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砂の城【息遣い】

閉ざされた・砂の城から・真昼の陽を・恨めしく見る
「誰も彼も・何も分かっちゃ・いやせんよ」
口髭を・静かに触る・「包皮を切る・夢を見たのだよ」
西からの・砂嵐に汝(な)の・歯を汚し・我もまた砂を・噛んでいる
「ここを出るには・どうすれば?」「入ればそれで・よいではないか」
ダビデの頃の・記憶から・驟雨が西から・砂を落とす
「誰も彼も・何も分かっちゃ・いやせんよ」
    反歌
砂の城肌に刺さった陽と土を唾液でこねて目頭に塗る
見えるようになった頃にはもう遅く「入ればそれでよいではないか」

【付記】

「・」中黒は、呼吸を表します。

五・七・五・七・五・七/七・七

と、律韻を感じて下さい。

現代長歌とは、散文のような韻文です。

韻とは、詩を詩らしくする装置です。

ソネットは脚韻の話であって、行詩だけを指しません。

この誤謬に気が付くまでに時間がかかりました。

そして、まだ「韻」の本義を知らない詩が多いように思います。

YOASOBIの「夜に駆ける(Into The Night)」の英語訳版の英語を日本語のニュアンスを合わせるところが

本質的に「韻」を表象していると思います。

日本語でも「韻」はできる。

短歌・長歌だって「今っぽい」(ボードレール)ができる。

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