しています。

SHIFTは、のちほど紹介するELTVの観点でIR資料に人的資本開示をしており、参考になります。

→ヒトの価値を可視化し、開示することがステークホルダーの関心事になっている(価値の可視化)

エンジニア採用の激化

エンジニア採用市場も激化し、それに伴ってエンジニアの市場価値は上がっている現状です(23年7月時点)。所属企業に身を置くことがエンジニア自身の価値向上につながるか?は非常に重要になると考えます。

→売り手市場の需給バランスでエンジニアの価値が上がっている(価値の向上)

開発生産性への注目

こちらの記事にもありますが、開発生産性の可視化などが昨今かなり強まっています。開発のアウトプットやアウトカム(価値)の可視化や向上に注目が集まっています。

  • もともと高かった開発生産性可視化と継続的な改善へのニーズ

  • エンジニア組織への投資規模が拡大。経営陣・投資家などもステークホルダーの開発生産性への興味が高まる

    • SaaSなどエンジニアリングが事業の根幹をなす企業は特に開発効率に関心が高まっている(開発効率がバリエーションに寄与)

  • Four Keysの発表などから開発生産性の可視化に注目が集まる

    • 23年7月に弊社主催で開催した『開発生産性』をテーマでは初の大規模カンファレンスには1600名以上の方にご参加いただくほどの注目度の高さがありました

→開発における生産性の可視化のニーズが強まっている(価値の可視化・向上)

人的資本(今回はエンジニアにフォーカス)の価値の可視化・向上ニーズは強く、それを考えるための概念の一つが従業員生涯価値(ELTV)だと考えます。

従業員生涯価値(ELTV)とは

従業員生涯価値=Employee Lifetime Value(以下ELTV)は、従業員が組織にもたらす長期にわたる正味価値の合計を表したものになります。
ELTV を使用すると、従業員のライフサイクルのさまざまな時点で時間とリソースを投資することで、組織に測定可能な大きな利益がもたらされることを説明できるとされています。
以下のグラフは、X 軸は時間、Y 軸は「アウトプット」として、従業員のライフサイクルの観点から ELTV を示しています。

https://www.greenhouse.com/blog/the-impact-of-people-operations-on-employee-lifetime-value

ELTVの算出方法

以下が算出式です。

従業員生涯価値(ELTV)=従業員のアウトプット/アウトカム × 勤続年数

ELTVを高めるにはグラフの面積を広げることが大事。今回はELTVを高める要素を3つに簡素化して考えてみます(3つの矢印)。

ELTVを高める

ELTVを高める構成要素

ELTVを高めるためには以下3つを押さえる必要があります。

入社〜オンボーディングの短縮化
エンジニアが入社してから、一定自立自走してアウトプットが出せるまでの期間を早めること

アウトプット/アウトカム最大化
エンジニア個人が出せる(あるいは組織に寄与する)アウトプット/アウトカムを最大化すること

リテンション〜退職の長期化
退職までの意思決定の期間を長期化させるためにエンジニアのリテンション(定着)を促すこと

従業員生涯価値(ELTV)から考えるエンジニア採用と開発生産性

上記3つのELTVを高める観点として、エンジニア採用と開発生産性における打ち手について考えたいと思います(その他さまざまな打ち手が考えられますが、今回はその2つにフォーカスします)。

エンジニア採用と開発生産性

エンジニア採用強化

入社〜オンボーディングの短縮化おいては、人事の観点で短期で成果創出に寄与するハイスキルなエンジニア採用の強化と教育(こちらも受け入れたエンジニアを教育するミドルマネジメントの採用が結局のところ必要になる)などが重要

開発生産性

アウトプット/アウトカム最大化と継続・リテンション〜退職の長期化においては、開発生産性の可視化・向上や後ほど記述する開発者体験が重要

Findyでは『ハイスキルエンジニアのダイレクトリクルーティングサービス』と『開発生産性の可視化や開発者体験向上を支援するサービス』を提供していたりします。

候補者と従業員への価値を高める候補者体験と開発者体験

採用と開発生産性によりELTVを高めるために、さらに掘り下げると、1.開発者体験を考え、2.開発者体験を候補者へ訴求するとともに採用手法・選考プロセスを候補者にマッチした体験に設計(候補者体験の設計)することが重要かと考えます。

開発者体験と候補者体験

1.開発生産性や開発者体験を考える(従業員への価値提供)

  • 開発生産性以外にも事業収益性、従業員満足度(文化・働き方・開発環境など)、社会貢献性、など開発者にとって魅力ある要素を体験価値(開発者体験)として提供することが重要

    • 開発生産性においては、営業が一人あたり売上・受注数を追うのと同様に、開発者は機能リリースに寄与するアウトプットであるデプロイやプルリクエスト数を生産性として可視化・向上するケースは多い

弊社では1日1人あたり2~3プルリクをアウトプット目標として取り組んでいます

2.候補者体験を設計する(候補者への価値提供)

  • エンジニア採用は募集段階から採用が始まっているわけではなく、マーケットの候補者(転職潜在層)に対して、日頃から自社の開発者体験(開発生産性など)を伝えて、認知や興味をもってもらえる設計も重要

    • 応募してからの選考プロセスにおける体験はもちろん重要

    • グローバルのエンジニア採用でも同様のことが言えます

人的資本ROI

今回は「従業員がもたらす価値』のみに言及していますが、本来は『価値発揮のための投資コスト』を勘案する必要がありそうです。
投資したコストに対する事業売上に紐づくアウトカムが、収益に資する本来価値と言えそうです。

人的資本ROI

費用はエンジニアを採用した段階で投下した採用コストと人件費や開発費など、アウトプット/アウトカム創出に必要な財務コストがあげられます。
このコストをいかに適切にするかも大切です。

収益に資するエンジニアのアウトプット/アウトカムをファイナンス観点で、何を置くかはまだ整理できていません(営業なら売上というわかりやすい指標を用いることができる)。
しかし、収益に資する指標を定義することで、どの時点で事業に本来価値をもたらすのかの分岐点(投資の回収期間)も計算できそうです。SHIFTの事例などはまさにそうした事例です(再掲)

まとめ

企業がエンジニアの生涯価値を高める2つの打ち手としてエンジニア採用強化と開発生産性を取り上げ、それらを考えるうえで重要な概念としての候補者体験と開発者体験について投稿や記事をもとに雑多に書いてみました(とりあえず書いた感じなので、あとで推敲したい気持ち)。
今回記載した内容はエンジニアのみに限らないことではありますが、はじめにで言及した背景によりエンジニアにフォーカスした内容で記載しました

以上、いかがでしたでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ご意見・ご感想などお待ちしております!(お気軽にDMなどぜひです!)

参考


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?