たった10ヶ月で、広告費をかけずにブランド月間売上1億を超えた、筋トレ系D2Cブランド『VALX』を徹底究明【D2Cブランド探訪記】
日本イチD2C情報をインプットしている海老原が取材し得たブランド最前線
こんにちは、こんばんは。D2C海老原です。
本日から新シリーズをnoteでお届けします。その名も「D2C探訪記」。
当シリーズは、海老原の唯一の自慢である、D2Cニュースのインプット量をこれまではスマホからアクセスできる情報にとどまっていたところ、自らの足で見聞きした情報から成る独自取材コンテンツです。
百聞は一見に如かずの気持ちで、取材を通じてブランドオーナーの皆さまへ何かしら気づきを与えられたら幸いです。
第一弾は筋トレマッスルライフスタイルブランド「VALX」
第一弾は、VALXです。
筋トレ業界では知らない人はいないと言われるほどのレジェンド山本義徳さん監修と名の付く唯一無二のブランド「VALX」
海老原の初期イメージは、”プロテイン中毒者続出熱狂ブランド”と勝手ながらに思っていましたが、いざ取材をしてみると、そもそもブランドの基盤となる商品はプロテインではなくEAAでした。
筋トレという専門性の高い市場でVALXはどのようにして誕生し、なぜ1年も経たないうちに月商1億円を実現できたのか。キーワードは、「ホンモノにこだわることができる体制」と「正しい筋トレを実践するために必要なモノ体験とコト体験によるブランド共感型熱狂カスタマーと長く付き合う」ことでした。
取材本編に行く前に、VALXの前提情報をおさらいしましょう。
▼VALX前提情報
*ブランド名の由来
VALX=VAL+X
VALは、VULKUP(バルクアップ)とVALUE(価値)の掛け合わせ
Xは、無限大の可能性を表す
*プロダクト構成
EAA(EAA9・EAABEAUTY)
プロテイン(ホエイプロテイン WPI パーフェクト)
クレアチン
グルタミン
関連グッズ(マット・メッシュバッグ・シェーカー)
*ブランド年表
2019年4月5日:山本先生と初めての対談
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2019年4月22日:You Tubeアカウントで初投稿(山本先生と出会って17日のハイスピード立ち上げ!)
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2019年10月5日:VALXブランドとして初のプロダクト「EAA9」をローンチ↓↓
2020年5月16日:プロテイン商品「ホエイプロテインWPIパーフェクト」をローンチ
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2020年7月25日(現在):SNSアカウントフォロワー累計45万名突破
Q:VALXブランドの熱狂度合いを表す実績を教えてください
売上
└ ブランド立ち上げ初月から売上:1,700万円/月
└ ブランド立ち上げ10ヶ月目にして売上:1億円/月達成
平均購買継続期間
└ 7.2ヶ月
会員数
└ EAA9定期購買者10,000名
2ndプロダクト”プロテイン”
└ 発売3日で初回生産分を完売(2020年5月)
SNSハック力
└ SNS経由のHP訪問者:月間20万UU
└ YouTube:チャンネル登録者23.3万名
└ Instagram:7.7万名
└ Twitter:5.3万名
└ TikTok:8.7万名
※画像小さく大変恐縮ですが、SNS各チャネルについて左から順に「役割」・「初期プロダクトローンチ時のSNSフォワー数」・「現在のフォロワー数」・「フォロワー増加数」・「月間リーチ力関連指標」・「HPへの遷移ユーザー数」をプロットしています
Q:VALX成功の秘訣は?
①市場を見つけプロフェッショナルと組めたこと
第一に、山本先生と共感できたのは「既存業界へのアンチテーゼ」があったから。
・既存業界へのアンチテーゼ=見せ方だけを良くしてマーケティングしているサプリメントへのアンチテーゼ
・実際に商品の原材料を見ると十分な量が入っていないサプリメントが流通してしまっている玉石混交の現代
・山本先生と意気投合したのが、「正しいトレーニング知識・トレーニング方法を広めていきたい」ということ
・共感による意気投合がきっかけとなり、You Tubeチャンネルを立ち上げ、ホンモノのトレーニング知識に関する発信を進めていくことになった
・EAA9もプロテインもVALXと同じコスト構造で大手サプリブランドは参入できない。それは、無駄な宣伝広告費を省くという既存業界へのアンチテーゼに挑戦できているから。逆に、大手が宣伝広告費にかけているコスト分を原材料費に充てられることでプロダクトの品質に還元できる。
第二に、ポジショニングマップで市場の"スキ"を見つけること
・EAAに注目したきっかけは、山本先生のトレーナー養成スクールに入っていた方からの些細なLINEの一言だった
└ 2019年当時日本ブランドとしてEAAに注目している会社は少なかった
└ 国内のEAA市場を調査した結果、1万円台を切る高品質EAAブランドのポジショニングが空いていたので一点集中した
・プロテインは、たんぱく含有量をつきつめた商品ラインの開発に集中
└ EAA9同様に低価格×高品質路線を踏襲したところ、3日で初回生産分が売り切れるほど市場の反応は良かった
②プロダクトの品質
ホンモノとしての配合を実現するための妥協のなさ。
・EAAの配合は山本先生にヒアリングし、OEMメーカーとの間でも遵守し開発にあたった(OEMメーカーに打診すること、その数20社以上)
・結果的には、製造原価を開発取り組み当初原価割れだったところから、OEMメーカーと協力し半額まで引き下げることに成功
・原価がクリアできれば、残る課題は「味の改良」
└ EAAはそのままでは味が良くない
└ 味の改良時も、山本先生からこの甘味料は使ってはいけないと言われた教えを遵守し改良にあたった(〇〇テーム系の甘味料は使わなかった)
└ カスタマーに毎日飲み続けて欲しいものだからこそ、ブランドとして味にはこだわりを持ち改良を続けた
開発裏話
山本先生の配合だけは崩さない制約条件のもと、製造原価高騰の状況を打開したのが、ベータアラニンだった。
当初製造原価を上げていたのが、カルノシンという成分だった。
「カルノシン=β-アラニン+ヒスチジン」の生成式のうち、ヒスチジンはEAA9として山本先生の配合に含まれていた。
残るは、β-アラニンの配合だったが、幸いにも2019年3月から日本国内で扱えるようになったことでカルノシンを直接配合する必要なく、網羅することが出来るようになったのだった。
③売る前にメディアを作る。ブランド側でコントロールできるメディアを持つことが大事。
VALXはEAA9を発売する時点で既に、SNS累計17.0万名の見込み客にリーチできる手段を持っていた。その結果、広告に注力することなくローンチ初月から売上1,700万円を達成することができた。
プロダクトローンチ時の各SNSアカウントのフォロワー数は下記の通り。
「チャネル名:フォロワー数(各チャネルの初投稿日≒運用開始日)」
YouTube:11.2万名(初投稿日:2019年4月22日)
Instagram:2.4万名(2019年4月30日)
Twitter:2.6万名(2019年4月23日)
TikTok:0.7万名(2019年5月13日)
④(+結果論だが)広告費で赤字になったことがないこと
SNSアカウントでの常時ユーザーと繋がる手段を持ち得ていたことで、広告で赤を掘ったことがこれまで一度もなかった。これは、D2Cブランドとしては稀有な事例だと思う。
また、SNSでブランドに対するIMP数とUGCがベースにあることより、広告の低CPAを維持し続けられている点もSNS運用における恩恵と考えている。
・SNSは「フォロワー数<<IMP数」であることを痛感
・Youtubeチャンネル登録者は20万名だが、月間視聴者数(UU数)は100万名を超える
VALXでは広告の配信戦略を「各SNSアカウントを訪れたことのあるユーザーに対するリタゲーティング」を中心に据えたため、日頃のSNSでのコンテンツリーチ力(≒IMP数)が広告のCPA低減に寄与していた。
その他、広告チャネルとしてはリスティング広告が挙げられるが、UGCを見たユーザーが「VALX」と指名検索しCVする購入動線が出来上がっている。
VALXのUGCの起爆剤となった「ベータアラニンによるピリピリ(=ベータアラニンフラッシュ)」
EAA9ローンチ当初は、UGCの約6割がベータアラニンフラッシュによるものだった。それほど、カスタマーがSNSで発信したい体験の象徴となった(ブランド側は当初ここまでベータアラニン経由で口コミが発生するとは想定していなかった)
ベータアラニンフラッシュは、芸能人に対しても効果テキメンで、特に指原さんによるUGCには爆発力があった。
Q:カスタマーの特徴は?
コアカスタマー層とライト層で嗜好とLTVが大別される傾向にある。
コアカスタマー層=ブランド共感型熱狂カスタマーと言える。
・山本先生をトレーニング方法に共感している層:書籍・セミナー経由で山本先生の教えに触れたことのある人々
・山本先生のYou Tubeチャンネルを毎日視聴し続けていて、エンゲージメントが非常に高い
ライト層は、コアカスタマー層が筋トレを毎日の日課にしていることに対し、ライト層のトレーニング頻度は高くない。
・外見の良さを整えるためにトレーニングしている傾向にある
・ライト層は、別のサプリメントに乗り換える傾向が高い
流入チャネル別LVT計測をしているが、YouTube経由の会員LTVが最も高く、1ヶ月に解約するカスタマーは3-5名と片手で数えるほど。
目下のミッションは、「いかにしてライト層のLTVを高めるか」
Q:各SNSチャネルハックによる運用効果は?
VALXはYouTubeが最も有名だが、他のSNSチャネルもバランス良くグロースさせている。
SNSフォロワーのBefore・After・増加数
※Before=EAA9ローンチ当時のフォロワー数(2019年10月5日)
※After:2020年7月25日現在のフォロワー数
YouTube:11.2万名→23.3万名(+12.1万名)
Instagram:2.4万名→7.7万名(+5.2万名)
Twitter:2.6万名→5.3万名(+2.7万名)
TikTok:0.7万名→8.7万名(+8.0万名)
また、各SNSを運用することで、効果的な使い方を役割として言語化できるようになってきた。
SNSハックの役割
情報発信の場:YouTube・Instagram
└ 動画:YouTube
└ 写真:Instagram
コミュニケーションの場:Twitter(リプライ・DM)
└ 筋トレ関連の質問が多く寄せられるので、元ライザップでトレーナーをしていた方をSNSの中の人に据え、ホンモノの知識をユーザーに提供している
テストマーケの場:Tiktok
└ Tiktokでバズれば、他チャネルでも伸びる傾向あるため
VALX関連リンク
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