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エモくてモロい存在な私たち人間による地球活劇

以下の本を読了しましたが、ホーキング博士半端ないって。最高です。

ブラックホールの研究などの宇宙論や、その研究と原理開発に多大なる貢献をした、誰でも知っているであろう今は亡きおじいさま。
その名も、「スティーブン・ホーキング」。
私自身は宇宙に関する話は興味があっても、まっっっったく知識のない人間なので、本を読んでる最中は「難しいな~」と思う部分もありました。しかしながら、恐らく、かなーり分かりやすく配慮して書かれていることが伺えます。ホーキング博士の性格が反映されたような、温かみのある文章で構成されています。

科学に興味を持て

「科学に興味なし」ではすまされない。

ホーキング、かく語りき。
若い世代、とくにデジタルネイティブ世代に関しては、科学に興味がないという状況は危ういと言います。それはなぜか?
現在人類の「進化」についてはDNAの進化をこえて、外的要因がおいつけおいこせとと競争している段階です。たとえば、AIを代表とするテクノロジーがあると思います。また、人類が思考を繰り返し、文章化した書籍の数は計り知れないというのは、容易に想像がつきますよね。まさにその情報量とその進化スピードはDNAを凌駕していると言います。
そんな世界で暮らしているのが私たちなのですよ?そりゃあ、身の回りにある科学やテクノロジーに興味を持たないと、日々に取り残されてしまうでしょう、ということです。


祖先は遠い過去(宇宙の歴史から見たら耳くそみたいなもんだけど)、くらーい洞窟のなかで雨風をしのぎ、火を発見するものの多くの失敗を繰り返してきました。
長い目で見ると、科学とテクノロジーも成功と失敗の連続なのかもしれません。しかし、それは全人類によって、ようするに人類全員参加で最高のものに成し遂げていくべきではないか、とホーキングおじさんは言います。もっと簡単に言えば、みんなで幸せになるべきだ!ということです。
そのためには、まず、全員が興味を持つことが大前提ですよね。今の教育に、その興味関心を引き立てる役の「(いろいろな意味での)先生(といえる何か)」は、果たして今のままで十分といえるのか?先生の役割は、人類にとってものすごく大きいんです。
優しいおじさんホーキング博士すてきです。

宇宙は無料

宇宙はただで手に入る。

無料で手に入るのです。私たちは無料で宇宙を手にすることが出来る、という推測を得ているとのことです。どういうことか?
宇宙は「巨大な貯蔵装置」のようにふるまうと言います。それはどういうことかというと…

いま私たちがいる銀河星団は、宇宙が広がる際に、ほかよりもちょっと密度が高い領域だった。
他の場所よりも物質割合が多いから、重力も他よりも強い。
そうすると、膨張は徐々に減少して、停止する、そのあとにその領域は収縮して、やがて銀河や星が生まれた。
それが私たちの住む、銀河1丁目地球。

そんな宇宙や地球が無償で手に入るはずがないと、まぁ、何となくそう思ってしまいますよね。
この有償に見える、銀河や地球、ひいては宇宙というのは、質量とエネルギーを持つのようなもので、そのほかを占める空間はまさに、その丘を作るために掘り起こしたのようなもの、だという。
ということは、宇宙は全部足し上げると「無」になるといいます。

よく宇宙の創造主に「神」を持ち上げて出演させることがありますが、もはやそんなものは必要がないということになります。なんせ「無」ですし。「無料」なんですね、宇宙は。
宇宙を統べる統一的な理論があるとすれば、その理論法則に関しては「神」は干渉していないことになります。宇宙の起源であるビックバン(ブラックホール)の中にもある法則が成り立ちますが、その中には時間が存在していないことが分かっています。創造主を想像するための「過去」という時間的空想旅行ができないのであれば、そこには法則を無視した神は存在しないし、無意味である、ということですね。

博士は、「宇宙を創ったものは存在しない」といいます。
それは、人間が死後を想像して希望的観測に浸る行為には、なんら信頼がない、という意味になります。
天国も地獄も、何にも存在しない。人間はただ、元素に戻り、宇宙の輪廻に回帰するだけ。そうだといいます。
私個人的には、死んだあとは悠々自適に暮らしていこーとおもっていたので、物凄くショックです、こわい。死ぬの怖い。

人間原理

「なぜ宇宙はこのような宇宙なのか?」
という問いを発することができる人間が、現にこうして存在しているという事実が、私たちの生きる歴史に制約を課すのだ。

これは「人間原理」という、宇宙論において、宇宙の構造の理由を人間の存在に求める考え方。

身近なことに置き換えて考えてみると、「年収」、がわかりやすいかもしれません。
たとえば、その年収によって、自分の世界をいかようにも作ることができると思います。そして、その年収には人によって差がある。見たり経験したりできる世界にも、差が生まれてくる。その見聞きする世界を基準に、人は「なぜ?」と問を生むことが出来ますが、その問いに関しても人によって差(量と質どちらも)が生まれてきます。
人間にとって「問い」は他の動物にはない特徴的な思考。その「問い」に差が生まれることは、もちろん様々な制約に繋がってしまうことでしょう。それが当たり前になった瞬間、「人間原理」ができあがります。

私たちがみる世界は、私たちが今まで見てきたようでないといけない。
私たちがみる宇宙は、私たちが今まで見てきたようでないといけない。

ものすんごい低い確率でうまれたこの地球、そして人間である私たち。
宇宙はものすごく広い。その広さは、近所の太陽系の恒星たちを行き来することでさえ寿命のうちには到底かなわないことから、気づくことが出来る。そして、その私たちがみる世界、地球や宇宙は、私たちと共にあるような、低い確率で共存してきた景色なのだと気づく。そう観測すると、その宇宙を観測できるのは勿論であるのと同時に、もし観測できないのであれば、その実際に観測をする私たち人間も存在していなかった、ということになる。

要するに、人間ってもんのすごく、尊い存在、エモくてモロい存在なんだなって、きゅんとすることもできちゃいますよね。

なにごとにも関心をもつ

科学に興味を持ちなさい!と、ホーキングおじさんに叱咤激励された自分。
新世界を夢見て大陸を開拓していったコロンブスのように、人間が何年も生きながらえるためには、宇宙に進出して植民地を探すほかないと、博士は言います。
「そうなのか…もっとほかの道はないのか…」と、正直おもいました。
博士は、人工知能などのテクノロジーの成長によっても、地球で暮らせる術はあると論じていますが、すでにすべての生物を絶滅させることのできる兵器が存在している限り、地球に留まることは現実的ではないと言います。

ちょっとすべての話がSFのように聞こえて、現実味がないのですが、私たちの身近な生活に対しても言えることかもしれません。

科学に興味をもって、夢を見ること、その後に想像や妄想をすること、そして問いをうむこと、そして何かを創造して人類が進歩していくこと。

すべては「興味」をもつことから、ですよね。
私的地球活劇、私も始めてみたいと思います。

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