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バウワウ城にレアメタル
町中華で破壊行為を繰り返したので、因名(ちなみな)カコは満ちたりた気分で店を出た。ラーメンやニラ餃子の死体が脂っこい床に転がっていて、心底汚い。中華丼は上半身をメッタ刺しにされており、陶器のように割れた頭部から垂れ出した粘度の高い体液で店の半分あたりが水浸し(汁浸し?)になっていた。カコは身を震わせると、全身に空いた銃創から、奇怪な煙を吐き出した。五つある肘は漏れなく反対側に折られており、その痛み
もっとみる#あの選択をしたから
最寄り駅から歩いて3分。閑静な住宅街の一角に、件(くだん)のお店はあった。リポートで向かったのは、「ウワサの街角!」特捜員、グルメ担当の丸山秀記記者である。
「どうも!こんにちは!丸山ですね、実はある噂を小耳に挟みまして、このD県F市の大宮塚町へとやって来ました!それというのもでさあねぇ、」
その時だった。
いきなり大きな爆発音が、静かなお昼時の空気を唐突に揺さぶったのである。
「う、うわー」
人生の混迷を解く鍵は。
ふん……バカが。
え、一体何がって?
――それは、分からない。
一つ。人間は何かを馬鹿にすることによって、自身の価値を相対的に上げる生き物だ。
いや、違うかもしれない。
そもそも、この世の中に、人が断言出来うる物事などあろうか?
ましてや、世界の片隅に辛うじて自分1人分のスペースを確保しているだけの、それだけで精一杯の自分になど……。
コンコン、と不意にドアがノックされ、返事も待たず