2023年6月の記事一覧
明〜ジャノメ姫と金色の黒狼〜第5話 幻想DIY(8)
小川と畑の間に置かれたペパーミントバードの卵は前衛的な彫刻のように庭の中で一際の存在感を放っていた。
まるでそこだけが庭から切り取られたように浮いている。
鶏小屋から放し飼いされた鶏達が物珍しそうに嘴で突く。
「完璧に景観を損なってますね」
カワセミが眉を顰めて腕を組む。
「畑と鶏の歩く実用的な庭だからね。奥には水車も見えるし何とも場違いな光景だね」
流石のウグイスもゲンナリとしている。
明〜ジャノメ姫と金色の黒狼〜幻想DIY(6)
水に濡れた黄緑色の身体を震わせ、丸い目に怒りの炎を浮かべてアケ達を見下ろしている。その後ろに避達が描かれながらもアケ達を睨みつけていた。
「やっば・・・」
ウグイスは、口元に手を当てる。
「怒ってる・・・よね?」
アケも頬を引き攣らせる。
その言葉を肯定するようにアズキが小さく鳴く。
「仕方ない。こうなったら」
ウグイスは、戦う決意をし、右の手の平を広げ、水色の魔法陣を展開する。
「ダメ
明〜ジャノメ姫と金色の黒狼〜幻想DIY(5)
その鳥はとても可愛らしい形態をしていた。
ストローのような長い嘴、小さな丸い頭と大きな丸い身体が重なり合った姿は串の刺さったお団子のように見える。翼は大きな身体と比較して小さく、恐らく浮くことは出来ても飛ぶことは出来ないだろう。その変わりに足は発達しており、とても太く、筋肉が隆々と盛り上がっていることが分かり、その下の黄色く足首も鋼のように固く見える。羽毛の色は名前の通り、ペパーミント、目が痛
明〜ジャノメ姫と金色の黒狼〜第5話 幻想DIY(4)
「で、何でそれに僕が必要なのかな?」
屋敷の裏庭、まだ整備されてない雑草生い茂る一角にオモチは立っていた。表情こそ変わらないものの困ったように右頬を掻く。
オモチの前にはアケとウグイス、カワセミ、アズキが立っている。
アケとウグイスは、何の期待分からないが目を輝かせ、アズキは嬉しそうに鳴き、カワセミは申し訳なさそうに身を縮めている。
「申し訳ありません。オモチ様」
カワセミが心の底からすま