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「なんでもやるよっ」の料理人の在り方、のお話

料理人がサービスマンに対して「なんでもやるよ!」と言える在り方や関係性って良いな、のお話です。

現在、祇園にあるお店のコンサルティングでサービスに入らせていただいております。

そこで改めて、おもてなしやお店の在り方について考える機会が増えました。

今回は営業中にあったやりとりからのお話です。

あるお客様からリクエストをいただきました。

「この唐墨をそのまま焼いたのを食べたいな」と。
*お客様の目の前で実際に素材をご覧いただいてから、お料理をお出しするスタイルでした。

その時は唐墨を使用した餃子をメニューに載せておりましたが、お客様はお酒のおつまみにそのまま唐墨を召し上がりたかったのです。

そこで私は、シェフに伝えました。「唐墨を焼いたシンプルなものをお出ししたいんですが、、、

シェフは一言、「なんでもやるよ!」

私の気持ちとしては、「あっ良かった、」です。

お客様のリクエストに応えることは、料理人としては当たり前、なのかも知れません。

お客様に喜んでいただくことが本質だとすれば、なんでもやるよ!になるのかも知れません。

ただ、私は知っているのです。

満席の営業の中で通常のオペレーションとは違う動きが入ることで、もしかすると他の料理や他の部分に支障が出るかも知れないこと。

お客様に届けたいメニューをじっくり考え試行錯誤し、試作を重ねてご提供しているメニュー、それとは違うものをお出しすることに対しての、少し残念な気持ちがあること。

実際にお客様からシェフに届けられたリクエストではなく、サービスからの伝達であること、だからお客様のお顔や雰囲気、そのリクエストにいたった背景、経緯も分からない中での、サービスマンの声の感じや温度感、伝え方、がそのリクエストの全てであること。

だからこそ、「なんでもやるよ!」と言える在り方が素敵だし、本当に心強いな、と思いました。

ここで大事なのは、サービスマンはシェフの想いをしっかりと知ろうとしていること、感じていること、あとは主体をシェフにできること。

だからこそ、なんでもすべてのお客様のリクエストに対してイエスマンになるのではなく、唐墨をそのままで食べたい、のリクエストに対しても、
イイ感じに、そのままでももちろん美味しいですが、うちの唐墨のこの料理もめちゃくちゃ召し上がっていただきたい、という想いをお伝えする。
そのうえでやっぱり、そのまま食べたい、というリクエストなのかもしれないし、
あ、じゃあ今日はぜひそのおススメの唐墨料理でお願いしようかな、にかも知れない。

お客様のリクエストももちろん尊重し、お店の商品、愛せる商品もセールスする(サービスマンはセールスマン)、この在り方をシェフと自然と共有していることが、大事な在り方だと思います。

お客様を主体に、みんなの想いを知っていることが届ける人(サービス)にとって必要なのかもしれません。

お店がなりたい在り方、姿、ビジョン。お店のコンセプト、軸。
だからこそ、それに沿ったサービスの在り方や、メニュー構成、インテリア、空間、カトラリーetc。

それらをお客様にいい感じにお伝えしたり、感じていただいた上でのお客様のリクエストには全力でお応えする、がサービスの在り方なのかな、と思います。のお話でした。


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