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秋田ノーザンハピネッツを語り明かした夜(後編)

4月16日、17日に宮本は秋田に飛んだ。現地を取材し、game1終了後に「焼肉レストラン大昌園」さんにて、ヴィレッジヴァンガード秋田オーパ店のウエダ店長と終わったばかりの試合を振り返った。焼肉の美味しさと共にヒートアップした秋田ノーザンハピネッツトークを特別公開する。後編では、CNAアリーナ⭐︎あきたで感じた秋田の魅力とこれからを宮本目線で語った。(前編はこちらから)

大昌園さんの美味しそうなお肉を前にウエダ店長もこの笑顔

アイバーソン選手はすごく気の利く選手なんですよ。

宮本 ちょっと戦術的な話になりますけど、今ってピックアンドロール(ガードとビッグマンがスクリーンを使ってズレを作るプレー)が多いじゃないですか。そういうコンビプレーは相性がいい選手、なんとなく呼吸が合う選手っているんですけど、そういう意味では(コルトン・)アイバーソン選手はめちゃくちゃ気の利く選手なんです。
ウエダ なんで?
宮本 誰とでもそこそこ合わせられるから。
ウエダ あー、なんかわかる(笑)!
宮本 アイバーソン選手がガードにピックをしました。ゴールに飛び込んだアイバーソン選手にパスを出して、そこからコーナーにいる田口(成浩)選手に素早いパスが出て、オープンで3ポイントを打つみたいなシーンが今シーズン結構ありましたよね。
ウエダ あった、あった。そうやねん。なんかそういう展開が最近あんまり見れへんなと思ってた。
宮本 アイバーソン選手が怪我をしてからは、違う選手がゴールに飛び込む役割を担ってるんですが、そこにうまくボールが入らなくて古川(孝敏)選手とか川嶋(勇人)選手が自らプルアップで決める、みたいな展開が増えてきています。それは秋田が今まで相手に脅威を与えていたシュートではないことが多いんですよね。

秋田#12 川嶋勇人選手 (写真=宮本將廣) 

ウエダ うんうん、なるほどな。
宮本 今、秋田の3ポイントはチームトータルで38%くらい入っています。だけど、ショット確率が同じでもアイバーソン選手が怪我をする前と後ではシュートに至るまでのパターンやスポットが違うので、どうしても試合によってばらつきが大きい印象があります。
ウエダ アイバーソンめっちゃ重要やん! でも、それくらいバスケって繊細なんやろな、ほんまに。
宮本 もしかしたら、そこが今の秋田の課題かもしれないです。ブースター目線でも、3ポイントが入るんだというイメージで見るのではなくて、どの展開からどのスポットでの3ポイントが入るかを理解することはすごく大切だと思います。
ウエダ はー、なるほどな。それを聞いて、今日思ったことがあったんだけど、第2Qくらいに3ポイントラインの外、ゴールの正面からシュートを打つことがすごく多かったじゃないですか。でも、入らない。あれはなんなの?
宮本 どのチームも基本的にはどちらかのサイドで展開を作って、逆のサイドにボールを動かすっていうバスケットボールをしています。秋田でいえば、左でピックアンドロールをやった後に右サイドのインサイドの選手がボールを受けにきて、手渡しパス(ハンドオフ)で展開を作るんです。要するにその形で逆サイドに展開を移行するわけです。
ウエダ あー、わかる。よく見るわ。
宮本 これも今までアイバーソン選手がきてくれていたタイミングと他の選手がきてくれるタイミングがやっぱりちょっと違って、タイミングがズレますよね。これはその選手が悪いわけではなくて、さっきも言った通りアイバーソン選手がすごく気の利く選手なので、ボールマンに合わせて動いてくれる。バスケットボールは良い選択を積み重ねるスポーツなので、それがズレるとその次にボールを持つウイングの選手、例えば保岡(龍斗)選手とか中山(拓哉)選手のボール保持の状況が悪くなったり、パスが出せなくなったりするんです。アイバーソン選手が怪我をしてからは、その右から左、左から右への繋ぎの展開がうまく作れてないところはあると思います。
ウエダ なるほどな。この極上カルビ焼めっちゃ美味しいで。あ、チヂミも食べてや。
宮本 ありがとうございます(笑)。……うまっ!! もちろんそれが全てではないですが、ボールを展開していくことはすごく大切で、当たり前ですけど相手はそれをうまく展開させないようにするわけです。展開がうまく作れない時は、最後の8秒くらいでゴール正面でピックを呼ぶ戦術が多いので、ピックからのプルアップを打つみたいなことが増えるので、ゴール正面からのシュートは自ずと増えてるかもしれないですね。

秋田#5 田口成浩選手(写真=宮本將廣)

どのタイミングで作り出して、いかに自分たちでコントロールできるか

宮本 「バスケットボールはどんなスポーツですか?」っていう問いに対して無数の答えがあると思います。ただ、そのうちの1つは間違いなく「流れのスポーツ」です。40分間ずっと一方のチームがいい流れということはプロではあり得ないですよね。
ウエダ 流れのスポーツとか、なんかすごい小難しい感じに聞こえるけど、私なんかが聞いてて平気かな(笑)。
宮本 大丈夫です(笑)。例えば、全国優勝するチームと地区1回戦で1点も取れないようなチームがやったら、それはあり得るかもしれないですけど、プロだったら実力差はあるにしても多かれ少なかれ流れは行き来するわけですよ。
ウエダ 確かに、そうやな。
宮本 だから、どこかで必ず来る流れをしっかりと掴めば得点差を最小にすること、もっと言えばその試合に限っては逆転することも可能なわけですよね。
ウエダ いやー、ほんまにそうやわ。今シーズンの秋田もそういう流れに乗って勝ったゲームがあったのよ。もちろん逆もあったしなー……悔しい!
宮本 そうですよね。そういう場面は秋田のブースターもたくさん見てきたと思います。その中で秋田はこの試合、ハーフタイム明けの第3Qの最初の流れを取って追いつきましたよね。
ウエダ うんうん。
宮本 でも、ゲーム全体の流れから見るとそこが流れを取るべきタイミングだったのかという議論にもなるのではないかと、あえて僕は問題提起したいんです。例えば、第3Qの最初5分を耐えて、残り5分でビッグクォーターを作り、同点にした勢いをそのままに会場も「いけるぞ!」みたいな空気感で第4Qに入ったとしたら……試合の結果は変わったかもしれません。
ウエダ 確かに。それはちょっとそう思うわ。結局、最後はファウルゲームをせざるを得なくなってしまって、相手がフリースローを外してくれるように願わないといけない状況になったのは、その場面での戦略としては理解できるけど、見てる方もモヤモヤするというか、ヒヤヒヤするというか、選手も気持ちの持っていき方が難しいんじゃないかなって思うのよ。
宮本 何がよくて何が悪いかはわからないですけど、今日の第3Qのようなビッグクォーターを試合のどこかで作れるとか、第4Qの最後の粘りとか、それをできる実力が秋田にあることは事実なんです。要はそれをどのタイミングで作り出して、いかに自分たちでコントロールできるかということがこれから秋田がCSに行く、CSで勝つためには必要なのかもしれない。その中でヘッドコーチはタイムアウトやクォーターブレイクで指示を直接伝えることができて、選手交代を使いながら流れを作り出す。もちろんそれらが裏目に出ることもありますけど、今日のゲームの個人的な総括としてはそういう流れの部分で重要なところを三河に持って行かれてしまったなと僕は感じました。
ウエダ 最後の方とかは結構いいじゃんって思うことはありましたよね。だけど、もうちょっと足りなかった。
宮本 それも追い込まれたタイミング、ぎりぎりでやるのか、それとも追い込まれる前にやるのかも流れの作り方だと思うんですよね。その流れの作り方が強いチームと弱いチームの差だったりすると思います。だから、もう一歩秋田が強くなっていくためには、よく前田顕蔵HCからも「自分たちのバスケットで」って話がありますけど、まさにそれが大事で。自分たちの流れを自分たちの力で、作るべきところで作り出すこと。それはCNAアリーナ⭐︎あきたのブースターの力もあれば、絶対にそこまで到達できるなって僕は今日感じましたね。

もう一歩、前へ。もう一つ、上へ。(写真=宮本將廣)

翌17日も秋田は三河に敗戦し、その後の4試合も落とし、まさかの6連敗。チャンピオンシップ出場に黄色信号が灯る中、ホーム最終節となった4月30日、5月1日の京都ハンナリーズ戦で連勝を飾り、望みを繋いだ。そんな中、ポイントガードとしての長谷川暢選手の活躍、成長は苦しいチームにとって大きな希望になったに違いない。

「勝たせられなかったのはガードの僕の責任です。」

敗戦の中で、そう言葉にした長谷川暢の勝利への執念を強く感じた。
きっと彼が秋田を勝利に導いてくれる。

秋田の全てをかけて、今シーズン最後の三遠戦に臨む。

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