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相続土地国庫帰属法の概要が見えてきた

━ 土地を手放す方法 相続土地国庫帰属法の負担金が判明?  ━

【はじめに】

山

令和5年4月27日の相続土地国庫帰属法の施行日が近づいてきました。

本年8月5日に法務省民事局から法律の細部(同法政令案)が公開され、その案に対する意見募集(パブリックコメント)が9月4日に締切られました。

法務省から、どのような案が提示されたのか、見ていきましょう。


■政令案でほぼ決まりなのか?

 まず、この公開された案でほぼ決まりなのかという疑問がありますが、過去にパブリックコメントによって大きく修正されたことはないそうですので、ほぼこのとおりの内容になるものと思われます。

 なお、この政令案でも、帰属申請の前提として相続登記が必要であるのか、測量の程度、境界がどの程度明示されていればよいのかなど、曖昧な部分がすべてが明確になったわけではありません。あとは法務省令・通達に委ねられるものと考えられます。

■国に帰属させることができない土地の条件

 法律で定められていた帰属できない土地の条件のうち、政令に委ねられていた部分が明らかになりました。代表的なものは次のとおりです。


・他人による使用が予定される土地

丸山先生記事挿絵

⇒墓地、境内地、現に通路・水道用地・用悪水路・ため池の用に供されている土地


・崖の基準

⇒勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの


・隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができないとき

⇒隣接所有者等によって通行が現に妨害されている土地

⇒隣接所有者等によって通行が現に妨害されている土地

⇒所有権に基づく使用収益が現に妨害されている土地


・その他の通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地

 ⇒土砂崩落、地割れなどに起因する災害による被害の発生防止のため、土地の現状に変更を加える措置を講ずる必要がある土地(軽微なものを除く)

 ⇒鳥獣や病害虫などにより、当該土地又は周辺の土地に存する人の生命若しくは身体、農産物又は樹木に被害が生じ、又は生ずるおそれがある土地(軽微なものを除く)

 ⇒適切な造林・間伐・保育が実施されておらず、国による整備が追加的に必要な森林(軽微なものを除く)

 ⇒国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき負担する土地

 ⇒国庫に帰属したことに伴い、法令の規定に基づき承認申請者の金銭債務を国が承継する土地


■負担金

前納しなければならない負担金について、細分化された表が政令案にありますが、読み取りづらいので簡略化してみました。試しに計算したところ、以前から予想されていた国有地の10年分の管理費とほぼ同額でした。

①宅地(市街地にあるもの)

50㎡超から100㎡以下 地積 ☓ 2,720円/㎡ + 276,000円

100㎡超から200㎡以下 地積 ☓ 2,450円/㎡ + 303,000円

 

②田畑(農用地区域にあるもの)

250㎡超から500㎡以下 地積 ☓ 850円/㎡ + 298,000円

500㎡超から1000㎡以下 地積 ☓ 810円/㎡ + 318,000円

 

③森林

750㎡超から1500㎡以下 地積 ☓ 24円/㎡ + 237,000円

1500㎡超から3000㎡以下 地積 ☓ 17円/㎡ + 248,000円

 

④ ①~③以外であれば、地積にかかわらず一筆20万円

森1

 市街地と森林では費用に大きな差が設けられていますね。市街地の宅地が高く設定されているのは、第三者に占拠されたり、ゴミ捨て場にならないように頻繁に巡回が必要なせいでしょうか。


あと、審査手数料が明らかになっていません。あと、半年ほどに迫ってきた相続土地国庫帰属法の施行日。さらなる情報が明らかになれば、ここで配信させていただきます。

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【おわりに】

最後までご覧頂きありがとうございます。

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司法書士法人第一事務所

司法書士 丸山寛隆(札幌司法書士会所属 登録番号 第877号)



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