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未来六月号「観覧車」

憎しみに瞳を突いた我が父を我が手で殺めし後の盲目
目蓋(まなぶた)に割礼を施さん見るものが全て憎しみに満ちる我が道
舌を噛みいっそ死のうと思い至りワインで浸す鈍れよ汝(な)が舌
近衛兵の目深に被った鍔を愛で星の数より背筋に惹かる
国王の睾丸広くゆとりあり曼珠沙華咲く瑞穂の国に
我が山が燃えている我が母が泣いている曼珠沙華そのまま燃える
腹を切らずに首を落とされる如くこの弛緩した身体に夏が転がる
糠雨に肩を濡らした青馬は嘶き王の鞍を背負いぬ
御代長き疫病惨禍羊を一匹屠らん天にけぶりがのぼる

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