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導入事例コンテンツの作り方

このnoteでは導入事例コンテンツ制作のプロセスをご紹介します。

導入事例の対象は自社で開発・製造を行っているBtoB製品です。
この製品の単価は数百万~数千万円でサイズも大きいため、おいそれと購入できるものではなく、導入時は先方社内で慎重に検討を重ねることがどうしても多くなります。

検討時に多い要望が製品の導入事例。
それまでは営業スタッフが既存顧客の現場で撮影した写真をつかって個別に資料を作っていましたが、この度会社公式の導入事例集を制作することになりました。

そこでどのようなプロセスで導入事例を制作したのかをまとめてみました。
これから導入事例を制作される方の参考になれば幸いです。

導入事例制作の流れ

  1. 導入事例取材の承諾を得る

  2. 事前準備を行う

  3. 取材を行う

  4. コンテンツを作る

  5. 導入事例の活用

導入事例取材の承諾を得る

まずは導入事例の取材先を選定します。
導入事例を使ってアプローチしたい企業の業種や自社製品の用途を考慮して既存の取引先から取材先候補をピックアップします。

取材先の候補が決まったら取材依頼を行います。
取材依頼メール文面と依頼書は才流さんのコンテンツを参考にしました。

取材の依頼先が決済者であれば良いのですが、上長に確認いただくケースも多々あります。
相手の負担を少しでも軽くできるように、依頼メールには依頼書を添付して相手が上長に依頼書を渡すだけで伝えられるように工夫をしています。

事前準備を行う

事前アンケートに協力してもらう

取材でインタビューをする前にアンケートに協力いただきます。
取材当日にいきなり質問しても相手が困ってしまい一般的な回答になってしまったり、その場で無理矢理ひねり出したような回答になってしまうことがありました。
こちらは導入に関してより深い情報を得たいと考えていますが、相手も同じ熱量で取材に臨んでくれるわけではありません。

そこで、事前アンケートに回答することで過去の経緯や現状を整理してもらい、当時の状況を思い出していただいた上で取材に臨めるようにアンケートを実施しています。

また、アンケートの記入結果があることで取材後のコンテンツ作りの際に振り返りながら文章が書けるメリットもあります。

アンケートはまたまた才流さんのコンテンツを参考にカスタマイズしたものを使っています。

取材先を調べる

取材の前に取材先の企業情報や事業内容を調べます。
webサイトだけではわかりづらい場合は採用サイトがおすすめです。
採用サイトは主に学生向けに作られているので、よりわかりやすく企業や事業内容を知ることができます。
また、取材先の企業名をニュース検索して相手の最近のトピックを知っておくと取材前の雑談で役立つことがあります。

取材を行う

取材目的と活用方法を伝える

取材前に取材の目的やコンテンツの活用方法を伝えます。
これらは取材依頼書にも記載して事前に伝えている情報ですが、改めて伝えることで後々トラブルになるリスクを潰しておきます。

アンケートの回答に対して深掘り質問をする

事前に回答してもらったアンケートをもとにインタビューを行います。
アンケートの回答から一歩踏み込んだ情報を引き出すために深掘り質問をします。

以下の書籍で紹介されている深掘り質問を活用すると、一歩踏み込んだ回答が得やすいと思いました。

深掘り質問1 状況に関する質問「そのとき、どのような状況でしたか?」
深掘り質問2 行動に関する質問「そのとき、何をしましたか?」
深掘り質問3 成果に関する質問「行動の結果、どのような変化がありましたか?」

頭のいい人が話す前に考えていること

録音はNottaが便利

インタビューの際は相手に了承を得た上で録音させてもらいます。
録音自体は様々な方法でできますが、私はNottaを使っています。

私がNottaを気に入っている点は以下のとおりです。

  • 音声を自動で文字起こししてくれるので後で振り返りやすい

  • 文字起こしデータに「重要」などのタグが付けられて後で振り返りやすい

  • 録音データがクラウドにアップされるのでデバイスを選ばず聞くことができる

  • Nottaアプリで録音していなくてもボイスレコーダーの音声データをアップロードすれば文字起こしをしてくれる

  • インポートとエクスポートの際に様々な形式に対応している

このツールがあるのとないのではこの後のコンテンツ制作工程にかかる時間やアウトプットの質が全然違うので、もはや欠かせないものとなっています。

写真を撮る

取材とあわせて写真を撮影します。
抑えておいたほうが良いと思うカットは以下のとおりです。

  • 製品とユーザーの2ショット

  • 製品単体

  • ユーザーが製品を利用している様子

  • 会社の外観

その他にインタビューで話題に上がったシーンや設備などがあればそれも撮影します。
このように事前に想定していなかった写真を撮影することもあるので、撮影はインタビューの後に実施した方が撮り逃がす心配がないと思います。

また、現場によっては近づいて撮影することが難しい場合もあるので、ズームレンズがあると離れたところからでも撮影できて安心です。

コンテンツを作る

文章を書く

事前アンケートと取材メモ、インタビュー文字起こし結果をもとに導入事例の文章を書いていきます。

文章を書く上で気をつけている点が2つあります。

1つ目は「ビフォーアフターよりもユーザーの状況に重点を置く」ことです。
導入事例はつまるところ『この製品(サービス)を導入した結果、こんなに良いことがあった』という内容になります。
もちろん導入後の成果は大事ですが、それよりもその導入先が当時どんな状況でどんな課題を抱えていたのかを詳細に伝えたほうがコンテンツを見る側も参考になったり共感を得やすく、その後の検討が進みやすいと考えています。

2つ目は「自社に都合の良いことだけを書かない」よう心がけています。
すべての人が満足する製品やサービスはありません。
どんな製品でも何かしら要望があるのが自然です。
よって、自社製品の良いところだけを書くとかえって胡散くさく見えてしまいます。
多少満足しなかったことがあったとしても読み手に誤解を与えない範囲であれば、それを盛り込むことでよりリアルな事例になると思います。

社内で確認する

文章が書き上がったら社内で確認を進めます。
社内確認ではGoogleドキュメントを使っています。
文章を書き換えられてしまうとわけがわからなくなってしまうので、確認者にはコメント可の閲覧権限を付与して、フィードバックはコメントでもらうようにしています。

複数人で同時に作業できたり、編集の先祖返りを防げるのもGoogleドキュメントを使用している理由です。

取材先に確認する

社内確認が完了して初稿ができたら取材先に確認してもらいます。
先方には特に以下の点を中心に確認をお願いしています。

  • 誤った情報がないか

  • 会社として出してほしくない情報(テキスト・写真)や表現はないか

アウトプットを作る

無事取材先の確認が終わって文章が確定したら導入事例コンテンツのアウトプットを制作します。

当社では導入事例コンテンツとして「ビジネス展示会用のパネル」と「ホワイトペーパー(ダウンロード資料)」を制作しています。

これらの制作にはCanvaを使っています。
Canvaは直感的に操作ができて動作も軽いところが気に入っています。

自分以外のスタッフが作業しても見た目に統一感が持たせられるように、フォントサイズや余白、画像の大きさなどルールを決めて運用しています。

デザインルールの一例

導入事例の活用

展示会に導入事例パネルを掲載

展示会で導入事例パネルを掲載した様子

導入事例パネルがあると話の流れで事例を紹介でき、相手に関心を持ってもらいやすいように思いました。

また、取材に協力してくれたユーザーさんが自社のブースにお立ち寄りいただいたことがあったのですが、導入事例パネルを見ながらうれしそうに写真を撮っている様子が印象的でした。

ビジネス展示会の会場は意外と暗いのでそのまま展示しただけだとパネルが見づらくなってしまいます。LEDパネルを使って後ろから光を当てると見やすくなるのでおすすめです。

ダウンロード資料としてリードを獲得

自社サイトで導入事例がダウンロードできるように設定し、製品ページにダウンロードフォームの導線を追加します。
これだけだとあまり反響はないのでメルマガやSNS、web広告などを使って導入事例がダウンロードできることを伝えていきます。

導入事例ホワイトペーパー公開後、徐々にダウンロードされるようになり、リードが獲得できた分、新規のテレアポにかける時間を減らすことができました。

終わりに

自社の導入事例活用はまだ始まったばかりでダウンロード数も多くないのですが、それでも導入事例を見ていただいた方と商談に進むケースがみられます。
また、導入事例の取材を行うことで製品が実際にどのように使われているのかを知れたり、ユーザーからの要望を聞いて開発のヒントを得るなど副次的な効果もありました。

このことから当社では今回対象となった製品以外でも導入事例の制作に取り組むこととなりました。

手探り状態で進めてきた導入事例制作ですが、このnoteが少しでも参考になれば幸いです。

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