砂の城

閉ざされた砂の城から真昼の陽を恨めしく見る
「誰も彼も何も分かっちゃいやせんよ」
口髭を静かに触る「包皮を切る夢を見たのだよ」
西からの砂嵐に汝(な)の歯を汚し我もまた砂を噛んでいる
「ここを出るにはどうすれば?」「入ればそれでよいではないか」
ダビデの頃の記憶から驟雨が西から砂を落とす
「誰も彼も何も分かっちゃいやせんよ」
    反歌
砂の城肌に刺さった陽と土を唾液でこねて目頭に塗る
見えるようになった頃にはもう遅く「入ればそれでよいではないか」

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