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さいはての家

小説がすきです。

昔は漫画のほうが好きだったけれど、漫画って連載物は一気に読み終えることが出来ないし、何年も追い続けてその都度コミックスを買うことが、忙しすぎる毎日の中すっかり遠のいてしまった。場所も取るし、まとめて買うと、結構馬鹿にならない値段になってしまう。本当は、ゆっくり作品を追い続けるくらいのんびりとした時間や、部屋があればいいけど。忙しい仕事と都心一人暮らしのマンションで、そんなスペースできるはずもなく。気付けば疎遠になっていました。
ワンピースも、キングダムも、バカボンドも、NANAも(結局どうなったんだろう)、作家追いしていたいくえみ綾先生も、もう何年も読んでいないな。

そういえば、昔は書斎のある家に住むことが夢だった。開放感のあるリビングと、清潔感のある寝室。それからウォーキングクローゼットとたくさんの本や漫画に囲まれた書斎がある、そんな家に住みたかった。
いまからでもまだ遅くない。じゃあ、そんな家に住んでみよう! と、前向きになれるほど、まだ鬱状態からは抜け出せていないので、そんな夢はまたそのうち。

休職をはじめて、二週間くらいたった頃、図書館から予約していた本が入荷したと連絡を頂いたので、「さいはての家」と一緒に「5分後に感動のラスト」というオムニバスと、「イラっときても「怒らない」女になるレッスン」、マツコ・デラックスさんの「あまから人生相談」の4冊を借りました。
綾瀬まるさんの小説は、何かのオムニバスで短いお話を読んだことがあった。この本はネットの新刊紹介か何かで見つけたのかな? 予約していたのも忘れていたくらいでしたが、読み進めるうちにどんどん気持ちが落ちていった。

「この世から逃げたくて仕方がない。それと同じくらい、この世に触れたくて仕方がない」(さいはての家、本文より)駆け落ち、逃亡、雲隠れ。行き詰まった人々が、ひととき住み着く「家」を巡る連作短編集(アマゾン紹介文より)

人生行き詰まりすぎでしょう。みんな。泣
わたしは家族を捨てていないし、不倫もかけおちもしてない。人を殺して逃亡中でもないし、宗教も入っていなければ死体遺棄なんてするわけない。親も好きだし、大変な子育ても未経験。まだ、仕事だって辞めていない。
それでもいま生きているのが、こんなにもしんどいのに。わたしよりもずっとずっと大変そうなこの人達は当たり前のように、生きている。(フィクションだけど)
結局幸せってなんだろう、なんの為に生きるんだろう……、と再びふりだしに戻って、読後感はものすごくもやもやしました。なんでかわからないけど、ちょっと泣いたし。

小説自体は、大好きなひとつひとつのお話がリンクしていく短編集だったので、きっと元気なときに読んだらぜんぜん違う感想を持ったんだろうな。結局この人どうなったの!? とラストを読者にぶん投げるスタイルの終わり方や、構成もとても好き。
ただ、ものすごいタイミングで、こんな小説と出会ってしまった。
この出会いに意味があるのか、ないのかわからないけど。もしかしたら、これから生きていく中で、ふとしたとき、思い出してしまう一冊になるかもしれないなと思ってしまった本でした。

相変わらずの休職中で、今日は何も出来なかった。
でも睡眠薬を飲まなくても、ぐっすり十時間くらい眠ることが出来た。
休職を始めてからシャワーで済ませてばかりだった大好きなお風呂にも、ザラニウムの入浴剤とエプソムソルトを入れて、ゆっくりと浸かることが出来た。
一食だけど、ちゃんとご飯も食べられた。豆腐と、少しの白菜とえのき半分のキムチ鍋。全部は食べ切れなかったけど、食べ終わったあとも吐きそうにならないことがちょっと嬉しい。
めちゃくちゃ久しぶりに缶ビールと缶チューハイも買って飲んでいる。
それだけでも、少し元気になれた気がする。

仕事を休んでいる罪悪感に押しつぶされそうで、この先の収入もどうしようか不安でいっぱいだけど、とりあえず今日もnoteを書けた。
明日は部屋の掃除をしたい。散歩もしたい。
当たり前の日常を少しづつ取り戻せるように。それがいいことなのかどうかはわからないけど、わたしは38年も生きといて、こんな生き方しかわからないので。

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