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開発者体験への投資と発信について

こんにちは、@dai___youです。
先日以下の記事を拝見しまして、大変興味深く、また共感する点が多かったので、本記事を書いています。

はじめに

私はFindyというエンジニア領域を軸とした事業を展開している会社でFindy TeamsというプロダクトのセールスやCSをしています。
日々、エンジニア採用およびエンジニア組織周りでのお困りごとを、様々な企業様からお伺いする中で、上記記事に関して共感した点・また思ったことを書いていきたいと思います。

エンジニア採用における企業努力

採用においては、大企業や著名なサービスをもつ企業、広告でかっこいいイメージを拡散できる企業が強い・・・という印象を捨てきるのは難しいかと思います。
とはいえ、上記以外の企業に勝ち筋がないかと言うとそうでもない、というのはあるのかなと思いました。

「うちは○○だから、ブランディングや採用が難しい」と諦めず、地道に努力し改善する企業には、結果もきちんと付いてくる

今回のブランディングレポートの企業をみても、LayerXさん・アンドパッドさんのようなBtoB SaaSスタートアップ企業がランクインしており、決して候補者が”直に”接点を持っているとは言い難い企業もあります。
それらに共通しているのは、”開発、またそれ以外の事業活動における取り組みとその発信”です。

エンジニアの候補者が求めているもの

BuySell Technologies今村さんの以下コメントでもある通り、候補者は一緒に働くヒト(実際に働いている中のヒトの声)・実務/現場レベルでの解像度をあげたい、と考えていると想像します。

“現場エンジニアのテックブログ”などは、我々が今何に注力しているかを理解したうえで志望してくださる方も多く、生の情報として候補者さんたちに役立てていただけている

企業の中のヒトがどういう考えで、どういう取り組みをしているのか、また企業はどのような方向性を目指しているのか、の解像度によって、キャリアの合致度(スキルアップが見込めるか、その先に自身の市場価値が上がり、年収アップすることができるか、そもそも自身がやっていきたいこと・実現したいことにビジョンや事業が合致しているか等)の判断要素になるからです。
それらが実際に働く個人からの生の情報として候補者がキャッチアップできるとよい働くイメージはつきやすいと思いました。

エンジニア採用広報における「指標がない」という共通課題

今回のブランディングのレポートやDX Criteria同様、一定”目指すべきもの”がなければ、課題が見えづらく、それに対する打ち手・アクションを起こすことが難しかったりします。

日本全体で採用力、そして実際の開発者体験を向上していくためにも「開発者体験の発信や、エンジニアの採用広報活動における『羅針盤』」が必須

何かしらの方向性を指し示す『羅針盤』、目指すべきものがあると、そこへ向かう課題・アクションが見えやすいです。
今回のレポートのようなものが、採用やエンジニア組織周りでアクションが見えづらく困っている企業の羅針盤として果たす役割は大きい気がします。

先ほど取り上げたBtoB SaaSスタートアップ企業、またその他ランクイン企業においても、発信や採用広報活動は積極的に実施されている印象ですし、ランキング形式とはいえ定量化されて明確に指標が示されているのは、何もないよりかは分かりやすい気がしています。

開発者体験に関する発信の課題

ここからは開発者体験に関する取り組みや発信の具体に関しても触れていきます。
採用広報の文脈で候補者に訴求すると良さそうな発信内容はどのようなものか、を考えてみたいと思います。
以下ツイートは、以前広木さんの登壇されたセミナー内容のサマリのようなものになるのですが、とりわけ採用に効いてくるのは、組織文化生産性の大きく2つです。

この2つは簡単に言うと、1.組織文化≒定性情報2.生産性≒定量情報と捉えてもよいかもしれません。

  1. 定性情報は組織的な組織としての考えや組織的な取り組みそのもののこと

  2. 定量情報はその取り組みなどを通した数値的に計算しうる投資対効果のこと

と解釈しています。

候補者に対しては、働くヒトや現場の解像度を上げることが大事なのではないか、とあげましたが、"この候補者と企業との1.定性情報と2.定量情報の情報の非対称性をいかに抑制していくか"がかなり重要になりそうだと感じています。

上記に基づいて、1.組織文化≒定性情報においては、組織の考えや取り組みなどを発信し、社内外に組織に根付いた文化的側面をアピールする会社はどんどん増えてきている印象があります。
例えば、開発組織の目指す姿、開発における技術的な取り組み、また最近で言うとリモートワーク環境下における働き方などに関する記事などはよく目にする機会が増えています。

一方で、2.生産性≒定量情報においては、ここでもう一つ今回のブランディングとは別軸で、開発生産性を示す『指標がない』という共通課題に直面するケースが多かったりします。

生産性という文脈における『羅針盤』がなく、どのような指標があるのかがわからない、また指標は知っているがどういう風に訴求すればいいのかわからない(候補者に伝えればいいのかわからない)という2つのレイヤーの課題があるケースが多いかなと思います。

開発生産性においてどのような指標があるのかがわからない

まず、そもそも開発生産性を伝えられる状態にしていく重要性について考えると、大きく2つの理由があると思われます。

  1. 企業視点で定量的なファクトは、情報の非対称性を埋める根拠としての納得感を高め、組織の生のデータを通してリアルな情報として伝えられる

  2. 候補者視点で定量的なデータリテラシーが高まっており、関心度が高い領域でもある

1.企業視点での定量的なファクトについては、定量化・可視化された情報をもとに、現在体感されている組織状況のリアルをお伝えすることで、候補者との課題共有や目線合わせをすることが可能になります。

2.候補者視点の定量的なデータリテラシーが高まりついては、例えば、候補者から「御社のデプロイ・リリースの頻度はどれくらいですか?」あるいは「開発のスピード感(具体的に言うとプルリクのマージ速度やレビュー速度等)を気にされる候補者もいるような状況です。
ここには顧客への価値提供スピードがプロダクトへの素早いフィードバックにつながり、自身の改善に繋がる、あるいは自身の書いたコードが素早くレビュー・フィードバック頂けることで成長に改善に繋がるなどがあるかなと思います。
これは優秀なエンジニアほど顕著である印象で、生産性のいい組織には優秀なエンジニアが集まりやすいというのはありそうです(以下、LayerX福島さんstand.fm関連ツイート:個人のエンジニアが開発速度を上げるには)。

優秀なエンジニアほど、優秀なエンジニアのもと、生産性の高い組織で働きたい、と考えているのでは、と思われます。

開発生産性を伝えられることの重要性について前置きが長くなりましたが、この指標がわからないケースにおいては、Four Keysをもとに自社の開発生産性のパフォーマンスの測定を取り組む企業は出てきております。開発生産性といえば、Four Keysという業界内でのディファクトスタンダードが浸透しつつあるような印象を受けます(Four  Keysに関しては以下の記事をご参考にください)。

リリース頻度やリリースまでのリードタイム、またバグ発生率やバグ修復までのリードタイムを計測することで、自社の開発組織の生産性やパフォーマンスの現在地を定量化して、社内外に伝えようとする取り組みが主になります。

また、Four Keysに関連するような、そのほかの各種指標で言うと、エビデンスベースドマネジメントガイド (以下、EBM)と呼ばれるエンジニア組織の意図的な実験とエビデンス(指標)に基づいた開発改善フレームワークも取り上げられたりします。

▼エビデンスベースドマネジメント(EBM)ガイド
https://scrumorg-website-prod.s3.amazonaws.com/drupal/2021-02/2020-EBM-Guide-Japanese.pdf

上記EBMガイドp13-16に出てくるような開発生産性の指標を計測し(このあたりはめちゃ参考になりますのでご覧ください)、伝えられる状態・発信できる状態を整えている先進的な企業も、まだまだ日本では数は多くはないものの増えてきていたりします。

定量指標を通した取り組みを候補者にどう伝えればいいのかわからない

では、上記のような指標を用いて、どのように候補者に伝えていけばいいのかという点について書いていきたいと思います。

先ほどのFour Keysで言うと、リクルートさんは以下のようにFour Keysをもとに自社開発組織のパフォーマンスを測定・発信したり、

アンドパッドさんでいうと、定量的な指標はリードタイムを起点とし(定性情報は併せて観察しつつ)、生産性改善の取り組みとその効果ををもとに振り返ったインタビューなどをSELECKさんの記事より公開されています。

また、ZOZOさんはコードレビューに着目して、定量指標をウォッチすることで、組織全体のパフォーマンス向上の取り組みを行っていたりします。
レビューに関しては優秀なエンジニアから待ちが少なくレビュー・フィードバックもらえる環境はかなりの成長機会になる、と考えていらっしゃる方もいらっしゃるようです(先ほどのL ayerX福島さんのstand.fmにもあった通りです)。

上記のように開発生産性のおける定量的な指標を通して、開発者体験への投資、また候補者に対する発信によるブランディング(認知・好感)に繋げ、採用強化に活かしていく企業は、しっかりと結果はついてきていそうな印象です。

結論、自社の取り組みを社内にとどめることなく、地道に対外的にもアウトプットすることで、結果採用にも効いてくるということなのかなと思いました。

本記事が少しでもお役に立てるようなものになっておりましたら幸いです。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

ではでは:)

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