DaCapoのヤマト考察部

宇宙戦艦ヤマトの考察と2次創作小説を投稿していきます。 比較的長尺の文章になると思いま…

DaCapoのヤマト考察部

宇宙戦艦ヤマトの考察と2次創作小説を投稿していきます。 比較的長尺の文章になると思いますので、お時間のあるときにどうぞ。

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  • 【ヤマト2202創作小説】新訳・土星沖海戦

    『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』をベースに、様々な設定や個人的嗜好を組み込んだ2次創作小説になります。お時間があるときにご覧いただければ幸いです。

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【ヤマト2202創作小説】新訳・土星沖海戦 第0話

はじめに 本作は『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第17・18話の土星沖海戦を、様々な資料や筆者の私的嗜好によって再構成された作品です。劇中設定と異なる描写が多々あります。また今後発表される『小説 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」と酷似するストーリーになる可能性もございます。予めご了承の上、読んでいただければ幸いです。 【主な参考文献】 ・福井晴敏、岡秀樹 2019『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 全記録集シナリオ編』KADOKAWA. ・皆川ゆか、福井

    • 【ヤマト2202創作小説】新訳・土星沖海戦 第7話

      西暦2203年5月8日 1時02分 <冥王星・カロン駐留基地上空> ー第12航空隊、敵前衛部隊と接敵。続けて第36、24航空隊、交戦開始。 ー未確認小型艦、撃沈。周囲に同艦影なし。我が方の損害軽微。 ー波動防壁の損耗を抑えろ!決戦に備えて貯めておけよ!  無線越しに聞こえる戦いの様子。土星に現れたガトランティス艦隊に主隊(山南艦隊)が善戦しているようだ。異星文明相手に対等に戦うことが出来る現実に胸がすくのと同じく、体が震える。  武者震いだ。あと幾分としないうちに、あの

      • 【ヤマト2202創作小説】新訳・土星沖海戦 第6話

        <天の川銀河外縁部>  目眩くばかりの星々の輝き。無数の星雲や恒星が集まることによって構成されているこの円盤状の天体を、次元の狭間から覗く目がある。潜望鏡は波打つ次元境界面から姿を現すと、人間の眼球のような動きでレンズを動かし、通常空間の様子を偵察する。 あぁ?カメムシ共の艦(ふね)なんざ居ねぇじゃねぇか。  司令室の潜望鏡から覗いた男ーゴル・ハイニーは、外の様子に落胆し、歪めた口から舌打ちの音を鳴らす。右の額にある縫い傷を触り、与えられた情報と現実の齟齬、そして戦闘が

        • 【ヤマト2202創作小説】新訳・土星沖海戦 第5話

          西暦2203年5月8日 0時32分 <土星沖・B環上空>  この日の土星沖は光が絶えない。あちこちで光球が起り、そして萎む。無論、自然現象でないことは明らかであった。死の光である。  陣形を整え後退を始めた第3軌道守備隊群(3軌群)は、予想を上回る敵の進撃速度、そしてワープアウト数を前に窮地に立たされていた。カラクルム級が半包囲状態でビームの雨を左右から降らせ、ゴストーク級の大型/小型ミサイルが上下から3軌群を襲う。虎の子の波動防壁も消耗が激しく、耐圧限界点を超えた艦にシ

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        【ヤマト2202創作小説】新訳・土星沖海戦 第0話

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        • 【ヤマト2202創作小説】新訳・土星沖海戦
          8本

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          【ヤマト2202創作小説】新訳・土星沖海戦 第4話

          西暦2203年5月8日午前0時16分 <地球・防衛総省庁舎A棟 統括司令室> ヤヌス観測衛星が大規模な重力震を検知!  職員の足音と怒号が飛び交う司令室でなんとか声を響かせようと、オペレーターはやや過剰なリアクションと声量で報告する。当然、その視線の先には、藤堂や芹沢ら防衛軍トップの面子(と地球・ガミラスの軍需産業の幹部)がいる。 官邸に繋いでくれ。有事対策法に基づく非常事態宣言の発令を要請する。  芹沢とは対照的な出自・印象を持つ藤堂は、その肩書きに比して余りに存在

          【ヤマト2202創作小説】新訳・土星沖海戦 第4話

          【ヤマト2202創作小説】新訳・土星沖海戦 第3話

           西暦2203年5月7日 23時40分  <土星・カッシーニの隙間上空>  2人の若鷲を乗せた銀翼が、氷塊漂う土星の環を悠然と飛ぶ。もはや時代の遺物となった国連宇宙海軍仕様の機体塗装を纏い、「UNCF 046」と刻印された100式空間偵察機は、機体上面後方のセンサーを展開して周囲に目を光らせている。  かたや機内は和やかな空気に包まれていた。レーダー担当の准宙尉とパイロットの三等宙尉は、互いのパートナーの写真を見せ合いながら、たわいもない話に花を咲かせていた。 親父さん

          【ヤマト2202創作小説】新訳・土星沖海戦 第3話

          【ヤマト2202創作小説】 新訳・土星沖海戦 第2話

          ー採決の結果、当委員会は波動艦隊構想を賛成多数で承認します ー土方さん、許してくれ。俺なりに考えた選択なんだ。 ーお前たちは中央(ここ)に残れ。俺にできなかった事も、お前たちなら出来るはずだ。頼んだぞ、山南。 ー待ってくれ、土方さん! 西暦2203年5月7日 月面方面軍アリスタルコス基地 艦隊標準時間 17:00 ー第1分隊は兵装点検終了後、中央作戦室へ集合。繰り返す、第1分隊は兵装点検終了後、中央作戦室へ集合。今後の整備および作戦行動のブリーフィングを行う。  

          【ヤマト2202創作小説】 新訳・土星沖海戦 第2話

          【ヤマト2202創作小説】 新訳・土星沖海戦 第1話

          <地球・防衛総省 地下2階大会議室> ここ数週間、ガトランティスの動きが活発になっております。  楕円形の机を正面に、芹沢は壇上で語り出す。統括司令長官 藤堂平九郎は無論のこと、副大統領 ミア・ヘンドリクソン、大統領上級顧問 カール・デメジエールを筆頭に、政権閣僚の殆どと関係各省庁の職員が出席している。対面には統合幕僚監部幕僚長や空間防衛総隊司令長官、さらにはオブザーバーとして地球およびガミラスの軍需産業企業の役員が列席している。 冥王星、EKBO(エッジワース・カイパ

          【ヤマト2202創作小説】 新訳・土星沖海戦 第1話

          【ヤマト考察部#2】ヤマト3199が取り上げる社会問題は何か?

          どうも、ダカーポです。 今回は、ヤマト3199が取り上げる社会問題について、考察していきたいと思います。2205公開以降、デザリアムが何者なのか、様々な考察を目にします。そうした考察は有識者の方々にお任せするとして、私からは3199が、否、福井晴敏さんが取り込むであろう現代の社会問題は何か。それがどのように物語や世界観として作用するのか、少し広い視点から考察をしていきたいと思います。 1.福井ヤマトの特徴 皆さんご存じの通り、福井さんがシリーズ構成・脚本になった2202,

          【ヤマト考察部#2】ヤマト3199が取り上げる社会問題は何か?

          【ヤマト考察部#1】地球連邦防衛軍の組織構造を語る

          どうも、ダカーポです。 今回から、宇宙戦艦ヤマトシリーズに関する私の考察を投稿していきたいと思います。 第一回目は「地球連邦防衛軍の組織構造」についてです。2199では国連軍傘下の”国連宇宙海軍”が、侵攻するガミラス艦隊への対抗戦力となりました。2202では、有史以来、初めてとなる統一政府”地球連邦”が誕生し、国連軍も”地球連邦防衛軍”に改称となったことが、劇中や設定でも伺えます。しかし、肝心の内部構造については、部分的に語られているものの、全容は未だ明らかになっていません

          【ヤマト考察部#1】地球連邦防衛軍の組織構造を語る