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現代長歌

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「現代長歌」
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#私の作品紹介

秋の暖炉(息遣い)

秋の暖炉(息遣い)

暑さが・過ぎれば寒さが・来ることに・一分の疑問も・感じずに
「少し寒いわ。・暖炉に木を・くべてくれませんか」・妻はまた
冷えた手足を・さすりながら・秋が来たことを・告げている――
「僕が・いかなきゃならん・のです」と・青い顔をさせて・僕は走る
地下鉄は・地上の雨に・濡れることなく・暗躍してる・地下の風の
遊戯を知らず・僕自身は・まるで糸で・操られる・人形劇の・一つのように
「君のことを・見捨てるわ

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秋の暖炉

暑さが過ぎれば寒さが来ることに一分の疑問も感じずに
「少し寒いわ。暖炉に木をくべてくれませんか」妻はまた
冷えた手足をさすりながら秋が来たことを告げている――
「僕がいかなきゃならんのです」と青い顔をさせて僕は走る
地下鉄は地上の雨に濡れることなく暗躍してる地下の風の
遊戯を知らず僕自身はまるで糸で操られる人形劇の一つのように
「君のことを見捨てるわけにはいかんのです」僕の一部になっていた妻を追い

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グラフィティ詩6

グラフィティ詩6

自分が書くものは
   どれも
  良い
(まだその段階なの?)
評価     は
        思ったより
        得られない
カクカクした
  詩を書いている   私
が    やっているものは
 ア
 イ
 ロ
 ニ
 ィ
     カクカクした詩を
書いている
           ほら
、結局政治的でしょ。
 ア
 イ
 ロ
 ニ
 ィ
       李白のような
生き死にをし

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グラフィティ詩5

グラフィティ詩5

罪は
一つの
わがままから
おこる
      連鎖して
      罪は
      負いきれないものへ
      成長する
              か
             き
            く
           け
          こ
        ()
       が
    あるか
   ?
「分からなくもない」
「擁護はしませんわ。罪は罪よ」
 「さ、察

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グラフィティ詩4

グラフィティ詩4

    俺
    の
    詩
    は
    死
    ん
    だ
  断
  末
  魔
 な
 い




グラフィティ詩3

グラフィティ詩3

君は、、、水を買うのかね?
             えぇ、買う文化がありますから
君は、、、お茶を買うのかね?
              えぇ、誰も出しませんから

神話を紡ぐには現代は神が多すぎる

 か
  ら
   人
    は
     無言の
        啓示
       人
      か
     ら
    神
   々
  は
苦言の
   道

、、、神話はお好き

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グラフィティ詩2

グラフィティ詩2

ノン、えぇ、ノン。
        さ
       げ
      す
     ま
    ず
   に
  き
 い

 く
  れ
   。
    ダダイズム
         は
          静かに
             してろ。
  二つの目は
       倍数になって増える
  二つの価値観は
         思想を違える

「愛し方を忘れたのよ」
「我が子に?」

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ダダイズム、蓮沼。グラフィティ詩始める

ダダイズム、蓮沼。グラフィティ詩始める

  息、吐く
      ーー白い鼓動。
欠点を補填するのが緑色の花火の晩夏なのだ
             どぅいどぅい
  息、吐く
ーー赤い殺意。煙草はストックホルム。
             どぅいどぅい

 た
  い
   なら
     セックスは自由だ
             。溺れるなよ
                   息に、
どぅいどぅい
ダダイズム、蓮沼。グラフィ

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雨が降ったから(息遣い)

雨が降ったから(息遣い)

君は・雨が降ったから・ピザを食う
僕は・雨が降ったから・頭痛がする
万年筆の・インクが切れて・細くなる・思想が危ぶむ・気配がする
君は・雨が降ったから・ピザを食う
僕は・雨が止んでも・囚われる・細胞分裂の・音がして・「お天気雨よ」と・君が言う
「きっと歯が・悪いのよ」とけた・けた笑い・君は口を拭う・
君は・.雨が降ったから・ピザを食う――
セックスは・軽やかにしろ、革命は・誰かがするさ。僕たちは・

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雨が降ったから

君は雨が降ったからピザを食う
僕は雨が降ったから頭痛がする
万年筆のインクが切れて細くなる思想が危ぶむ気配がする
君は雨が降ったからピザを食う
僕は雨が止んでも囚われる細胞分裂の音がして「お天気雨よ」と君が言う
「きっと歯が悪いのよ」とけたけた笑い君は口を拭う
君は雨が降ったからピザを食う――
セックスは軽やかにしろ、革命は誰かがするさ。僕たちは雨と交わるぐっしょりの背中
反歌
革命を他人に任せ

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冷たいワイン(息遣い)

冷たいワイン(息遣い)

誰にも・気づかれない・任意の・人として人・混みの・中に紛れる
「コロナ」と言えば・この街が・表象してる・我が歴史に・マスクは必須
ーー我は顔を・持たず、また・君も顔を・持たず。嗚呼ーー
誰にも・期待もされず・仕事をして・人の目さえも・気にせずに
決まった店で・二合を飲み・浅い時間で・追い出され
ーー冷たいワインに・酔わされた・我は顔のない・妻の名を・二度口ごもるーー
「今日はイヤ」の・続いた日には

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冷たいワイン(未来8月号)

誰にも気づかれない任意の人として人混みの中に紛れる
「コロナ」と言えばこの街が表象してる我が歴史にマスクは必須
ーー我は顔を持たず、また君も顔を持たず。嗚呼ーー
誰にも期待もされず仕事をして人の目さえも気にせずに
決まった店で二合を飲み浅い時間で追い出され
ーー冷たいワインに酔わされた我は顔のない妻の名を二度口ごもるーー
「今日はイヤ」の続いた日には我々は餓えゆく性の長汀を詠う
  反歌
性は餓え

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あめつち【息遣い】

あめつち【息遣い】

影法師・闇夜の中で・曼珠沙華を
刈り入れ地には・幾本かの・花弁が落ちる
「こうやって・隠すのが私の・業です」と
人目に触れぬ・影法師の・悪事にかまけ
伝播する・笑いにも似た・泣き声が
「本にはなんと・書いてある?」・刈り入れながら
せせら笑う・「気がついたら・遅すぎた。そういう事よ」
暁の・甘露がしらす・ーー時よ新たにーー
   反歌
皇紀二六七九年の春御世の残りも朝の御光

 生沼義朗さんが全引

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