見出し画像

【日本代表特別企画】最上段からの景色 vol.1 女子日本代表 三井不動産カップ2024(東京大会) vs ニュージーランド GAME1

エンドラインからの景色という企画を行なっている。気づけばこの企画も50を超え、自分のカメラ技術の向上を感じている(自己満)。日本代表に関しては北海道大会からペン記者として、最上段に位置する記者席から試合をチェックし、試合終了後の囲み取材、会見に参加して、選手たちの言葉を聞かせてもらっている。そこで感じたことがある。
「なんて試合が見やすいんだ!」
俯瞰して見れる最上段はバスケットボールの攻防が非常に見やすく、私自身も勉強になっている。そこで日本代表特別企画として、「最上段からの景色」と銘打って、私の試合の注目ポイントや選手たちの活躍を振り返りたいと思う。囲み取材のインタビューと合わせて読んでいただくと、日本代表の解像度がより上がるかもしれない。よかったら最後までお付き合いください。(文:宮本將廣)

会見、囲み取材 日本代表取材バックナンバー

このゲームの会見、囲みインタビューはこちら

ニュージーランドGAME1の事前注目ポイント

選手選考が終了し、最後の国内ゲームということで
・選手の組み合わせ、交代の仕方
・北海道大会ではやらなかった戦術的なアプローチはあるのか
・ペイントタッチの質、その後とプレーの質
・ピックプレーの攻防
この辺りに注目した。

宮本のゲームチェックのポイント

基準を作りたいので、日頃から大体同じところに注目している。
オフェンス
・セットコールの大枠の理解
・スペーシング、アライメント
切り替えの局面
・オフェンスリバウンドの入り方
・ディフェンスラインの設定
ディフェンス
・ピックプレーのディフェンスカバレッジ(トップ、サイド、ハンドオフなど)
・ボールプレッシャーの掛け方→どこに追い込んで、どこにショットを打たせようとしているか
・ヘルプポジション、ローテーション

など。特に特別なことはないと思うが、この辺りを見ながら、試合の中での歪みを見つけて、ヘッドコーチを見る。今回でいえば、試合と恩塚HCの動きを見ていると
・手を広げる→ハンドワーク、プレッシャーの掛け方
・ヘルプディフェンスへのジェスチャー→ポジションの指示
・ピックディフェンスでブリッツ(ダブルチームに行った後にショートロールしたビッグマンにボールが簡単に入っていた)の後の狙い
が気になったので、その辺りを会見と囲みでぶつけて見ました。

詳細はこちら

エブリン選手に聞いたところ、オフェンスは
・ペイントアタックからのパスがしっかり出せるかどうかを試したかった。
ディフェンスは
・ブリッツした後、基本的にはショートロールに誰かがヘルプにいかないといけない

とのことだった。

オフェンスに関しては、オーストラリア戦でボールムーブが停滞したときに、エブリン選手が個の力でペイントタッチをする。ショットまで持ち込むというシーンが多くあった。チームとしてはもっといいボールムーブやカッティングから、質の高いペイントタッチ、そしてキックアウトからのコーナースリー、そこにクローズアウトが起これば、次のオフェンスに持ち込むという形を作りたいのだろう。それは北海道で感じたし、東藤なな子選手もそこに言及していた。

ニュージーランドGAME1に関しては、エブリン選手からのペイントアタックでコーナースリーを作り出せていたし、そこから次の展開もうまく作れていたシーンが多かったので、これだけの点数を取れたことは納得できた。

ディフェンスに関しては、ピックプレーのディフェンスを起点に見ていた。スクリナーディフェンスがショーで出た後に、ネガティブスタンスになった場合はブリッツ(ダブルチーム)を仕掛ける。おそらくのアクションにリアクションして、残り3人のディフェンスポジションが大きく動き出す。(その前から準備はしている)
恩塚HCの会見でも、
「ボールマンがゴリ押しでくるように見えるのか、パスを探しているように見えるのか。それによってボールマンの横という同じ条件下でもポジションを変えられるのか」
という話が出たので、自分のマークは気になるけど、ボールマンの状態をしっかりと認識して連動することはもう少し精度を上げていきたいのだと感じた。
今回のニュージーランドは若手で、21番のビッグマンもそこまで展開力が高くない選手だった。彼女がショートロールをしたときによくノーマークになっていたのだが、そこにボールが入ってもまだいい展開を作れなかったことは、ニュージーランドにとっては今後の伸び代だし、日本にとっては、「今回は行かなくていい」ではなく、オリンピック基準のポジション取り、プレッシャーの掛け方をGAME2の修正ポイントにしてくると思う。

選手スタッツ

スタメン 
#3 馬瓜 ステファニー 14 得点4リバウンド
#8 髙田 真希 13得点6リバウンド
#23 山本 麻衣 20得点7アシスト
#27 林 咲希 16得点3スティール
#32 宮崎 早織 5得点12アシスト

ベンチメンバー
#12 吉田 亜沙美 2リバウンド2アシスト
#13 町田 瑠唯 5得点6アシスト
#15 本橋 菜子 3得点5アシスト
#30 馬瓜 エブリン 17得点 4リバウンド
#52 宮澤 夕貴 10得点4リバウンド
#75 東藤 なな子 15得点2リバウンド
#88 赤穂 ひまわり 7得点2リバウンド

ニュージーランドGAME1を振り返って、個人の注目ポイント

選手数名の注目ポイントを書き出していきたい。
#75 東藤 なな子 
オフェンス

北海道大会からスリーポイントのリリースポイントの安定を感じていた。気持ち的にも吹っ切れたようで、彼女自身も会見では清々しい表情をしていたし、取り組んできたワンハンドシュートはパリ五輪で日本の武器のひとつになりそう。
ベンチから出てきたときの最初のシュートを沈めることができれば、元々力強いアタックは武器としている選手なので、セカンドサイドからのいいペイントタッチを作り出せる。
ディフェンス
世界から見ると、サイズでは劣るが機動力とコンタクトの強さも持っているので、ブリッツしたときの残りの3人のディフェンス、ギャップポジションのディフェンスで彼女の貢献度がかなり鍵を握りそう。彼女自身も「コミュニケーションミスは少なくなってきた」と語っていたので、ディフェンスのキープレーヤーとして注目。

#52 宮澤 夕貴
オフェンス
おそらく、オリンピックではここが一番ミスマッチが起こるのでないかと感じる。彼女がコーナーステイからのキックアウトでのスリーポイントは、今回のようにチームとしていいペイントタッチができれば、彼女のディフェンスがヘルプによるはずなので、ワイドオープンになる確率が高い。本数よりも確率が鍵を握るプレーヤーだし、それができる選手なので期待したい。
ディフェンス
オフェンスの話から連動するが、彼女がコーナーでスリーポイントを打ったとき、リバウンドはどのようなルールなのか。そこがディフェンスのスタートになるし、オリンピック出場国であれば、逆サイドにリバウンドが落ちた場合、彼女のマークマンにリムランされると、マッチアップトラブルが起こりそうなので、GAME2はそこに注目して見てみたい。

#32 宮崎 早織
オフェンス
東京五輪以降、展開力がすごく成長した選手で、今回の試合では12アシストにそれが現れていると感じた。いいペイントタッチもできるし、シュート力もあるので、GAME2ではもっとそこを示してほしいなとも感じた。
ディフェンス
ここがおそらく彼女のディフェンスが今大会最大のキーになる。サイズで劣る日本において、バックコートで何秒使わせるか、エントリーポジションを歪ませるか。これはかなり鍵を握る。彼女のトーンセットによって、日本がやりたいバスケットボールの時間を長くできるかどうかが決まる。ニュージーランドのガードは若かったこともあり、彼女の力を持ってすれば、割とスムーズに追い込みたいエリアに追いこみ、ボールを奪うことができた。いいイメージを持って直前の強化試合を迎えてもらい、そこでの真価に期待したい。ただ、あんまりプレッシャーがかかると吐いちゃうかもしれないので(前日練習のコメントより)、あまり声には出さずに、心の中で「宮崎さんならできるよ!期待してるよ!」と念じたい。

ニュージーランドGAME1は、後半に修正だったり、試したことがいくつかあった印象。GAME2でそれらの遂行度を上げられるか。特に
・ギャップポジション
・ハンドワーク
・ヘルプディフェンス

に注目したい。

富永啓成「楽しまなきゃもったいない」7月19日発売!予約受付中!

ダブドリVol.19 Amazonにて在庫復活!売り切れ必須なので、お早めに!

ダブドリ有料コラム「ブリッジ」毎月更新中!
最新の特集は佐賀出身、TUBCの德川慎之介選手!

ダブドリのもう一歩内側へ!メンバーシップはこちら👇
有料記事の「ブリッジ」「みやもんのバスケットnote」他、有料コンテンツを月額500円で全て読めちゃう!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?